ボールスたちの尽力によって街は封鎖され、街にいた冒険者達は水晶広場に集まっていた。
街は困惑と不安、そして理不尽とも言える拘束でざわめいている。
「それにしては案外すんなりと集まってくれるんだな」
「そりゃ第二級冒険者を殺せるような奴が、今もどこかに居るかもしれねえと聞いたらこうもなるぜ。孤立したらヤバいってのは馬鹿でもわかるだろ」
それもそうか。ここにはアイズやティオネたちよりも強い冒険者はいないようだし、ばらけて動いた結果各個撃破なんてことになったら目も当てられないしな
「お前ら以外の一級冒険者がいりゃわかりやすかったんだがな…」
「そんな目立つような奴がこんな動きをするとも思えないしな…」
…いや、少しおかしいぞ?何故ハシャーナを高レベルの冒険者だとわからないように処理しなかった?そうした方がもっと楽に動けた筈だが…
「どうしたんだいカーリー?何か気になることでもあったのかい?」
「ああ…フィン、開錠薬は有名な薬なのか?」
「そうだね、闇派閥ならまず知らない者は居ないだろうし、ある程度の規模のファミリアなら一人や二人は知っててもおかしくないんじゃないかな」
となるとやはりおかしい。捜査を難航させるなら頭、と言うよりは顔を潰すだけでなく背中も潰す筈だ。八つ当たりで潰しただけなら良いんだが…
「何か引っかかるな…考えすぎか?」
「聞かせてもらえるかな?」
「いや、具体的な犯人像が掴めなくてな…ハシャーナをあんな風に殺した闇派閥の冒険者となるとレベルが相応に高い、つまりその分経験を積んでいる訳だ。それなら衝動的に頭を潰すか?もし身元を分からなくする為なら開錠薬のことも考えて背中も潰すだろう?どっちつかずと言うか、素人感があるといえば良いのかな、そんな感覚がするんだ」
「…確かに、背中を潰していたら容疑者はもっと多かったかもね。犯人が闇派閥だとしてそう賢くない下っ端がハシャーナを殺せるとは思えないし…確かに少し気になるね」
考えすぎな気もするがな。少し疑心暗鬼になりかけているのかもしれない。
「とりあえず今は目の前のことに集中するか」
「そうだね、ここに犯人が居なかった時に考えるとしよう」
とりあえず女の冒険者を調べるとしよう。
「さて、どう調べるかな。ステイタスを直接調べるのはダメなんだろう?」
「そうだな。流石にそこまで横暴なことは出来ないだろう」
面倒だな。ロキファミリアの名前で強行できないものか。
「まずは身体検査や荷物検査といったところだね」
「うひひっ、そう言うことなら…」
ボールスが下卑た笑みを浮かべる。男が考えることはどの世界も一緒らしい。
「よおし!女ども!体の隅々まで調べてやるから服を脱げえ!」
周囲の男共から大歓声が上がる。こいつらは一回しばいた方がいいかもしれない。
「馬鹿な事を言っているな。私達で検査をするぞ」
レフィーヤが列を整理して私達で身体検査をすることになった。
「それじゃあこちらに並ん…で…」
筈なのだが、フィンの前に長蛇の列ができている。この世界は女も『そう』なのか…
「カーリー、そんな顔をしないでくれ。こいつらがちょっとおかしいのと、フィンの人気がありすぎるだけだ」
リヴェリアの弁解を他所に、黄色い歓声が聞こえてくる。
「フィン、早く調べて!」「お願い!」「体の隅々まで!」
「……」
なぜ今までティオネにあそこまで警戒されていたか何となくわかった。確かにいつ誰に取られるか分からない訳だ。
