雀聖の器   作:マージャンスキー

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阿知賀3 松実姉妹+赤土晴絵戦1

 出目徳が渡す特訓の内容は本当に無理難題だ。

 全盛期の雀聖のすべてを知っているからこそ出てくる武勇伝、自分は一晩で九蓮宝燈二回和了したらしいが、雀聖は五回和了したらしい。もうめちゃくちゃだな。

 だが、雀聖の理論やら心構えは理解できる。妙に自分にしっくり来るんだよな。

 

「そういえば、雀聖は索子に好かれた男と打ったらしいなぁー」

「雀聖? 麻雀放浪記の哲也のこと」

「ええ、どんな状況でも清一色で和了するそんな打ち手、ダイレクトなオカルト打ち」

「それにしても、麻雀放浪記を読むなんて珍しい。今は哲也よりアカギ派が多いのに」

 

 この世界にはアカギも存在する。

 漫画という形ではなく、麻雀放浪記と同じで自伝という形でアカギの名が知れ渡っているのだ。

 そして、墓はエッフェル塔も真っ青な程、尖ってやべーらしい。

 だが、この世界で雀聖よりアカギが信仰されるのもわからなくはない。アカギは雀聖とは違う打ち筋、確かにアカギも天運を持っていると言われているが、雀聖には劣る。だからこそ、彼の独特なデジタルの部分がオカルトを持たない人間に支持されているんだろうな。

 

「赤土さんは雀聖とアカギ……どっちが強いと思いますか……?」

「さあ、わからないけど……見てみたいとはおもうかなぁー、二人の対局」

「きのことたけのこ、雀聖と神域、不毛な戦争だなー」

「で、流也はどっち派なのさ」

「きのこ派の雀聖派で緑のたぬき派だから結構な戦争で劣勢なんすよワハハ」

 

 コーラを飲みながら幼女達が麻雀を打っている姿を眺める。

 いやはや、小学生は最高だぜ!

 なんて、ワテもまだまだ小学生ですがね!

 備え付けられているソファーに赤土さんが腰掛ける。

 ちょっと、子供麻雀教室の指導者が指導放棄するのやめてもらっていいですか?

 

「リューヤはどんな麻雀を打ちたい」

「そうですねー……喰い断が役満の麻雀打ちたいっすわ」

「アハハハ! 最高! やっぱりリューヤは器が違うわ!!」

「ま、それは冗談で……誰とでも対等に戦える麻雀、いや、雀士が夢ですね」

 

 腹を抱えて笑っていた赤土さんが凍りついた表情で俺のことを見つめる。覗き込む。

 このオカルト麻雀が普通に受け入れられている世界、牌に愛された子なるものが存在する世界。

 そんな世界で……誰とでも戦えて、時に勝ち、時に負ける。それが目標かね。

 

「……でも、運不運では片付けられない相手もいるよ」

「それすら、運不運で勝てる存在に俺はなりたい」

「……カッコイイね、流石は男の子」

「ホ別三万でいいっすよ」

 

 頭に痛いげんこつをもらって指導に戻っていった。

 さて、高鴨も新子も今日は来ないみたいだし、指導麻雀なんて出来るタイプじゃない。

 退散して出目徳の特訓を楽しもうかと思ったが、どくとくの語尾が響いた。

 

「流也くんいますかー」

「いません、帰ります」

「かえっちゃうの」うるうる

「はい、帰ります」

 

 後方からヘッドロック、あ、今回はやわらかーい♪

 

「エロガキ、卓空いてるぞー」

「エロガキじゃありません、クソガキでーす」

「どっちも一緒だ。それに、宥が来てくれるなんて珍しい、アンタが目当てなんだから打ってあげなさいよ」

「あーし、勝てない相手とは打たない主義なんですぅー」

 

 あっ、やべっ……母性の固まりがムニュムニュでヘブンしそう……。

 あーあ、これの代金要求されたら終わりだな、防御力っていうか、二人の特性知っている赤土さんなら座らせて楽、打ってもいいか。

 だが、要求くらいさせてもらうか。

 

「じゃあ、立ち親嫌いなんで南家スタートさせてくれたらいいっすよ」

「よし、短期勝率最弱の西家スタートな!」

「うへぇ、露骨に来たなオイ……」

「あの、えっと……ありがとね……」

 

 互いの手がクロスし、互いに互いの頭を撫であっていた。

 なんだろう、ちょっと背徳的……ッ!

