赤い霧がダンジョンにいるのは間違っている   作:ピグリツィア

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低評価来そうだなぁ…でも新密度足らんと思うからこうなると思うんだよなぁ。って事で案じてないで産んでみました。


怒りの力

 辺りは既に瓦礫と死体の山しかなく、悲鳴も聞こえない。聞こえるのは幻想体たちの意味もない唸り声だけ。

 私は湧き出る怒りのままに剣を振るう。ただ目の前の存在を消し去るためだけに。

「     」

 何かが私を呼んでいる。敵だ。

「     」

 何かが何かを求めている。敵だ

「     」

 何かが叫んでいる。敵だ。

「     」

 何かが私に何かを言っている。敵だ。

「     」

 何かが嘲笑っている。敵だ。

 敵だ。敵だ。敵だ。敵だ敵だ敵だ敵敵敵

 

 何時の間にか体はボロボロで、右目は見えなくなっている。今し方右腕も潰された。

「     」

 目の前の女が何かを言っている。敵だ。だが体は動かない。

 動かない、筈だった。

 

 

 

 

 

「んあ、朝か…」

 随分と酷い夢を見た気がする。体がだるい、寝慣れない寝具だからか?

「んむ…」

 アイズが寝返りを打っている。まだ朝も早い様だ。だが二度寝する気分でもない。

「…訓練場に行くか」

 道は覚えている。少し体を動かすか。

 

 部屋に書き置きを残して、訓練場への道を歩いているとリヴェリアと遭遇する。

「おお、リヴェリア、おはよう」

「おや?カーリーか。おはよう、どうしたんだ?こんな所で。朝もまだ早いと言うのに」

「目が覚めたからな。二度寝する気分でも無かったし、どうせなら体を動かしておこうと思って訓練場に行く所だが…勝手に使っちゃまずかったか?」

「備品さえ壊さなければ好きに使っていいぞ。もしかしたらベートがいるかもしれんが気にしないでいいぞ。分からない事があったら聞くといい。すぐに出て行くと思うがな」

「わかった、そうする」

 

「あ?」

 訓練場に入るとリヴェリアの言っていた通り、ベートが1人体を動かしていた。

「たしか…カーリーか。お前マジでその名前なのか?」

「そうだが、何か問題でも?」

「別に俺は…チッ、一応教えとくか。バカゾネス姉妹がいるだろ?あいつらの故郷のファミリアの主神もカーリーって名前なんだよ。結構有名だからな、変な所でその名前を出すと面倒事になるぞ。こっちにまで面倒持ってくんじゃねえぞ」

「そうだったのか、後でロキと相談しておくか…」

 そういえば毎回名乗る度に妙な反応をされてたな。流石にこれは対策しておいた方がいいか。

「で?お前は何の用だ?」

「私か?体を動かしに来たんだ。随分と早く目が覚めてしまったからな」

「チッ…いや、暇なのか。じゃあ俺と戦え」

 正直心惹かれなくも無いが…流石にアイズの前に戦うには荷が重すぎるな。手加減できるタイプでも無さそうだ。

「いや、この後アイズと戦うから消耗したく無い。アイズと戦う前にお前と戦ったと知ったらアイズは多分拗ねるだろう?」

「アイズとは昨日戦っただろうが。何でまた戦うんだよ」

「アイズがステイタスの更新をしたからな、その身でどれほど強くなるのかを知ってみたくてな」

「そうかよ…チッ、勝手にしろ」

 言いたいことだけ言ってさっさと訓練場から出て行ってしまった。努力を見られたく無いタイプなのだろう。特に声もかけずに見送ることにした。

 

 訓練場の武器は様々な物がある。今回は…槍を使うか。

「ずっとミミックを使っていたから久しぶりだな…勘を取り戻さないとな」

 しばらく無心で振っていると視線を感じたのでそちらに振り向く。

「おおフィンか、おはよう。どうかしたのか?」

「おはよう、ベートからカーリーが訓練場にいるって聞いたから少し様子を見に来たんだけど…随分と様になってるね?槍も使えたのか」

「よほど特殊な武器でも無い限り基本的にはなんでも使えるぞ。まあここ最近はミミックばっかり使っていたからかなり鈍っていると思うがな」

「それでも十分実戦で通用するレベルだと思うよ。勘は取り戻すに越した事は無いだろうけどね」

 視線で促されたので素振りを再開する。

 

