赤い霧がダンジョンにいるのは間違っている   作:ピグリツィア

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超☆説明回って感じ。


転移の謎と新たな武器

「んじゃ、まず一番大切なことやな。カーリーはどうやってこの世界に来たん?」

 確か神は嘘を見破れるのだったか。こんな所で嘘をつく気もないが。

「分からない。手段に心当たりが無い訳ではないが、私自身の能力でどうこう出来る物ではないし、よしんば手段がわかったとしても理由が全く分からない」

「う〜ん、こっちからどうこう出来ん訳でも無いとは思うんやけど、こっちも概ね同じ感じやな。誰が何の為にやったか、な〜んも分からん」

 うんうん唸りながらペンで紙面を叩いている。

「そんじゃ、次は転移する前の最後の記憶…あ〜、やめとくか?」

 どうやら表情に出ていたようで気を遣わせてしまったらしい。雑に手を振って答える。

 

「最後の記憶か。そうだな…私が研究所に所属していたことは話したか?まあそこで色々あってな、襲撃されたんだ。都市の最高戦力である『調律者』、私たちの様な異物を排除する専門の殺し屋である『爪』が2人、そして脱走した数多の『幻想体』。私が駆けつけた時には既に研究所は壊滅、生存者は…あの状況だと1人も居なかっただろうな。それでも調律者以外は満身創痍になりながらも何とか倒したんだが」

「ちょいまち、幻想体ってアレやろ?あの剣の元になった奴みたいなバケモン。え?アレが一杯いたのを倒したんか?しかも1人?」

「ああ、そうだ。まあその剣の元になった奴が一番厄介だったんだがな」

「あーうん、そうか、まあええわ、続けて?」

 

「じゃあ続けるぞ。調律者を相手取る時には既に満身創痍だったからな。不覚を取って右半身がほぼ使い物にならなくなった」

「そんでそのまま意識を失って、おそらく死んだタイミングで転移した訳やな」

「調律者の土手っ腹に穴を開けた後にな」

「アレ?ウチ右半身使いもんにならんくなったって聞いたんやけど?」

「そうだが?」

「???」

 ロキが完全停止してしまった。確かに限界を超えた戦いだった分多少現実離れしているとは思うがそこまで大袈裟に受け取る必要はないのだが。

 

「あーうん、まあ火事場の馬鹿力って奴やな、うん。で、まあその後に目を覚ましたらダンジョンの中だったちゅう訳やな」

「そうだな、そこで目が覚めた後にミノタウロスが突っ込んで来たから叩き切ったという訳だ」

「その節は大変ご迷惑をお掛けしてスンマセンっした」

 ロキが速攻で土下座に移る。

「いや別に大丈夫だ、そこまで強い相手でもなかったからな」

「あんな?そんときに恩恵無しの一般人だったモンに言うのもおかしいんやけどな、ミノタウロスって最低でもレベル2がパーティを組んで戦う相手なんよ、そんな奴がレベル1とかがいる様な上層に追い立ててしもたから…もし被害が出てたら大問題になってた訳やな。マジでカーリーたん最強で助かったわぁ」

「そうだったのか、確かアイズがギリギリで一般人…ではないが、上層で探索している冒険者を助けたと聞いたが」

「…マジ?そんだったらちょい詫び入れんとかもなぁ。まあ向こうが動くまで待つか。後でアイズにも話聞かんとな」

 頭を掻きながら紙に何かを書いていく。恐らく今後の予定だろう。私には読めない文字だな…?

 

「まて、ちょっとその紙見せてくれ」

「これ?この紙は神聖文字で書いてるから読めんと…もしかして…読める?」

「いや、読めないが…私は何故先ほどステイタスを読めたんだ?」

「そりゃ共通文字で書いとるから…アレ!?自分異世界人よな!?むっちゃ自然に読んどったからスルーしとったけど何で読めとんねん!?」

「知らん、だがもしかしたら何らかのヒントに…なる気がしないな」

「謎は深まるばかりやな…はぁ、ビビったわぁ。とりあえず読み書きを勉強する手間が省けたと考えとくか」

 転移に際し私に何らかの変化を加えられるとすれば、少なくともイオリでは無い気がする。イオリは移動だけだったはずだ。特異点か幻想体か…ダメだな、手がかりが少なすぎる。

 

「まあええわ、気を取り直して、さっきのステイタスの話に戻るんやけど最強とか伝説とかって心当たりある?まあ何も捻らずに考えればカーリーたんがそのまま最強で伝説って訳やけど」

「最強かまでは分からないが特色というだけで伝説に近くはあるかもな。フィクサーの頂点を示す称号だからな」

「こっちで言うレベル6とかみたいな一級冒険者の頂点とも呼べる存在という訳やな。オッタルやフィン達が取れそうやけど…とりあえずこれも置いとくか。流石に本人の主観でわかるもんやないからな。んじゃ次は…EGOについてやな。単刀直入に聞くけど、EGOって何や?幻想体から抽出するものかと思えば、カーリーたんも自分で出せるそうやないか」

