赤い霧がダンジョンにいるのは間違っている   作:ピグリツィア

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見えざる悪意

 各地の大まかな被害状況をギルドの職員と確認した後、紙にまとめる。

「レフィーヤ、これが終わったらすぐにガネーシャファミリアの元に行くぞ」

「え?は、はい。別に構いませんけど…何か気になる事でもあったんですか?」

「レフィーヤは今回の、あの植物の様な敵、どれくらいの強さだと思う?」

「う〜ん、どれだけ弱く見積もっても中層くらいですかね?いくら打撃に強くてもあんなにティオナさん達の攻撃を喰らってピンピンしてましたから」

「ふむ…」

 やはりそうだ、あまりにも強く、そして誰も知らない。見ただけではあるが闘技場で最後に出ていた竜と同じくらいには強かったかもしれない。

「あの〜、カーリーさん?」

「見せ物にするには流石に強すぎると思わないか?竜と比べると見た目の面でも祭りに向いているとは言い難いしな」

「…確かに、そうですね。あれが大トリだった?でも複数体出て来ていたから…」

 レフィーヤの顔が青ざめていくのも無理はない。

「あれはもしかしたらガネーシャファミリアとは関係ない、別の何かかもしれん」

 あれがもし、ガネーシャファミリアと関係なかったとしたら。何者かが手引きして地上に連れて来たか、中層辺りから地上に出られるモンスターが居るということになる。

「そ、それ、凄くまずいんじゃ…」

「だからガネーシャファミリアにどんなモンスターを確保していたか聞きに行く。杞憂だったらいいんだがな」

 杞憂でなくとも私にはどうしようもないが。結果が出たらロキかフィンに投げればいいだろう。

 

 手早く被害状況を纏めてガネーシャファミリアがいるであろう闘技場に向かう。多少渋られたがロキの名前を出して強引に押し通る。

「これが今回確保していたモンスターの一覧です」

 そして、手渡されたリストの中には植物型、及び蛇型モンスターの情報は無かった。

「ありがとう、これはロキに渡しておくが大丈夫だな?」

「はい、大丈夫です。今回はご協力ありがとうございました」

 時間も押しているので手早く確認したらすぐに集合地点に向かう。

「カーリーさん、やっぱり今回のモンスターは…」

「明らかな異分子だな。人為的か偶然出現タイミングが被っただけか、いずれにしろこいつは放置できる問題じゃない」

 打撃耐性よりも地力が高い事の方が問題だな。こんな奴らが街中にいきなり出て来たら人的被害は免れないだろう。

「ガネーシャファミリアは今回の件でしばらくは大々的に動けないだろう。そんな中でこいつが出て来て即座に対応できるファミリアがどれだけいる?」

「確実に言えるのは私たちロキファミリアとフレイヤファミリアですね…それ以外にも対応できる冒険者はいるとは思いますけどファミリア単位で挙げられるかと言われるとそこまで多くは…」

 やはりすぐにでもロキと相談した方が良さそうだな。遠征直後で忙しいだろうがこの問題はロキファミリアだけに留まらないからな。

 

 集合地点に着くとアイズの姿が見える…が、ロキの姿が見えない。

「アイズ!ロキは?」

「急用だって言ってた」

 なんて事だ、ことは一刻を争う可能性もあるのだが…急いでも仕方がないか。手がかりも少ないし、もしかしたら独自でこの問題に気づいたのかもしれない。とりあえずいないものは仕方がないからフィンに相談するか。

「その様子だと更なる問題でも出て来た?」

「もう疲れた〜!」

「ティオネ、フィンは今ファミリアに居るか?」

「多分居る筈よ、今日は遠征の事後処理で忙しいって言ってたし」

 忙しいところに仕事を増やすのは心苦しいがこればかりは仕方がないだろう。諦めて押し付けられてもらうことにする。

「それならいい。とりあえず帰ろう」

「ちょっと!団長に何の用事があるの?」

「今日倒したモンスターの話です」

「あ〜、あいつか〜。めんどくさい奴だったね〜」

 とにかくここにいてもどうしようもないので帰路に就くことにする。

 

「あぁ〜、普通のお祭りのつもりで出かけたのにな〜」

「とんだ日になっちゃいましたね」

「カーリーは初めての怪物祭だっていうのにこんな事になっちゃうなんて、ついてないわね」

「私がついてないのは今に始まった事じゃない。というか、なんか極端なんだよな私の運って」

 裏路地でよりにもよって23区に生まれるとか、そこで生き延びる事が出来たりとか。言ったらアレだろうから言わないが。

 それよりもアイズの元気がないのが気がかりだ。

「どうしたのアイズ?元気ないね?」

「服がボロボロになっちゃったから…ごめん」

「そう言えば私の服もボロボロだな、まだ一日しか着てないって言うのに…」

 いくら攻撃を避けたところで戦闘に耐えられるような素材ではないので余波だけでもこうなるのは必然だがな。

「あ〜みんなボロボロね」

「そういえばレフィーヤもカーリーに庇われていたとは言え一回派手に転がってるもんね」

 アレは失態だったな。敵を甘く見すぎて不意打ちを警戒していなかった。ヘイトが急に切り替わったのも原因ではあるが…言い訳はよそう。

「そうですね…服もところどころ擦り切れちゃってます」

「それじゃあまた今度みんなで買い物に行こ〜」

 ティオナがアイズに抱きついているのを眺める。

「そうだな、私ももう数着服を買っておこう。いつ駄目になるかも分からないからな」

「こんな事滅多に起きないわよ…」

 正直ティオネの言葉があまり信じられない。オラリオに来てから一週間もしないうちにこんな事件に巻き込まれたからな。

「アイズも!今度はまた違う服も見ようね!」

「…うん」

 アイズの顔に笑みが浮かぶのを見て安心する。流石に何があったにせよ友人からのプレゼントを一日も経たず駄目にしてしまうのは結構キツイからな。

 夕陽が沈んでいくのを眺めながら、胸の内にある焦燥を収めようと心掛ける。しかし漠然とした不安が消えることはなかった。

 

