オラリオは今日も平和だ。昨日の騒動も都市だと思えばちょっとした小火騒ぎにしかならないだろう。つまり何もなかったんだ。
どこかで見た女神からじゃが丸くんをアイズの分を含めて買って齧る。美味いな。
「ただいま」
「あ!カーリー!」
「ちょっと、何があったの。アイズが拗ねちゃってるわよ」
「カーリーがって言ってます!」
帰ってくるなり3人から質問攻めに合う。アイズはどこだ。私はアイズの機嫌を取らないといけないんだ。
「アイズは?」
「ゴブニュファミリアに行くって言ってました」
「ほらほら、さっさと吐きなさい。なんでアイズがあんなに落ち込んでいたのかをね!」
「ベートのことも知ってたりする?会っても『あー』とか『うー』しか言わないんだよね」
どうやらベートは見事に轟沈したようだ。南無三。
私は今からじゃが丸くんで機嫌を取ろうとしたことも含めて、今朝訓練場であったことを説明する。
「あらら、それはなんというか…」
「あまり私達が目くじらを立ててどうこう言う物ではありませんね」
「まあじゃが丸くんでなんとかなるかもね」
やはりアイズの機嫌を損ねた時にはじゃが丸くんが良いらしい。やはり私の目に狂いはなかったな。
「それでその背負っている剣は?」
「ああ、これか。これは椿に打ってもらった剣だ」
「おお〜、へファイストスファミリアの椿!ガレスの専属だよね?」
「私達にも見せてもらえる?」
背負っていた剣を鞘ごとティオナに渡す。興味深そうに3人で眺めているな。
「凄いけど…素材がアレね」
「もっと強度欲しいね〜」
「少なくともティオナさんが使うには脆すぎますね…」
そこら辺はどうしてもな…ガレスの金で作ってもらった物だし贅沢は言えん。自分で稼いで改めて新しい武器を作ってもらおう。
「私もお金稼がなきゃな〜武器溶けちゃったし…」
「そう言えば借金だっけ、まぁ頑張って返しなさいよ?」
「カーリーさんはダンジョンに行くんですか?」
「リヴェリアからダンジョンについて聞いてからだな」
『もしダンジョンに潜る予定なら私がダンジョンについて教えてやろう』と言っていたしな。
「て事はカーリーはお勉強会かぁ…明日までに間に合うかなぁ」
「明日?」
「アイズも借金ができる可能性があるから一緒にダンジョンに行こうって考えてるらしいわよ?」
ああ、そう言えば昨日レイピアを壊していたな。
「確かに一緒に潜れたら心強いが、いかんせん知識が無さすぎるからな、足を引っ張らないか心配だ」
「そんなの潜って覚えれば大丈夫だよ!ね?」
「その言葉をリヴェリアの前で言えたらあんたも一人前ね」
ティオナが目を泳がせている。どうやら面と向かって言う勇気はないようだ。
「でもおねーちゃんもレフィーヤもそう思うでしょ!?カーリーだよ!?」
「まあ言いたいことはわかるわ。でもダンジョンよ?」
「本当に色々ありますからね、腕っぷしだけじゃどうにもなりません、と言いたいんですけどね…」
レフィーヤがこちらをチラリと見てため息を着く。
「カーリーさんならどうとでもしそうですね」
「でしょお?そう思うよねえ」
「私も少し思ったけど言わないでおいたのよ、この子調子に乗るから」
「少し私を買い被り過ぎてないか?」
ぶっつけ本番が多い人生だったのは否定しないがそこまで信頼されるほど何でも成功してきた訳じゃないぞ。
「腕っぷしだけじゃどうにもならないとは言いましたけど、ある程度なら無茶は効きますからね」
「そうね、基本は腕が一番よ。知識もあるに越したことはないけどまずは戦闘能力ね」
「冒険者の基礎だよ基礎!大前提!」
「確かにそれは否定できないな。だが足りない実力を穴埋めできないわけではないぞ?」
いつの間にかティオナの後ろに立っていたリヴェリアが相づちを打つ。確かに知識によって生かされた経験も多い、知識はバカにできたものではないな。
「あー、リヴェリアさん?何時から居ました?」
「カーリーがダンジョンに潜ると言う話を始めた辺りからか」
「ほぼ最初からじゃん!」