「あ・の・アバズレどもッ…!?」
私の冷たくなっていく視線とは対照的に、ティオネは暖かくなっていく。怒りのあまり物理的に温度が上がっているのだ。
「ちょっとぉ、ティオネー!?」
「離しなさいっ!団長が変態どもに狙われているのよ!?」
それはひょっとしてギャグで言っているのだろうか。そうでないとしたら鏡を持ってきてティオネに見せた方がいいかもしれない。
「フィンが押し倒されたぞー!」
「いや、お持ち帰りされたー!」
どうやらフィンはえらい目にあっているようだな。早く助けないと裸に剥かれてしまうかもしれない。今し方真っ二つになった上着の片割れがこちらに飛んできた。
「うがァああああああああ!!!」
ティオネが怒りのあまり髪を逆立ててティオナの拘束を振り解き、フィンに群がる女たちをちぎっては投げていく。
「これは…どうしたものかな」
「うん、と…」
「あぁ、もう何が何だか…」
これはもう全員死なない程度に叩きのめしてから身体検査するしかないかもな。仕方がないので背負った剣に手を伸ばす。
「カーリー、気持ちはわかるがそれはやめてくれ。私たちが何とかするからそこでじっとしていてくれ。頼む」
「ほら!リヴェリア様もこう言っていますし任せてじっとしていましょう!」
二人に止められてしまったので剣から手を離す。諦めて事態が収束するのを待つか。
「…?」
「アイズさん?」
アイズが何かに気づいたようだ。その視線の先には…明らかに挙動不審な獣人の少女がいた。
「アレは…どうするかな」
「私が行く。カーリーとレフィーヤは待ってて」
「いや、レフィーヤは連れて行け。一人にはなるな」
私とアイズが一緒に行くのが最善ではあるが…あの少女からは危険を感じないからな。大方緊張が限界に達して逃げ出そうとしているのだろう。レフィーヤもすこし悲しそうにしているように見えたしな。
「…わかった」
「ありがとうございます…カーリーさん」
手を振って返事をする。そろそろ私も『穏便な手段』でこいつらを大人しくさせるとするか。
暫くして群衆の騒ぎが収まる。結構時間を食ってしまったな、できるだけ手早く行こう。
「あれ?レフィーヤとアイズは?」
「挙動不審な獣人の少女を追って行った。私はそれを報告をするために残った」
「そうか…手早く身体検査と荷物検査を終わらせるか」
とは言えこの人数だ。相応に時間はかかってしまうだろうな…考えていてもしょうがない。さっさと手を動かすとしよう。
身体検査と荷物検査に一区切りがついた頃には、もう直ぐ夜になるのだろうか、天井の水晶の明かりは弱くなっていた。
「全く、もう少し早めに終わらせたかったんだがな」
「アイズたちも帰ってきていないな。何もなければいいのだが…」
「流石に騒ぎもなしにアイズを倒せるような奴はいないと思うけどなー」
今の所それらしい発見はなし、無駄骨と言う気はないが得られた情報は手間と時間に対して少なすぎる。犯人は逃げたのだろうか。
「さて次は、どうしたものかな…フィン?」
フィンの様子がおかしい。親指をしきりに気にしている。何か考え事でもしているのだろうか。
「…嫌な予感がする」
「突拍子もないな、だが嫌な予感か…そういうものには従った方がいいのは分かるが、どうすればいいか分からなければな…!?」
地面が大きく揺れる。周囲で爆発が起きた様子は無し、地震というにはあまりにも性質が違う。それに近づいてきている!