「そうだね、僕と少し試合をしてみないかい?アイズとの戦いに後を引かない程度でいいから」

「それならいいぞ、やはり相手がいた方が勘を取り戻すのも早いだろうからな」

 ベートと違って相応に手を抜いてくれるだろう。EGOを発現する必要もないだろうから快諾することにした。

 

「すごいね、確かにさっきの鈍っていると言うのは本当だったみたいだね。どんどん技が冴えてきている」

「ああ、ステイタス抜きにしてもフィンには及ばなそうだがな」

 流石に主武装として使っている熟練の冒険者相手だと分が悪いな。

「いや、対人戦の技なら僕も学べる物がある。とはいえ流石に体格差が大きすぎて少しだけどね」

「こちらも概ね同じ様な感想だな。ここの域まで来るとその体格にあった技を磨くことになるからな」

 

「…そろそろ終わりにしようか。ちょっとやりすぎたね」

「ああ、疲労はさほどないが予想以上に時間を割いてしまったな」

 時間を忘れて打ち合い続けてしまった。都市ではこう言った形の戦闘は少なかったから新鮮で楽しかったな。

「僕もここまでの技量を持つ槍使いとこう言った形で打ち合うのは滅多にないから興奮しちゃったよ。また今度やろうか」

「ああ、その時は私も得意な武器を使ってみるかな」

「それもいいね」

 

 

 

 

 

 フィンと槍の扱いについて楽しく会話していると濃密な殺気が辺りを包む。

 

 

 

 

 

「かありい?」

「…ごめん、本当に長くやりすぎたみたいだ」

「…いや、フィンだけのせいではない。私も少しのめり込みすぎたからな」

 強い殺気がゆっくりと近づいてくる。このレベルの純粋な殺気をぶつけられるのは都市でもそうない経験だ。都市はもっとこう、狂気に満ちていて他の感情が混ざるからな。

「かありい?だんちょうとなにやってたの?」

 現実逃避を止め、背後から近づいてくる殺気の正体、ティオネと向き合う。

「ああ、1人で体を動かしていたらな、フィンが勘を取り戻すのを手伝ってくれると言ってくれたのでな、言葉に甘えてしばらく打ち合っていたんだ」

「あのさあ?わたしいったよね?だんちょうにいろめをつかうなって」

 怖い、なにが怖いって昨日まであんなに感情豊かだった顔が全くの無表情で、光のない目でこちらをじっと覗き込んでくるのだ。落差が怖い。つい目を逸らしてしまった。

「ねえ?なんでだんちょうといちゃいちゃしてんの?」

「いちゃいちゃって…そんなにいちゃいちゃしている様に見えたか?普通に槍で突き合ってただけだぞ?」

「付き合う!?てめえは生かしておけねぇ!」

 なんでこうなるのか。フィンに視線で助けを求める。

「あーティオネ?落ち着いてくれ。今回は僕から誘ったんだ、カーリーからアプローチを受けたわけじゃ」

「あ゛あ゛!?団長から誘われた!?絶対にコロス!」

 どうやら盛大に火に油を注ぐ、もしくは何もないに一般人を差し向ける結果に終わった様だ。流石にアイズの前に手加減なしのレベル5相手は荷が重いぞ?