 風呂に入ってから夕食を済ませて、ロキファミリア団長の執務室の戸を叩く。

「フィン、いるか?」

「ああカーリーか、入ってきて大丈夫だよ」

 フィンから返事が返ってきたので扉を開ける。机の上には書類の山がいくつか積み重なっている。どうやらまだ仕事中のようだ。

「聞いたよ、大変だったね」

「ああ、とんだ一日だったな」

「それで君が手に持っているその書類は?」

「ロキに頼まれていた書類と…緊急の案件だ」

 その言葉を聞くなりフィンは目頭を揉む。

「ンー、どれくらい緊急か聞いてもいいかい?」

「素人目に見てオラリオの危機だな」

 次は上を向いて片手で両目を隠す。

「…そうか、今回のガネーシャファミリアの件と関係があるのかい?」

「それが無いかも知れないから問題なんだ」

「ああ、読めてきたよ。それは確かにオラリオの危機になりかねないね」

 フィンが親指を一度舐める。

「今回暴れたモンスターにガネーシャファミリアの管理外のモンスターがいた。それも強力なモンスターと言ったところか…」

「そうだな」

「これは最優先だね。とりあえず報告を聞こうか」

 

 私たちが戦ったモンスターの情報と数、そしてガネーシャファミリアの管理していたモンスターのリストを渡してしばらくの沈黙。

「これはまた厄介な問題だね、とりあえず後でティオネ達にモンスターの出てきた穴の情報を聞くとして…後でロキと話してからガネーシャファミリアに僕が直接伝えに行こう。ありがとうカーリー、これは重要な情報だ。闇派閥についても後で洗い直そう」

「すまないな、厄介な仕事ばかり持ち込んで」

「今回の件についてはカーリーは巻き込まれただけだろう?そう気に病む事は無いよ」

 そうはいってもここまで缶詰になっている姿を見ると少し申し訳なく思うな。

「まあ遠征の後処理については粗方終わっているし、今回の件も残念ながらできる事が少ないからすぐに終わるとは思うよ」

 ある程度はガネーシャファミリアに押し付けようとも思っているしね。と悪戯っぽく笑っているが顔には疲労の色が見える。

「あまり無理はしてくれるなよ?フィンが倒れたらこれ以上の騒ぎになるんだからな」

「それは僕も重々承知しているよ。リヴェリアやガレスも協力してくれているし、いざとなったらロキに働いて貰えばいいからね」

「こき使ってやれ、昼間から団員にセクハラする程度の暇はあるようだしな」

 食堂でエルフの胸を揉んで袋叩きにあってたのを見たしな。さぞかし暇なのだろう。

 

 フィンも暇ではないので用事も終わった事だし会話を切り上げて退室する。この後はやることもないしさっさと寝るか、と思ったところで正面からロキが歩いてくる。

「お〜うカーリーたん、今から寝るんか」

「そうだな、今日は忙しかったしもう寝るよ」

「その前に、ちょっと良いか?」

 すれ違う手前で呼び止められる。ロキの顔を見るとニヤついている。いやいつものことではあるんだが。

「カーリーたんなあ、今回の件ですこし有名になっとんのや」

「私が?」

「せや、『ロキファミリアのアマゾネス姉妹や剣姫が苦戦する敵の攻撃を往なした謎の女』ってな」

 あの時の戦闘を見られていたのか。まあ見ている奴もいるか、街のど真ん中で大立ち回りだしな。

「フレイヤに話振られた時は驚いたわ。まあ今回の活躍とフレイヤの耳聡さを考えれば不思議でもなんでもないんやけどな」

「フレイヤ?」

「性悪女神や、あいつは気に入った子なら他のファミリアの子でも強引に奪う奴やからな。フレイヤが言うにカーリーには興味あるけど少し趣味と違うし、今他に目をつけとる奴がいるって言っとったからちょっかいは掛けられんと思うで」

 また厄介な神もいたもんだな。ロキもなかなかの曲者だろうがそのフレイヤというのも負けず劣らずか?

「ま、しばらく町の噂はガネーシャファミリアとカーリーたんの話題で持ちきりかもな!ってだけや」

「そうか、まあそういう目で見られるのは慣れているから問題はない」

「そういや別世界のオッタル枠やったな、そりゃ慣れとるわ。じゃ!うちはこれからフィンとちょっと話すわ。おやすみ〜」

「ああ、おやすみ」

 街に来て一週間もしないうちに噂話の種になるとは思いもしなかったな…気にしても仕方がない、寝るか。




~なぜなに!プロムン教室~
今日は都市の武器について!
とは言ってもカーリーはEGOしか使っているところ見た事ないからまだ出てない外伝主人公のローランくんの武器から紹介するぞ!
都市にも鍛治師ファミリアみたいなものがあって、それぞれ作っている武器が違うんだ!
例えば『ホイールズ・インダストリー』は巨大な両手剣だったり、『ランちゃん…ではなく『狼牙工房』はナイフだったりするぞ!
都市には銃器もあるけど法律で威力の高いものは作れないからショボいぞ!
ローランくんはとても器用なのでメイン武器であるデュランダル以外にもいろんな武器が使えるんだね!それランスロットじゃね?

黒い人外伝(ダンまちで言うと本編)書いてるけどいつ出す?

  • 今すぐ出せ!Now!
  • 出す予定の場所(EGO武器使用後)
  • warp列車行き(チラシの裏)
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