「こいつらは!」
「またこいつら!?本当にどっから湧いてきてるのよ!」
「ティオナ、ティオネ、彼等を守れ!」
怪物祭で見た食人花のモンスターが向かってくる。数は…数え切れないほど多い。そしてこの騒動で多くの人間が散り散りに逃げようとしている。
「散るな!複数人で固まって動け!」
「みんなっ!逃げちゃ駄目だって!」
モンスターに剣を振り下ろすと面白いように切れていく。やはり獲物さえあればどうとでもなる相手ではあるが…
「クソ!数が多いな!」
触手に捕まり今にも喰われそうな冒険者を助けながら周囲を見渡すが、討伐速度よりも敵の出現速度のほうが多い気がする。
「なんかカーリー異様に強くない!?アイズと戦った時より明らかに強いんだけど!」
「それは後にしなさい!ああもう、散り散りに逃げられたら守れるものも守れないわよ!」
迎撃しようとした冒険者たちは触手で薙ぎ払われ、体当たりによって宙を舞う。
「仕方がないな…フィン!EGOを使う!」
「それは…ああ、今は手段を選べる状況じゃないな。使ってくれ!」
怪物祭の後、あまり人前で使わないほうがいいと言われたEGOをこうも早く人前で使うことになるとはな。だがこれで圧倒的に楽になる。
「なんかもうベートくらい早くなってるんだけど…」
「凄いわね…カーリー!そっちの方向は任せるわ!私たちは反対側に行く!」
ティオネ達は返事を待たず行動に移す。正しい行動をしてくれるのはありがたいな。問題があるとすれば…
「クソ、アイズ達はどこだ?」
アイズ達は一向に見つからない。おそらく何らかのトラブルに巻き込まれているのだろう。だがボールスやリヴェリアの行動によってある程度動きやすくなっているとは言え探しに行けるほどの余裕もない。
そこら中で悲鳴が聞こえる中、手当たり次第にモンスターを屠っていく。しかし数が減る様子はなく、冒険者の被害は増えるばかりだ。
「ああクソ、鬱陶しい!」
リヴェリアの方に集中しているとは言え、数が多すぎるせいか所々で冒険者を襲い続ける奴もいる。
「カーリー!退け!」
フィンの声に従い身を引くと目の前の敵の集団が消し飛ぶ。リヴェリアの魔法か。辺りから歓声が上がる。
「まだ残党がいるな…狩ってくる」
「ああ、EGOの使用は君に任せるけど念のために余力は残しておいてくれ」
「わかった」
カーリーに指示は出したし、リヴェリアの魔法で時間的余裕ができたのでボールスと軽く会話をする。
「おい、フィン。あいつは何者なんだ?明らかに新入りの実力じゃねえぞ。どっから引っこ抜いてきたんだ」
ひとしきりボールスの愚痴を聞いた後、脈絡もなくカーリーについて聞かれる。
「彼女を疑っているのかい?」
「そういう訳じゃねえけどよ、明らかにおかしいだろ。あんだけ強い上にあんな特徴的な装備を身に纏った冒険者が、今の今まで無名なわけがねえだろ。明らかに最近使えるようになりましたって感じでもねえしな」
ボールスの言い分は良くわかる。ティオナ達よりも明らかに能力が高い冒険者なんて余程の事がない限りファミリアを移籍することはない。しかも赤い霧を撒き散らしながらの大立ち回り、印象に残らないはずもない。
「別に答えたくなきゃ答えなくてもいいけどよ、それは俺に限った話だ。今あいつに救われた冒険者は何人いる?そいつらから質問責めにあうのは目に見えてるだろ」
「そうだね…ボールスが何とかしてくれないかい?」
ボールスに睨まれるが、恐らくこの要求は通るだろう。
「…チッ、今回だけだぞ。あの姐ちゃんに子分を何人か救ってもらってるからな、その借りを返すだけだ」
彼女は知らないだろうけど救った冒険者の中にはボールスの手下もいた。冒険者という生き物は貸し借りに拘る生き物だから相手がどう思おうと借りを作ったと思えば返す物だ。
「助かるよ、正直そっちに対応している余裕もなさそうだしね」
「おい、そりゃどういう事だ」
ボールスの質問を黙殺して戦況を見極める。大分落ち着いてきたというのに親指の疼きは治まらない。
ある程度戦況も落ち着いたのでEGOを解除して周囲に残ったモンスターを片付けていく。辺りには変色した魔石以外にも冒険者の亡骸やその一部が転がっている。
