『ダンジョンは生きている』か…ダンジョンは時に悪辣な罠を仕掛けることすらある様だ。モンスターの出現頻度が急に激増したり、床が急に崩れたりすることさえあるらしい。
それに直接の危害を与えることは少ないとは言え、他の冒険者からの妨害を受けることもあるらしい。代表的なのは『怪物進呈』、危機に陥った冒険者が他の冒険者にモンスターを押し付ける行為の事のようだ。
どれも行われたら危機的な状況に陥るのは想像に難くない。私の様に多対一の状況に慣れているならばまだしも、所謂レベル適正ギリギリでの探索をしている冒険者が被害に遭った場合、運が良くない限りそのまま死ぬ場合がほとんどの様だ。
「ふむ…確かに閉所で囲まれたら逃げることは疎か、立ち回りにも多大なる悪影響を及ぼすからな。それでギルドは複数人での行動を推奨しているわけか」
『冒険者は冒険をしてはならない』なんて格言が生まれる程に被害が多いのだろう。しかし強力な身体能力の上昇を伴うレベルアップをする為には偉業を成さなければならないらしい。そこらへんの塩梅が難しいのだろうな。
続いてダンジョンのモンスターについてのページを眺めていると扉をノックする音が聞こえてきた。
「リヴェリア様、いらっしゃいますか?」
この声は聞き覚えがある、レフィーヤだ。返事をした方が良いだろう。
「今リヴェリアは不在だ、暫く待っていれば帰ってくると思うが…中で待つか?」
「いえ、不在ならだいじょう…ぶ…」
途中で言葉が止まってしまった、どうしたのだろうか。
「ちょちょちょちょっと!中にいるのは誰ですか!なんでリヴェリア様の部屋にいるんですか!ちょっと!早く出てきてください!」
どうやら混乱しているらしい。激しいノック音が部屋に飛び込む。別に拒否するほどの要望でもないので席を立ち、扉を開ける。
「もう!リヴェリア様の部屋に入ってるだなんて他のエルフに…知られたら…」
また止まってしまった。レフィーヤは私の顔を見るなり数歩後ずさる。
「か、カーリーさん、でしたっけ…えっと…」
言葉がしどろもどろになっていく。一向に視線を合わせようとしないのは気まずいからだろうか。
「あー、私はリヴェリアの用事が終わるまでここで待ってる様に言われたんだが…何か不味かったか?」
「あ、あのですね、えっと…リヴェリア様はエルフの王族で…だから…」
…今すぐリヴェリアを探しに行った方が良い気がしてきた。ほらみろ、レフィーヤの体を。少し震え始めているじゃないか。
「そうか、悪かったな。じゃあ外で待ってるか」
「あ、いや、でも…リヴェリア様が、中で待てって言っていたのなら…待っていた方が…」
ああ、もう一杯一杯になってしまっているじゃないか。確かに私はあまり愛想は良くないしガタイもいい方だから子供に威圧感を与えがちではあるが…どうしろというのだ。
「ご、ごめんなさい!リヴェリア様は私が探してきますので中で待っててください!」
言い切るや否や走って立ち去ってしまった…とりあえず部屋に戻ろう。
本を読む気にもなれず、紅茶を飲みながら天井をボ〜ッと眺めていると、再び扉をノックする音が聞こえてきた。
「あー、カーリー。開けてもらえるか?」
「ああ、リヴェリアか。今開ける」
扉を開けると、気まずそうな表情をしたリヴェリアが立っていた。よく見ると背後にはレフィーヤらしき人影も見える。
「カ、カーリー?大丈夫か?心ここに在らずといった表情だぞ?」
「ああ、そうだな。私の見た目が与える威圧感をどうにかできないかとか、少しでも愛想を良くする方法を考えていた」
「おいレフィーヤ、カーリーがかなり傷ついているぞ。まずは謝った方がいいと思う」
「ごめんなさい!最初に会った時の印象が抜けてなくて、でももう大丈夫ですから!本当にごめんなさい!」
「ああ、大丈夫だ、全く気にしていないぞ。うん」
大丈夫だ、これが初めてではない。エノクはともかく、リサは私のことをかなり警戒していたからな。あの子は警戒心が強かったし、私は用心棒だから、多少怖がられるのが正しいんだろうが…別に守る対象や子供に怖がられたって平気だ。うん。
「ああ!カーリーの目がどんどん濁っていってる!レフィーヤ!どうにかしろ!」
「ほんっとうにごめんなさい!ああ、どうすればいいんですかリヴェリア様!」
「私にも解らん!カーリー!しっかりしろ!」
「ハハハ、そうだな、所詮私は都市に染まり切った、裏路地出身の薄汚い大人なんだ…」
「絶対に良くない記憶を思い出しているぞ!正気に戻れ!カーリー!」
ああ、あの時はカルメンが話を聞いてくれたな。リサの前ではタバコを控えさせたり、一緒に食事をさせたりして頑張って近づこうとしたんだったな…
「すまない、少し取り乱していた様だ」
「少し所じゃなかったがな…まあ落ち着いたならいい、では改めて、ほらレフィーヤ」
「なんかもう本当にごめんなさい。思い出したくないことも思い出させちゃったみたいで…」