「本当にごめん、僕も協力するから何とかして抑えよう」

「まったく、短い付き合いでもわかったがティオネはフィンの事になると前が見えなくなる様だな?」

 

     〜30分後〜

 

「な…何だったんだこのしぶとさは…」

 確実に戦いの中ですさまじい成長をしていたぞ。序盤と終盤で明らかに別人だと思えるほどの技量の差だ

「今回は過去一番凄かったね…まさか僕1人で抑えられないとは…」

「ほんっとうにお姉ちゃんがスミマセンデシタ!」

「カーリーと戦う約束してたのに…」

 途中で参戦してきたティオナとアイズのおかげで何とか取り押さえる事ができた。

「うぐぐ…カーリー」

「まだ抵抗する気満々っぽいんだけど!なにやったのカーリー!団長とキスでもしちゃったの!?」

「いや、普通に(槍で)突き合っただけなんだが…」

「驚くほど致命的!え!?なに!?団長ってカーリーみたいな人がタイプだったの!?」

「ガルルルルゥ!!!ガウゥ!!!」

「ティオネが獣になってる…」

「槍で試合をしただけだよ…カーリー、疲れているのはわかるけど誤解を招く様な発言は慎んでくれ、今は特にね」

「すまない…」

 その後、ティオネはフィンとティオナに回収してもらった。別室で理由を聞きつつ落ち着かせるらしい。

 

「カーリー大丈夫?」

「すまない、正直これからアイズと試合をするのはキツいな。EGOも使う予定では無かったんだが使う羽目になったしな」

「ティオネのあれは慣れてるけど…何時もより手強かった、レベル6かと思うくらいには。深層のモンスターと比べても遜色ないくらい強かったね」

 深層のモンスターはあれほど強いのか…なんで地上でそんなものと戦う羽目になっているんだ。

「仕方ない、私もちょっと疲れたから汗を流しに行こう」

「ああ、そうしようか。その後は飯にするか」

「うん」

 凄まじく疲れてしまったな…体力的にも精神的にも…

 

 汗を流し食堂についた所でロキを見つけたので呼び寄せる。

「なんや、なんか用か?」

「私の名前の事を相談したくてな。ベートから聞いたがこの名前だといざこざが起きる可能性もあるそうだな」

「ああ~せやなぁ。歓楽街、特にイシュタルん所で名乗ったら何かしら起きそうやなぁ。どうすっかな~」

「偽名でも使うか?」

「神相手に名乗ったときがなぁ…まあそのまんまよりはマシやろうしギルドの説明すれば分かってくれるやろ!そんじゃ…なんて名前にするか~」

 そうか、偽名を付けるにしても偽名を考えなければいけないのか…面倒くさいな

「しばらくは赤い霧で良いだろ、今日は疲れた…」

「聞いたで?ティオネがすまんな、あの子はフィンの事になると暴走しがちなんやけど今回はやけに凄かったそうやんか。なんか心当たりある?」

「わからん、フィンと少し試合をしただけでこれと言って特別な事はなにもしてないんだが」

「後でフィンにも聞いてみるかあ。そんじゃ今日の予定やけど、この後ダンジョンに残ってるうちの子達が帰ってくるんや。ウチはここで待っているけどフィンたちは入り口で迎えるから、カーリーはウチとお留守番な」

 まあ無難だな。フィン達について行っても要らぬ混乱を齎すだけだろう。

「そんでみんなが帰ってきたら軽くカーリーの紹介をして、その後は打ち上げやな」

「了解だ、アイズはどうするんだ?」

「ん…ティオネが落ち着いたらみんなとゴブニュファミリアに行く」

 ずっと無言でじゃが丸くんを食べ続けてたな。飽きないのか?

「…食べる?」

「いい、それじゃあ私はロキからこの世界について教えてもらうか。今の認識のままじゃそのうち問題を起こす気がするからな」

「せやな、名前の件もあるしそこらへん話しておくかあ」

 やはりここの食事は美味いな。何より変なものを使ってないとわかっているのがいい。




〜なぜなに!プロムン教室〜
ねじれる間際で足掻く人々の姿は美しい…そしてそこから踏みとどまった者は磨かれた宝石の様な精神を見せるのだ…

『たとえ一人でも夜は訪れてくる。
そして明けない夜はない……。
一介の消える星ごときが登りゆく太陽の光に勝つことができようか。
覚悟しろ。今日、都市の星が1つ沈むことになる。』

みんなもライブラリーオブルイナやろう!
そしてボスの固有曲を赤い霧EGOで上書きしようぜ!
(ダイレクトマーケティング)
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