「はあ、アイズ達は何処だ?レフィーヤが無事だといいんだが」
このモンスターの量だ。いくらアイズが強くても一人で他人を守れる余裕があるとは思えない。できるだけ早く加勢しなければいけないのだが…
「次は何だ!」
遠くで蛸のような下半身を持った巨大な極彩色の女が見える。足は今し方狩った食人花のモンスターが連なって形成されているようだ。
「あいつが元凶か?今までどうやって隠れていたんだか…」
逸る気持ちを抑えて一度フィンの方へ戻るか。ここで足並みを乱すのは良くない。
広場にたどり着くとフィンとリヴェリア、ボールスが話し合うのが確認できた。側にはアイズとレフィーヤ、それに獣人の少女の姿も見える。
「アイズ、レフィーヤ、無事だったか。フィン、あいつは?ここの階層主だったりするのか?」
「分からない、似たようなモンスターは知っているけどこの階層に出てくるような奴じゃないね」
フィンの口ぶりから察するに下層どころか深層のモンスターかもしれない。だとすると対抗できるのは私たちだけか。
「50階層のモンスターも、あの胎児のせいでこんな風に…?」
50階層か…これは骨が折れそうだな。倒すだけなら何とでもなるだろうが、被害を抑えるとなると厳しい戦いを強いられるだろう。
「ついたー!カーリー!大丈夫?怪我してない?疲れたら無理しないでね?」
「大丈夫だ、まだ戦える」
「どんな種があるか分からないけど今のカーリーは私たちより強いわよ。無駄な心配でしょうね」
ティオナとティオネも来たことだし、敵も今や目と鼻の先だ。反撃開始と行くか。
巨大モンスターはアイズに向かって突進してくる。アイズはレフィーヤに獣人の少女を預けて人気のない方向へ向かう。
「他の雑魚と同じく魔法に反応しているのか?」
「そのようだね、EGOには反応しないんだっけ?」
「そうだな、今回も使ったが特に狙われると言ったことはなかったな」
ティオネとティオナは先に迎撃に向かう。
「それじゃあEGOを使って迎撃してくれ。おそらく君はスキルの効果で今、ステイタスがかなり上がっているはずだ。アイズが交戦した女も気になるけど先にあのモンスターを片付けよう…そうだな、リヴェリア、カーリーの手は必要かい?」
「そうだな…保険になるがレフィーヤに付いていてくれるとありがたいな。例の女に奇襲される可能性もなくはない。私はある程度自衛できるがあの子はまだそう言った技術に疎いからな」
それなら確かに私が守ったほうがいいかもしれない。私よりもフィン達の方があのモンスターのことを知っているだろうしここは素直に従うのがいいだろう。
「了解だ。出来る限りのことはしよう」
「何事もなければいいんだがな…」
「ここまでやっておいて何のアクションも無しというのは考えにくいね。最大限警戒しておいてくれ」
レフィーヤと共に配置に着く。
「どんな風に動くかは完全に一任する。もし必要なら私のことはレフィーヤの好きなように使ってくれ」
「は、はい!分かりました!」
とは言え私は前線に出なければ戦闘はできないし、レフィーヤも魔法を使ったらあいつがこっちに突っ込んでくるのか…しばらくは暇かもな。
そう思った矢先、アイズが赤髪の女に襲われる。
「アイズさん!?ど、どうしよう…」
「落ち着け、まずはこいつを片付けてからだ。一対一なら死にはしないだろう」
赤髪の女がアイズを広場から遠ざける。こちらとしてもそろそろ動きがあって欲しいところだが…
リヴェリアが粗方弓を打った後、こちらに向かってくる。
「レフィーヤ、以前行った連携を覚えているな?あれをやるぞ」
「わ、わかりました!」
「あれが成功すればアイツも相応のダメージを負うはずだ。カーリーはその後に動いてくれ」
「わかった」
リヴェリアが遠ざかっていくのを尻目にレフィーヤと共に移動してモンスターを挟む形になる。
「挟撃か」
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。】」
リヴェリアの詠唱と同時にレフィーヤも詠唱を始める。リヴェリアは目で見てわかるほどに魔力を迸らせながら、それとは対照的にレフィーヤは魔力を身の内に抑え込みながら魔法を紡いでいく。