「すまないな、少しどんな話をするのか気になってしまったのだが…ティオナは少しダンジョンの危険性についてしっかり学んでもらったほうがいいかもな?大切な武器も溶かされていたしな」
「そんなぁ!冗談でしょ!?」
どうやらティオナと共にお勉強会らしいな。ココロヅヨイナー。
「カーリーは何その目!そんな微妙な半目で見るのはやめてよ!」
「そりゃあんたが一緒になるって言うから不安になってるんでしょ」
「お、お勉強頑張ってください!」
「私は部屋に武器を置いてからリヴェリアの部屋に向かうぞ」
「ああ、私もティオナと一緒に部屋で待っているぞ」
リヴェリアの言葉を聞いたティオナが目を見開いてそちらを見る。
「え!?リヴェリア本気だったの!?」
「もちろん本気だったぞ」
ティオネにじゃが丸くんの入った袋を預けて武器を持って部屋へ戻る。
「とりあえず上層は巻きで行くぞ、流石にお前たちにここら辺をどれだけ教えてもな」
「やっぱり力こそ全てだね!」
「力押しが最適解な時もあるからな、できれば明日にはダンジョンに潜りたいしそれで良い」
「さてティオテ、これ位はわかるな?」
「え〜っと……テヘッ」
「嘘だろう…?カーリーよりも解ってないじゃないか…」
「本当か?流石にそれは…」
「小テストの結果だが…」
「83点だ」
「…」
「ティオナ、もしかしたら明日も勉強会が必要なのはお前かもしれん」
「…」
「ごめんなさ〜い!ゆるしてぇ〜!」
数時間に及ぶリヴェリアのダンジョン講座を終えて食堂に戻る。
「あ“あ“あ“〜つ“か“れ“た“〜」
「そうだな、長時間のデスクワークはやはり慣れんな」
「ティオナ、聞いたわよ?小テストが散々だったって」
ティオネの声にティオナが肩を振るわせる。後ろにはアイズとレフィーヤも居るな。
「カーリーが座学も優秀だって事は聞いたけどそれと比べるまでもなく酷かったんですってね」
「…」
「もしかしたらアンタに理不尽を教えるには体で覚えさせるしかないようね」
「も、もしかして?」
「完全に、とはいかなくてもテルスキュラ式の教育法で叩き込まなきゃダメかもね。団長たちの手を煩わせるのは気が進まないけど妹のためだもんね?」
「ご、ごめんなさ〜い!頑張るからリンチだけはやめてぇ!」
「あんたが不出来だと姉の私まで同じ目で見られるのよ!ほら!嫌なら勉強する!部屋に行くわよ!」
「ひ〜ん!」
ティオナはティオネに耳を引っ張られながら連れ去られる。まだ彼女の苦難は続きそうだ。
「す、凄い剣幕でしたねティオネさん」
「まさかこんなことになるとはな、流石に冒険者歴も長いから教える側とまではいかなくても高得点を取れると思ってたんだが」
「ティオナもティオネも感覚派だけどティオナはより感覚で覚えているから…」
「アイズは?」
そっと目を逸らされる。つまりはそう言うことなのだろう。
「でもカーリーさんは凄いですね、リヴェリア様が手放しで褒めるのは珍しいんですよ?」
「そうなのか?まあ年季の差って奴だろう」
「それにしてもだ。いきなり中層から下層の話に入ったが少しの質問とあの短期間であそこまでの成果を出せる者は今までいなかったぞ」
「リヴェリア様!?」
いつの間にかリヴェリアがレフィーヤの背後に立っていた。
「言ったろう、年の功…と言うよりは環境の差、だろうな」
「環境の差か…否定はできないな、私たちさえも今は地上に戻ればほぼ安全だからな」
「環境の差…?」
そういえばレフィーヤには聞かせたことがなかったか。確かアイズにも詳しくは話していないな。
「お前にはまだ早い」
「ああ~、はい、そういう系なんですね…」
「ティオネ達にもあまりそういう話題は振るなって言われた」
「テルスキュラとは別方向でも悲惨だったからな…正直私もフィンから聞いたときには耳を疑ったよ」
リヴェリアの目が死んでいる。あまり思い出したくない話題のようだ。
「聞いたときにはダンジョン云々より倫理や社会常識を教えなければならないかもしれないと悩んだよ」
