赤い霧がダンジョンにいるのは間違っている   作:ピグリツィア

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明日の予定

 待機地点に着いてからそこそこの時間が経った後、フィンとリヴェリアが大きな荷物を持ってやってきた。

「やぁみんな、随分と親交を深めた様だね。カーリーには悪いけど僕とリヴェリアの3人でここで一晩明かす事になったよ。ティオネとティオナはみんなが心配しているから今日のところはガレスと戻ってくれるかい?ガレスは指揮を引き継いでくれ。流石に問題は起こらないと思うけどね」

「別にここで一晩明かすのは何も問題ないが…トップが長く拠点を開けても大丈夫なのか?」

「最初は僕1人でカーリーとここで待機する予定だったんだけどね」

「私たちが一晩不在にした所でどうこうなるほどうちのファミリアは柔じゃない。それに男女2人きりで夜を明かすと言うのは少し外聞が悪いだろう?追加で言うととある理由でフィンと2人きりにするのは少しばかり問題の火種になりそうだと思ったのでな」

 最後の言葉と共にリヴェリアはティオネの方を見る。みんな納得した様な顔をしているあたりティオネに何かしらの原因があると見た。

「別に私は構わなかったのだがな、まぁそちらで決めたのならば私には異論はない」

 構わないと言ったあたりでティオネからそこそこ強い殺気をぶつけられる。いきなりどうしたんだ、思わずミミックを構えそうになったぞ。

「ガレスとリヴェリアじゃダメなんですか?団長が多少長く空けても問題ないとはいえ…何か良くないじゃないですか」

「なんか良くないとは何だ。言いたいことはわかるがこっちにも必要な話があるんだ。結局ロキの元まで行って話し合いをしたようだしな」

「ほらお姉ちゃん〜団長を困らせるのは良くないから早く戻ろうね〜。みんな心配してるらしいし早く戻って安心させてあげよ?」

「ぐうぅ…カーリー!くれぐれも団長に色目を使ったりしない様に!わかった!?ちょっと優しくされたからってコロッと落ちない様に!リヴェリアもきちんとカーリーを監視しといてくださいね!」

 ティオネの目が凄まじく血走ってて怖い。誰が色目なんか使うか、そういうのはカルメンの仕事だ。いやかなり語弊はあるが少なくともそういうのは私には全然向いてない。

「じゃーねカーリー!またあとでいっぱいお話ししようね〜!」

「最後の最後にティオネが迷惑かけたの。それじゃまた明日な!」

 ガレスがティオネを引きずっていった。それを見なかった事にしてティオナに手を振りかえす。

 

