待機地点に向かう道中、ミミックを貸したティオナが興奮しながらモンスターを叩き切る。
「すっごいコレ!普通に振ってるだけでわかる強さ!ちょっとサイズ弄れば遠征前に持ってた武器よりも強いかも!」
「貸してみろ」
ティオナから一度ミミックを預かり長く、太く、そして重くする。
「うわぁー!何コレ何コレ!こんなに何でもできるの!凄い!」
「本当にすごいわね、その人に合わせたサイズに出来るって所が鍛冶屋泣かせね。見た所十二分に頑丈そうだし…次の遠征で持っていけないかしら」
「くそぅ〜待機地点についたら貸すんじゃぞ!絶対じゃからな!」
「ガレス…強く興味を惹かれるのはわかるがかなりみっともないぞ…そもそもその台詞はティオナではなくカーリーに言うべきだろうに…」
リヴェリア以外はミミックの性能に大興奮している。熱狂具合が凄まじいな。
「なぁリヴェリア、いくらなんでもここまで興奮するのは異常じゃないか?これよりいい武器は無いのか?」
「剣としてのスペックだけならこれ以上の武器はあるだろうが…おそらく不壊属性の武器と同等の耐久性があると思われる武器だからな、不壊属性かつコレほどの性能となると流石にあるか判らんぞ。しかもコレはさらに追加で能力があるとなると…神自らが生み出した武器となるだろうな」
「椿に頼んだら作ってくれるかのう…後で限界まで重くしてみてくれ!頼む!」
「別に構わないが…あんたの武器は斧だろう?そこまでこの剣に惹かれるとは思わなかったな」
「そりゃここまで特殊で強い武器を見たら誰だって興奮するじゃろ。リヴェリアだってこんな澄ました顔しとるが意識はずっとミミックに釘付けじゃぞ」
「私は未知の武器に対して警戒しているだけだ!というか実際に精神汚染される武器なんだろう。お前達も浮かれてないでもっと警戒をだな…」
ガレスとリヴェリアが言い争いを始めてしまった。と言うよりはリヴェリアがガレスに説教していると言った感じだが。
「コレ本当に不思議な武器ねぇ、もしかしてそのコートとかも特殊な防具だったりするの?」
「いや、コレは多少の耐久力を兼ね備えた普通のコートだ。防具は自分で用意できるからな」
「へー!今持ってるってこと?ちょっと見せて〜!」
あまり気は進まないが…仕方ない見せてやるか。
「わかった、今から見せてやる」
「やったー!」
「もう既にダダ甘になってるわね…まったくもう」
いつもとやることは変わらない。ただ自らのEGOを発現させるだけだ。
「…何コレ」
「信じられんな…魔法の一種か?だが詠唱も無しか。しかしコレは…」
「そんなことよりこの馬鹿げた力の塊みたいな防具じゃろ、明らかに一線級を遥かに超える力を持っとるぞ」
「すごい…これもEGOってやつ?」
「ああ、これは正真正銘の私のEGOだ。幻想体から抽出した物ではない」
しかし違和感を感じるな。明らかに弱くなっている?理由はわからないが、こんな時研究所のメンバーが居てくれたらな。
「何というかまぁつくづく規格外ね。明らかにミミックより高性能じゃない」
「でもミミックみたいな威圧感はないよね。ミミックがモンスターや闇派閥だとしたら…ガレスが前に出てる時とか、共闘した時のオッタルみたいな頼もしさって感じ?」
「あ〜そうじゃなぁ、確かにアイツが仲間にいる時の雰囲気を凄まじく強くした感じか」
「待て、自らのEGOと言うことはカーリーも幻想体なのか?」
「いや、私は人間だ。人間のまま自らEGOを発現したのだが…知り合いの研究者に規格外と言われたから例外として捉えてくれ」
尤も、私たちの理想に一番近かったのが私のこの状態だったのだが。今は関係ないな。
「これは確かに最強名乗れるかも…恩恵なしでここまでの力を出してる時点でおかしいもん」
「これミミックを合わせれば私たちと勝負になる程度の感覚はあるわね。負ける気はしないけど油断したら普通に相打ちにまで持ってこられるでしょ」
「少なくとも油断は出来んな。わしなら完封できるかもしれんが、いやミミックの機能が多すぎてわからんな。初見で無傷とは行かなそうじゃ」
「私は流石に厳しい戦いになるだろうな。流石にこのレベルの前衛と一対一はやりたくないな」
「そろそろいいか?コレはかなり気を張っている状態だから少し疲れるんだ」
「あ、うん!もう大丈夫だよ〜」
EGOを解除する。やはり消耗も激しくなっているな。原因の究明を急いだほうがよさそうだ。
「どうした?随分と不満げじゃないか。流石に絡みがキツくなってきたか?それなら私から言ってやるが」
「いや、EGOに違和感を感じただけだ。もしかしたら転移の影響かもしれないな。使う時は慎重に決めなければ」