「【同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。】」
モンスターはより強い魔力を感じる方へと向かうようだ、この場合はリヴェリアか。確か魔法は制御が難しいんだったな。モンスターに狙われたリヴェリアはあっさりと魔法を破棄してモンスターの攻撃を躱す。
「【雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」
片方が囮となってもう片方の魔法を確実に成功させる戦法か。これはかなり効果的だろう。
「総員、退避だ!」
「でけえのが来るぞ!」
フィンとボールスが射線上から冒険者を退避させると同時に、モンスターがこちらを見るがもう手遅れだろう。
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!」
炎の矢が嵐の如くモンスターに降り注ぐ。ソレが当たった場所はモンスターの体を焼きながら抉り取る。
10秒もすれば目の前は火の海となっていた。モンスターは満身創痍、フィンとティオナ、ティオネはほとんど消耗していない。勝負は決まっただろう。
「レフィーヤ、ここからは一人で大丈夫か?」
「はい、まだ動けます!カーリーさんは行くんですね」
「そうだな、この調子ならあの3人だけで十分だろう。私はアイズを助けにいくとしよう」
「わかりました…気を付けて下さいね」
「大丈夫だ、これでも対人戦は少しばかり得意だからな」
流石にアイズが負けるとは思えないが、もしかしたら苦戦しているのかもしれない。早く助太刀に行くとしよう。
アイズ達の向かった方角に駆けていくと、そう時間も掛からずに叩き切られそうになっているアイズを見つけた。
「何をしくじっているんだか、な!」
間に合いそうにもないので剣を投げつける。高速で飛来する大質量に気がついたのか赤髪の女は攻撃を諦めて回避した。
アイズの目の前に突き刺さった大剣を拾い直して敵に向かい合う。
「お前がハシャーナを殺した奴か、大人しく投降してくれるとこっちとしても楽に済むんだがな」
「何だ?貴様、邪魔をするな」
投降する気はなさそうだ。仕方がない、何とか無力化するか。
「腕や足が飛んでも恨むなよ?」
突進で距離を詰める。相手の攻撃を剣で受け流して腹部をまっすぐ蹴り飛ばす。
「ぐう!?」
どうやら舐められていたようだ。怯んだ隙に剣を振り下ろす。敵も長剣で受け流そうとするが攻撃を少し止めた後にあっけなく折れてしまう。
「クソ!使えないな!」
振り下ろしを回避して、残った剣の残骸をこちらに投げ飛ばしてくるのを弾いて攻撃を続ける。相手は徒手での戦闘も手慣れているようで、冷静にこちらの攻撃を往なしてくる。
「まったく、何も予定通りに行かなくて腹がたつ!」
「それには同意するな、お前のせいで私の予定は無茶苦茶だ」
視界の端でフィンとリヴェリアが駆けつけてくるのを確認する。それならば使える手は増えるな。
隙を見て、剣をしっかり握って、強く振り下ろす。回避できない速度と悟った相手は両手で挟むように剣を止める。
「完璧だね」
その隙を逃さずに敵の足を地面と縫い付けるように槍が飛んでくる。飛んでくる槍に気づかれたが、回避できないように剣を押し込んで動きを止める。
「ぐあああ!?」
槍が足に刺さったのを確認して一歩下がる。
「まったく、抵抗しないでさっさと諦めてくれればこうはならなかったのにな」
「アイズ、レフィーヤ、こいつが例の犯人かい?」
「は、はい!間違いありません!」
「うん…」
足を抑えて蹲る女を見る…まだ何か手がありそうだな。
「警戒は解くなよ、こいつはまだ何か隠してる」
「とりあえず僕が話を聞こう」
フィンの言葉で一歩下がる。おそらく私よりもこういう事は得意だろう。
「さて、君がハシャーナを殺した犯人で、モンスターを統率していた調教師かい?」
女は黙ってこちらを睨みつけるだけだ。どうしたものかな。
「これは手強そうだね。カーリー、何かいい手はないかな?レフィーヤが居るから出来れば過激な手段以外でね」
「過激な手段しか思いつかないな」
そんななまっちょろい手なんて都市じゃ使った事もない。むしろ使うような奴がいるのか?