 

「むぅ……わたしの方がお姉ちゃんなんだよ……」

「俺Sだからわかんないっす」

 

 恥ずかしくなって降参した松実姉が卓に逃げた。

 そういえば、出目徳が言ってたな? 場の流れを継続させるには鳴き手を捨てることが重要だとか……門前縛りしてみるか……。

 立ち親は松実妹、南に赤土さん、北が松実姉か……まあ、席は関係ない。ただ打つのみ。

 

 

 

【東一局】

 

東:松実玄

南:赤土晴絵

西:滝川流也

北:松実宥

 

「「「「よろしくおねがいします」」」」

 

『ドラ表示』

 

{七裏裏裏裏}

 

 さーて、どういう手が入って来ますかなぁー……。

 

{五七九1357③⑤⑦西白発}

 

 ぐげぇ……なんじゃこれ? 何シャンテンだ……十三不塔は全部バラバラだから成立しねぇーし、採用してねぇーし、字牌も並以上に入ってやがる。こんなの開幕ベタオリ、奇跡を狙って混全帯么九ってところか……ッ。

 

(いつも通りなのです!)

 

{二三赤五八八4479赤⑤⑨⑨発} ツモ{西} 現状ドラ4

 

(少し……寒いよぉ……)

 

{一二二三四1156④⑧中中}

 

(まあ、流也に一泡吹かせるには良い手かな)

 

{③④⑤八九122679東東}

 

 うっわ、松実妹とレジェンゴが悪くなさそうな顔してやがらー……こちとらシャンテン数を数えたくない配牌だぞ! 自分もオカルト希望しまーす!!

 淡々と俺のツモ番に入り、そして……。

 

{五七九1357③⑤⑦西白発} ツモ{南}

 

 はい、出来面子ゼロ? ハッ! 勝利の女神は前髪しかねぇハゲだからな! 後ろ髪なんてねーよ!!

 だが、この配牌を許してくれる……まて?

 

 赤土さんと松実妹の第一打が{西}? 四風連打チャンス! 行って来い!! 俺のシャー!! 通常の三倍で流局させたれや!!

 

 打{西}

 

(うわー、そうとう手牌悪いな……流局ねらってるね……)

 

 打{1}

 

 うぇーん! 流局できないよー!!

 はっ、女神様の前髪も脱毛クリーム塗られたってところか……。

 いいさ、こっちだって地獄から這い上がった麻雀打ち、ここで逃げれば男がなんとやら!!

 

(おっとこれは……玄の赤は使えないにしても役牌で一翻追加の最高の手、レッツゴーリーチ!)

 

「リーチッ」

 

『三巡目』

 

{③④⑤七八九2267東東東} 宣言牌{五} 待ち{58}

 

 ぐへぇ、このレジェンゴ容赦ねぇーな? わて、ピチピチの五年生ですぞ? 手心とかそいうの無いんですかね???

 まあ、この人は精神年齢十三歳くらいだろ、当たり前っちゃ当たり前か。

 とりま、数順は現物叩けるからベタオリしかありませんことよー……はぁ……。

 

 打{五}

 

「チー」 {横五四六}

 

 あらら、松実姉は突っ張るか、一発消しありがたいし、ドラが妹に集まるなら染め手の方が火力が出やすいからな……こっちも要警戒。

 

 ……あれ? なんだろう、俺以外から聴牌の気配がするんですがそれは?

 

松実玄

{⑨⑨赤⑤⑥4赤56四赤五六八八八} 待ち{④⑦} ドラ6

 

赤土晴絵

{③④⑤七八九2267東東東} 待ち{58}

 

松実宥

{一一二二二55中中中}{横五四六} 待ち{一5}

 

 やっべ、麻雀恐怖症通り越して女性恐怖症になりそう。

 だが、逆に考えてみ? こいつらが東1から潰し合って漁夫の利を荒らせる可能性あるじゃん! よっしゃー!! 松実妹……いや、クロチャーがんばえー(プロ幼女風)

 

「流局だね、聴牌」

「聴牌なのです!」

「聴牌です」

「ひぃー女は恐ろしや……ノーテン」

 

 三人に点棒を渡して女の恐ろしさを再確認。それにしても……ドラ6高め三色ってなに? オカルト極まってるなぁー……。

 まあ、クロチャーの親番継続、流石に次はグロテスク配牌はねぇーだろ。

 

【東一局一本場】




 キャラクターの口調が変だとかあったら指摘してもらえると嬉しいです。

阿知賀12後 寄り道していいですか? 11書き直し許可感謝!

  • 怜を可愛くかかんと容赦せいへんで!
  • 愛宕親子再び
  • 京ちゃんの小学生時代希望
  • テレビ番組出演(はやりん☆)
  • BADENDとかある? 見たい
  • おまけの中身 以下略
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