 EGOとは何かか…あいつはなんて言ってたか…確か『幾何学的器官の根絶』とか言ってたな…。

「研究者が言うには『簡単に言えば、その者の精神を物質化した物』と言ってたはずだ。厳密に言えばもっと複雑だとは言っていたが…悪い、覚えていない」

「結構マジな研究だったんやな…カルト的な儀式をやってたら偶然出来たものとか考えとったんやけどな。となると例の『都市の病気』とかもマジもんかもしれんのか…とりあえずコレも置いとくとして、精神の物質化なあ、つまりこの剣は『何も無い』と呼ばれる幻想体の精神を物質化したものって訳やな」

「いや、幻想体はそのものが人間から発生した精神が実体化した物だから幻想体の場合は一部を抽出した物だな。さっきの例えが当てはまるのは私だけだ」

「カーリーたんってもしかしなくてもあっちでも一際ヤバい存在でいらっしゃる?」

「否定できなくなってきたな」

 

 外からノックの音が聞こえてきた。恐らくフィンだろう。

「ロキ、こっちは終わったよ」

「んあ〜、今行く〜。じゃあ今回はこの辺で切り上げるかぁ。いや〜、どうしよっかなコレ」

 ロキが唸りながらいくつかの紙束とペンをそこら辺に投げる。随分と迷惑をかけてしまう様だ。

「フィ〜ン、後でいいから適当にカーリーたんの演習相手見繕っといて〜。スキル考えるとレベル3、4欲しいかも〜」

「そこまで凄いスキルを持っているのかい?後で確認しておこうか。じゃあカーリーは応接室にいるガレスと椿と共に武器の話をしておいてくれ。ロキは今回の遠征の話だね」

「わかった」

「や〜だ〜、も〜う〜つ〜か〜れ〜た〜」

「大丈夫だ、僕もすごく疲れているからね」

 さっさとフィンの案内通りに応接室に行くとしよう。あまり長居するとまたロキに絡まれかねない。

 

「さて!さてさてさて!カーリーが満足できそうな武器か!図面は簡単ではあるが作ったぞ。流石に話に聞いたミミックの様な変形武器は作れそうにも無いから耐久性を重視した武器にしようと考えている。とりあえず形はミミックに寄せたが問題は重さや重心だな、そこは実際に振ってもらったりして細かく調整しなければならんが取り敢えず大まかな要望を聞こうと思う!」

 大興奮で武器の図面を見せながらアレでも無いコレでも無いと言い合う。武器は己の命を預ける物だから、妥協はできる限りしない。

 

「ほぉ〜!レベル1が持つにはかなり重いぞ?とは言え重さも変えられんから最初から重くしておくしか無いんじゃろうけどな」

「要望を考えると不壊属性も付けたい所だが…流石にガレスが破産してしまうな!そこは妥協するしかあるまい。とりあえず予算内でできるだけ頑丈にしておこう!少なくともゴライアスと正面でやり合っても壊れないくらいにはしておくか」

 概ね満足できる武器にはなった。流石にいきなり深層に潜ると言うことはないだろうからコレでも問題はなさそうだ。

「…しばらく禁酒じゃな…」

 残念ながらガレスの酒代が消し飛んだようだが尊い犠牲だ。この武器はありがたく使い潰させていただこう。

 

「我が主神殿にミミックの鞘を作ってもらうのか!もし完成したら一緒にダンジョンに潜らせてくれ!手前も一度は絶対に振ってみたいのだ!」

 椿の押しが強すぎる。鍛治師と言うのは皆こうなのか?

「それにカーリーもEGOという装備があるのだろう!?くう〜!それも見たいな!もしかしたら手前の成長の切欠になるやもしれん!」

「意思のある武器なんて見たこともないからの。精神由来の武器とは言え、何かしらのスキルの切欠になる可能性は少なからずあるかも分からんぞ」

「もっと種類が多ければ良かったのだがなあのミミックですら純正品には程遠いらしい。完成品は私も終ぞ見ることはなかったがな」

 ミミックの場合完成品の場合『殻を奪い、使用者に補填する効果』、簡単に言えば生物を切った時に傷を埋める効果が発現する可能性があったらしいが…所詮は予想だな。

「あれで未完成か…完成品を見てみたかったのう…」

「手前はその未完成品すら直に拝めていないのだぞ!贅沢を言うな!」

 

「では、茶も飲み干したことだし手前は帰るぞ。カーリーの武器も打たないといけないからな。実に実りある会話であった」

「ああ、武器のことは任せたぞ。まあ心配することもないのだろうがな」

「そうだな、手前に任せてくれ。これでもへファイストスファミリアの団長だからな!ではさらばだ!」

 随分と元気のいい鍛治師だったな。腕もいいと聞くし今から新しい武器が楽しみだ。




〜なぜなに!プロムン教室〜
Q .カーリー強すぎない? A .私もそう思います。
フロムゲーみたいな難易度の世界で無双ゲーやってる系女子、『赤い霧』カーリーちゃんです。

今回は『爪』について!
爪は都市の翼であるC社の仕事人だぞ!
都市にとって障害になるものや、都市の法律を侵した犯罪者をぶっ殺すために派遣される警察みたいなものだ!物騒だね!
複数の特異点という不思議パワーで高速移動しながら敵を滅多ぎりにしていくぞ!
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