「そうか、あまり無茶はするなよ」
何かが引っ掛かる感じだ。転移の影響か宙に浮いているような感覚もある。コレはあまりいい状態とは言えなさそうだ、気を引き締めておこう。
「私もあんな防具欲しいな〜、あ、でも全身鎧ってのはアレかもな〜」
「確かにあの防具はかなりよさそうね。ガレスとかに一番あってそう」
「そうじゃなぁ、一応椿に聞いてみるか…だがあそこまでの性能となると、値段もそれはもう恐ろしいことになるじゃろうな」
ティオネとティオナは…何というか、戦闘するような格好には見えないな。ガレスは軽装だが恐らく今装備してないだけでちゃんとした防具があると見た
「…なぁカーリー、確かEGOというものはその存在の一部分を抽出したものだったか?」
「確かそうだったはずだ…正直私もよくわからん。研究者ではなく一介の戦闘員みたいなものだったからな」
「と言うことはさっきの防具はカーリーの何かを映し出したものということか?」
「そうなるな」
「ふむ…」
リヴェリアが黙り込んでしまった。今の質問は何だったのだろうか。
「きっと未知の技術について考えてるんだよ。さっきの魔法っぽかったし!」
「もしくは違和感について考えているかね。少し慎重すぎる気もするけれどこのメンバーだったらそれくらいで釣り合いが取れている気もするわね」
「そうじゃな、わしらも考える時は考えるが基本は悩むより動く派じゃからな」
「私もそうだな、身の回りにいたのがほとんど研究者だったし、私に期待されていた役割は用心棒だったからな」
外郭は危険が多かったからな。少なくともここいらのモンスターどころか、最初に倒したミノタウロスも歯牙にも掛けない化け物がいたな。
「どんなモンスターがいたの?ウダイオスみたいなでかいのとかいたのかなぁ」
「それはもう色々いたな。このミミックの元になった何もないは人の肉体を奪おうとするかなり危険な幻想体だったし、死体の塊の化け物もいたぞ」
「想像以上にグロテスクな化け物が出てきたわね…もうちょっとマイルドというか、モンスターっぽいのは居なかったの?」
「モンスターか…そうだな、口が二つあるサメに人間の下半身がついたような奴がいたはずだ」
「おお!ミノタウロスみたいな感じ!?」
「アレとはかなり毛色が違う気もするが…まぁそんなものだ」
「はえ〜強かったの?」
「能力が少し鬱陶しかっただけで全然弱かったな。『何もない』はとんでもなく強かったが」
「カーリー相手にとんでもなく強かったって言わせるとか恐ろしいわね…どんな奴だったの?」
「純粋に攻撃が効かない。力尽くで抑え込んだがかなり手こずったな…」
「うわぁ〜面倒くさ〜私たちが戦っても時間かかりそうだねぇ」
正直あの時は敵が多かったし、爪が二人がかりで妨害してきていたからとんでもなく苦戦したが一対一ならもっと楽に倒せてただろうな。もっと早く戻れていれば…いやあの日外出していなければもっと被害は少なく出来たはずなのに…
「カーリー!また難しい顔になってるー!」
「あ?ああ、すまない、少し考え事をしていてな」
「こういう時は…武勇伝よ!一線級の冒険者たるもの一個や二個は自慢できる武勇伝をもってなきゃね!」
「そうだね!カーリーって特色って奴なんでしょ?フィクサーっていうものがあまりピンとこないけど、話を聞くに冒険者っぽい話もいくつかありそうだね!」
「ふむ、それほど自慢できる話はないが…それじゃあ先ずはティオナから話してくれないか?どんな感じの話がいいか把握したい。」
流石に敵組織を一人残らず殲滅した話などが適切とは思えないからな。恐らく幻想体との戦闘の話が良さそうだ。
「まっかせなさ〜い!じゃあ先ずは軽く…オラリオに来てから初めてレベルアップした時の話かな!」
武勇伝か…『赤い霧』、『都市最強』と呼ばれるようになってからも多くの名声を上げてきた自負はあるが…所詮力だけがあったところでな…
夢は未だ醒めない。
〜なぜなに!プロムン教室〜
今回はコメントでチラッと出ていたねじれについて!
赤い霧の最後の戦いから十数年後にとある企業のやらかしで都市中に人がいきなり化け物になる現象が発生するようになったんだ!だからここのカーリーはねじれの存在を知らないぞ!
深く絶望した人がねじれになりやすいとか何とか言われているけどあまり詳しいことはわかっていないぞ!まどマギみたいだね!
このねじれになる瞬間に誰かの声が聞こえるそうだ!ここで踏みとどまると『ここはマジで最高にかっこいい場面があるからライブラリー オブ ルイナーをやってくれ、頼む』になるぞ!