「大丈夫だ、昔似た様なことがあってな…うん…」
最後の方は…まあそこそこ?打ち解けてたハズだし?ああ、気にしてないとも。
「それなら良いんだが…レフィーヤは大丈夫そうか?」
「はい、なんと言うか、想像してたより百倍は普通の人でしたね」
「何を想像していたんだ…気持ちは分からんでもないが。取り敢えず紅茶のおかわりをいれてこよう。二人で話でもしていてくれ」
「…はい」
「ありがとう、手間を掛けさせるな」
「…えっと、あの剣は?」
「ミミックか、ロキに預けてあるぞ」
その言葉を聞くと、緊張が解けたのか大きく息を吐く。
「本当にあれはなんなんですか。今にも食ってやるぞっていう雰囲気がありましたよ?」
「あながち間違いでもないかもな」
「た、タチの悪い冗談はやめてくださいよ…冗談ですよね?」
「全然」
レフィーヤは頭を抱えてしまった。しかしあれは冗談でもなんでもなく人を取り込むし、あれは人間の殻を求めているという意味では大きな差はないだろう。
「なんでそんなものを持って平然としていたんですか…いやアイズさんもリヴェリア様も動揺していなかったしそういう物なの…?」
「ある程度修羅場を抜ければあの位どうとでもなる様になるさ」
「そういう物なんですね…遠いなぁ」
どうやらアイズやリヴェリアと同じ場所を目指しているらしい。その割には少し甘い部分が目立つが…まあ経験を積めばそのうち無くなるだろう。
「待たせたな、先ほどのものと同じ茶葉を選んできた。カーリー、自らダンジョンのことを勉強しているのか」
「いや、本棚の上から私でもわかりそうな本を探した結果これが目についただけだ。未知の場所や敵に自ら赴く時に情報を集めるのは常識だしな」
「ああそうだな、うちの新人たちにも聞かせてやりたいな」
情報というものは馬鹿にできない。それ自体に価値があることからもそれが解るだろう。
「凄いですね、みんな勉強とか嫌がるのに」
「確かに私は同業者の中でも情報を重視している傾向があるとは思うがな」
私は観察をすることで生き延びてきたからな。それが自らの命を繋ぐ行為だと知っている。
「どんな時でも冷静に、目の前の敵を観察するんだ。そうすれば自らが生き残る為にどうすればいいか見えてくる」
「観察…」
「私たちの様な魔法使いは特に重視するべきだな。遠くから戦場を見ることによって気づきを得やすい」
「わかりましたリヴェリア様」
「そういえば、レフィーヤはリヴェリアの弟子なんだっけ?なら相応の素質があるってことだよな」
「そうだな、この子は必ず大成する。まあ道は遠いだろうがな」
「り、リヴェリア様、少し恥ずかしいです」
「とは言え私にはどう大成するか分からんな。こっちには魔法なんてものは…それっぽいのはあったがこちらの物とはだいぶ違うだろうからな」
近接戦闘技術も磨けば光る気はするが…今のところはからっきしか?
「素質もさることながら、特殊な魔法を持っていてな。ゆくゆくは私をも超えていくだろう」
「リヴェリアにそこまで言わせるとは…今度見せてもらおうかな」
「そんな!恐れ多いです!」
魔法というものは種類が多いらしい。今のところアイズの魔法しか見てないから他の魔法も見てみたいな。
「そろそろ時間だな。カーリー、ファミリアの皆に君を紹介したらそのまま『豊饒の女主人』という酒場に向かい今回の遠征の打ち上げを行う。カーリーの歓迎会も兼ねているからカーリーも参加してくれ」
「なんか悪いな、遠征に参加していないどころか迷惑までかけっぱなしなのに」
「切掛はこちらのミスが原因でもあるから気にするな。経緯や理由はどうあれ、今はもうファミリアの仲間なのだから楽しんでくれ」
「はい!わたしも最初に会った時こそ醜態を晒してしまいましたが、それはわたしが未熟だったせいですので気にしないでもらいたいです!」
2人ともここまで言ってくれているし、お言葉に甘えるとするか。
~なぜなに!プロムン教室~
今回紹介する武器は『笑顔』と『ジャスティティア』!
笑顔はその名の通り笑顔を浮かべた複数の死体を塊にした様なハンマーだ!エグい!
攻撃を与えると物理的な損傷と共に精神的なダメージもあるぞ!まあそんなもんで殴られたらそうなるよな!
そしてジャスティティアは包帯で刃を包んだ剣だぞ!柄の辺りには羽飾りもついているぞ!キュート!
この武器はメタ的な表現で言えば最大HPに対する割合ダメージを与える属性を持っているぞ!明らかにヤバい匂いしかしないね!
カーリーに他のEGO使わせる?
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うん
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やだ
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ダンまちキャラも巻き込もうぜ!