「はぁ、なんか本当に申し訳ないな。ティオネは何というか、フィンのことになると見境がなくなるからな」

「ああ、凄まじい豹変ぶりだったな」

「なんかごめんね?多分君にどうこうすることはないと思うけれど彼女は僕のことに限っては少しばかり神経質なんだ」

 先ほど4人で話していた時とは別人の様な豹変ぶりだったな。何が彼女をあの様にするのか皆目見当もつかないな。

「さて、ここからはかなり大切な話だ。わからないことがあったらすぐに聞いてくれ」

「わかった」

「まずは今後のことだけど、移動は明後日の晩になった。流石に明日すぐに交通制限とかを出来る訳じゃないからね」

「それまではここで待機してもらうことになる。申し訳ないがそのつもりでいてくれ。食事とかはこちらで用意するから安心してくれ」

 どうやら予想より大事になっている様だな。できれば早く動きたいが、面倒事が増えそうだからここは耐えるべきか。

「それと一番大切なことなんだけど…ロキがギルド前で出迎える予定になっている」

「ロキというのは…たしかお前たちの主人だったか?てっきりホームで会うことになると思っていたのだが」

「君の話をしたらすごい興味を持った、と言うよりは警戒心の方が強いかな?まぁ出来るだけ早く直接見定めたいらしくてね。礼儀とかはさほど気にしなくてもいいよ」

「恩恵無しでミノタウロスを倒した上に、一級冒険者が警戒するほどの武器を持った異世界から来たと思われる謎の女。まぁ警戒しない方がおかしいな」

 そうだな、私はこの世界の常識を根底から覆す様な存在な訳だ。警戒されて当然で、問答無用で殺しにかかられないのが意外なまでだな。

「そうだな、特に問題はない。私の扱いに困るのは目に見えていたしな」

「それと、もしかしたら大量の神が見に来るかもね。ほぼ確実と言ってもいい。交通制限をかけてまで運ぶものが気になるだろうからね」

「はぁ、本当に神には困ったものだな。危険だと言っているのにあっちから寄ってくるものだから…」

 野次馬根性という物か。そいつらは好奇心は猫をも殺すという諺を知らないのか。いや、確か暇つぶしで下界に降りてきているとか何とか言っていたな。つまりこういうものに惹かれるのは半ば必然といった所なのだろう。

「まあその時は僕達とロキで周囲を固めるから変なことにはならないと思うけれど、そのつもりでいてくれ」

 

「次は明日の予定だね。明日は今日会ってない幹部の2人と一応会わせようと思ったんだけど、リヴェリアはどう思う?」

「…アイズとベートか…どうするかな…」

 リヴェリアが頭を抱えてうんうんと唸っている。どうやら一癖ある人物の様だ。

「一応意見を聞いたけど会わせるのは確定なんだよね。ミミックの輸送当日はリヴェリア以外の全員でロキファミリアのホームに行く予定だし」

「それはわかっている。問題はどの様に会わせるかだろう?とりあえず個別で会わせた方が良さそうではあるが…」

「そこまで決まっているなら悩む必要もないだろう?そこまでの問題児なのか?」

「ベートはまだわかりやすいから良いんだけど、アイズがどう出るか予想できないんだよね。一つはミミックに対する反応、もう一つは君に対する反応だ」

「モンスターと見紛う見た目、明らかに有害だと思える雰囲気、強大な存在特有の威圧感。アイズが敵対心を抱きそうな武器だな」

 どうやらアイズとやらはミミックとの相性がすこぶる悪いらしい。しかし私にはどうしようもない問題なので黙って話の続きを促す。

「それを扱う君の存在をどう取るか…強い警戒心ならまだしも、敵対心を抱かれてしまったら説得にも苦労するだろうからね」

「あの子は頑固なところがあるからな、一目で敵対心を抱かれたら心を開かせるには相応の手間がかかるぞ」

「かといって会わせない選択肢は無いと…かなりの博打だな、これは」

「こっちで予防線を張ろうにも直感的な彼女相手では効果的とは言えないだろうからね」

「出会って即『復讐姫』なんてことにならん保証もない、そうなったら私たちで押さえ込むが…」

 どうやら随分とモンスターに厳しい性格をしている様だ。気持ちは分からんでもないが被害に遭うこちらとしてはたまった物ではない。

 

「…とりあえずベートの事を教えよう。口が悪くて威圧的、他人を見下す様な発言を取りがちだ。最初に敵対的な発言をしてくるとは思うが聞き流してくれ。彼は素直じゃなくてね、まあ照れ隠しの様な物だと考えてくれると助かる」

「そっちも随分と大きな問題を抱えてそうだな?まあその手の輩には慣れている。危害を加えてくることさえなければどうとでもいなせるさ」

「頼もしいな。他にも会わせたい者たちはいるが…とりあえずそれは後回しだな。とにかく明日明後日をどうにか乗り越えねば話にならん」

「重ねていうが君はイレギュラーで、こちらとしても前例のない経験だ。最悪街中でいきなり戦闘が始まる、なんてこともないとは言い切れない。その時は僕達に任せて、とりあえずガレスの後ろに着いてほしい。無論そうならない様に万全を期してはいるけどね」

 確かに襲われたからと言ってミミックで反撃などし始めたらいよいよ収拾がつかなくなってしまうな。出来る限り武力行使は自重することとしよう。

「ガレスは僕達のファミリアの中で一番守ることに長けている。君に攻撃が届くことはリヴェリアクラスの魔法使いが超広範囲攻撃魔法を使わない限りは無いだろうね」

「私ほどの魔法使いがいるという情報は今のところ確認されてないがな。つまり絶対にカーリーに攻撃が届くことはないということだ」

「随分と頼もしい事を言ってくれるじゃないか。それにしても異世界で武力によって名を挙げた私が守られる側とは、人生何があるか分からないな」

「それもそうだ。君の話が本当ならこっちで言えば一級冒険者が守られる様な状態なんだろう?僕でも全くもって想像がつかないな」

 