「う〜ん、ここだとどうしても使える手は限られるね。とりあえず拘束して連行するかな」
「ここまで強いと拘束するのもな…腱を切るか」
「だから過激な手段はやめてくれ…と言いたいけどそれしか手はないかもね」
レフィーヤが顔を青くする。リヴェリアとアイズも顔を顰めているあたりあまり使いたい手ではないのだろう。
私たちがあれでもない、これでもないと話していると、女がぽつりと呟く。
「…クソッタレめ、仕方がないな」
目を見るに諦めた訳でも無さそうだ。となると何かを仕掛けてくるか。
「…誰だ?」
突如として現れた気配に振り向くと、白装束に獣の頭蓋のような仮面を着けた男がいた。
「リヴィラでは見なかったな、敵か」
「全く、手のかかる…と言いたい所だがこの相手、この人数では分が悪かったか。特に赤髪のお前だ」
とりあえず何かしてくる前に無力化するか。先んじて突っ込む。
「これは…想像以上だな。確かにこんな奴を相手にしていれば他所からの攻撃に気を配る余裕もないな」
地面が揺れる、またモンスターを呼び出すのか。相手の手札は無尽蔵か?
「全く、本当に今回は災難続きだね」
「レフィーヤ、移動するぞ。この距離では私たちには荷が重い相手だ」
「は、はい!」
数も多い、アイズとフィンはモンスターに掛かり切り、私は目の前の男から目を離せない。この距離でこいつら相手に魔法は使えない、となるとこの隙に逃げられるか。
「不味いね、逃げられそうだ」
女は自分の足と地面を縫い付けている槍をへし折って撤退を始めている。かといって私にはどうにか出来る余裕はない。
「今回はここまで手駒を使う予定ではなかったのだが、仕方がないな」
モンスターの追加と共に大きく距離を離される。EGOを使って距離を詰めて一太刀入れるがそれまでだ。
「む!?…まさかあそこから一撃入れられるとはな、お前の顔は覚えておこう」
私の一撃は肌の表面を斬っただけだった。大きく血は滲んでいるが傷は深くはないだろう。あっけなく撤退を許すことになる。
「ああ、クソ。仕方がないか…」
追いかけるほどの余裕もない。とりあえず雑魚を片付けるとしよう。
〜なぜなに!プロムン教室〜
今回は外部作品『リヴァイアサン』について!
赤い霧が消えてから数年が経った後の話だぞ!今回の主人公は『赤い視線』ヴェルギリウスおじさんだ!リンバスカンパニーで囚人達の管理や主人公の案内もしているぞ!囚人達を戦わせるよりこの人を戦わせた方が早いとかは言わないお約束だ!
『リヴァイアサン』では事務所で働きながら孤児院を経営する心優しきおっさんだ!
ある日にウサ耳が生えたり指タッチさせてきたり馬面になったりとネタ方面にも事欠かないぞ!
ああ追伸よ、お前は決して俺から離れなかったゆえ、俺はついにお前を尊敬するまでに至った。
身体が闘争を求めるのでしばらく更新止まります。外伝の方はあると思う。
R社のカラスチーム所属としてがんばるぞ〜!
黒い人外伝(ダンまちで言うと本編)書いてるけどいつ出す?
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今すぐ出せ!Now!
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出す予定の場所(EGO武器使用後)
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warp列車行き(チラシの裏)