「本当にどんなところにいたんですか」
「ノーコメントだ、アイズはティオネからあれは受け取ったか?」
「今回は許してあげる」
…もうなにも言うまい。
「アイズ…またじゃが丸くんで懐柔されているのか…」
アイズはそっと目を逸らした。
「そうだカーリー、明日一緒にダンジョンに行こう」
「ティオナ達も一緒なのか?」
「うん、ティオネはフィン次第だけど」
まあティオネらしいな。あれほど入れ込んでいるのだから予想はできた。
「私も行きます!」
「私も一緒に行くかな。残っている仕事も今日中に終わらせられるだろう」
アイズ、レフィーヤ、ティオナ、リヴェリアが確定か。もしかしたらティオネとフィンも参加するかもしれないとなると…
「私がサポーターだな。荷物は任せろ」
「うぇ!?私じゃないんですか!?」
「当たり前だろう?私が一番低レベルな上に後輩だぞ?」
「ああ、うん、間違いではないな」
「…そういえばレベル1だっけ?」
「嘘でしょ!?アイズさんと正面から戦えるのにレベル1!?」
レフィーヤが目を見開き声を荒らげる。そういえば私はこの世界だと規格外だったな。
「てっきりゼウスファミリアかヘラファミリアの生き残りか何かが来たのかと…」
「ああ、そう言われればそっちの方が自然だな…」
「確かに…」
確か昔の大手ファミリアだったか、たしかにいきなり一線級冒険者が入ってくるとすればそちらの方が自然か。
「彼女は別口だ、詳しくは言えないがな」
「言ったところで信じられないと思う」
「…何者なんですか本当に」
「ノーコメントだ」
まだ早いだろう。せめてミミックに相対できるようになってからだな。
「おや?ティオネたちは?」
仕事が終わった様子のフィンが私たちのテーブルに近づいてくる。
「ティオナと一緒にダンジョンの勉強だって」
「また急だね、何があったんだい?」
「訳あってカーリーと一緒にティオナにもダンジョンの勉強をさせたんだがあまり成績が芳しくなくてな…」
「ああ、読めたよ。それがティオネにバレて強引に勉強させられているんだね」
今も彼女は地獄を見ているのだろう。なんとか頑張っていただきたい。
「フィン、明日みんなとダンジョンに行く?」
「ンー、カーリーも一緒なのかい?」
「はい、団長が行くならティオネさんも一緒に来ると言ってました」
「それじゃあ息抜きも兼ねてついていこうかな」
それならティオネも一緒に来ることが決まったな。なんとも心強いパーティだ。
「みんなも準備があるだろうし、僕たちもまだ少しだけやることがある。出立は明日でいいかな?」
「うん、ティオナ達も今日中には終わらなさそうだしあとで伝えておく」
「私も大丈夫です!」
「私はいつでも構わないが…そうだリヴェリア、あとでサポーターの仕事とかを軽くまとめた紙を作ってくれないか?」
「わかった、すぐに準備しよう。あとで部屋に持って行く」
これでサポーターとして必要な準備もできるな。大きめのリュックとかも必要だろう。
「カーリーさんが後輩でサポーター…ちょっと恐れ多い気が…」
「レフィーヤもサポーターの仕事を教えてやってくれ」
「ひえぇ…」
明日が楽しみだな。ちゃんとダンジョンを探索するのは初めてだからな。
~なぜなに!プロムン教室~
なんで都市最強がサポーターになったんだ?俺にもわからんぞ…
まあ戦闘がないわけではないし、なんなら凄いことになる予定だからセーフ!やっぱ序列を重んじるってのは大事だからね!
ってことで今回は裏路地の大きな組織『五本指』の『親指』について!
この組織は規律と階級をすっごい大事にしているぞ!
例えば階級が下の人間は上の人間に絶対服従!質問は即時殺害!疑問なんて持たずに言われたことをやる!わかりやすいね!
階級が下の人間は上の人に話しかけることも難しいよ!ほぼ不可能だね!
あと礼節もすっごい大事にしているよ!お辞儀をするのだポッター!
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