「ところで、ところでだ…」

 リヴェリアが随分と神妙な表情でこちらを見てくる。何か気に触る様な事を言ってしまっただろうか。

「カーリー、今君のEGOを見せてもらえないだろうか」

「別に良いが…何か気になることでもあったのか?」

「ああ、少し気になることがあってな…」

 そこまで真剣な表情で答えるのか。もしかしたらEGOの不調の手掛かりになるかもしれないな。

「EGOと言うと、ミミックの様なものかい?」

「そうだな、私のEGOは防具なんだ。フィンと別れた後に4人に見せたのだが、少し調子が悪くてな」

「調子が悪い?違和感程度の物だと思ったが…そうなると通常時のEGOはどんなものになるやら」

「リヴェリアの様子を見るにどうやらミミック以上に凄まじいものを見ることになりそうだね」

 一呼吸入れてEGOを発現させる。やはり調子が悪いな。力が入りきっていない感覚がある。

「これは…」

「ふむ…やはりそうだな。ありがとう、もう大丈夫だ。フィンはわかったか?」

「ああ、確かに凄まじい力だね。そしてリヴェリアが気になった点もわかった」

「どんな違和感があったんだ?いつでも万全の状態で発現できる様にしておきたいんだ」

 そうでなければいざという時に敵を十全に倒せないかもしれない。もしそれが原因で敵を倒し損ねたら後悔しても仕切れない。

「ああ、さっき話したアイズと同じ雰囲気がしてな…それも『復讐姫』を使った時の状態に近い物だ」

「彼女の精神と似た物っていうのが気になったんだろう、君の境遇を考えれば不思議ではないけれどね」

 2人ともかなり深刻そうな顔でこちらを見ている。だがこれは異世界間での認識の違いからくる物だろう。

「そうか…もし明日の顔合わせがうまくいったら一度その復讐姫を見せてもらうのも良いかもな」

「そうだね、それが良い。もし明日うまくいったらアイズにもそのEGOを見せてあげてくれ」

「自分に近しいものを客観視できれば少しは行動も変わってくれるかもしれないからな…私からも頼む」

 どうやらアイズとやらは随分と愛されていると同時に大きな問題を抱えている様だな。確かにこの平和な世界で私と近い精神性を持っているとしたら不安になるのも頷ける。

「そうだな、だがそれもこれも明日の顔合わせが上手くいったらだ。そうでなければ話にもならんだろう?」

「わかっている。明日の顔合わせは何としてでも上手く行く様に努力しよう」

 

 一刻も早く幻想体共を殲滅できる様にEGOを正常な状態にしなければいけない




〜なぜなに!プロムン教室〜
おっと管理人たち、もしここのカーリーに違和感や既視感を感じたらその予想はあってるだろうから胸に秘めておいてくれ。
というわけで今回はL社ことロボトミー社について!

ロボトミー社は幻想体を大量に保管していて、幻想体たちにアレやコレやあはんうふんな事をした時に出る不思議エネルギーを発電に利用している超大手エネルギー会社だ!
前のエネルギー会社と違って超クリーンで発電力も桁違いだからあっちやこっちで引っ張りだこだぞ!主に鉄道経営しているW社や民間軍事企業のR社、ちょっと時間をいじれるT社と業務提携していたりするぞ!しかも(プロジェクトムーン的には)ホワイト企業なんだ!至れり尽くせりだね!

追伸ッ!!!
無双系とか言っときながら五話にもなって戦闘が牛の屠殺だけの小説があるってよぉ!誰のことだろうなぁ〜!
私です。もしこのまま十話まで戦闘がなかったら活動報告で見苦しい言い訳タイムが始まるかもしれません。俺の明日はどっちだ。
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