そんなこんなで雑談で一日を潰して、移動の日だ。
「じゃあみんな、よろしく頼むよ」
「悪いな、迷惑をかける。今日はよろしく頼む」
ミミックをヒリュテ姉妹・アイズ・ベートに預けて私はフィンを先頭に左右をガレスとリヴェリアに挟まれながら7層から移動する。地上への道はガネーシャファミリアが人払いしてくれているようだ。
「ガネーシャファミリアがある程度掃討してくれているはずだけど、もし進行方向にモンスターがいたら全部僕が片付けるから安心してくれ」
「流石オラリオ最大規模のファミリアの団長だな。頼もしい」
まあ、所詮上層、このメンバーで問題が起こるはずもなく、数体出てきた雑魚をフィンが倒した程度で一層の入り口近くに到着した。が問題が起きた。
「みんな停止だ…これは…」
「明らかにおかしいな。なぜ今、神威を感じる?」
「まあ地上で問題があったんじゃろうな、どうするフィン?」
「とりあえず僕だけで地上に向かおう。みんなここで待っていてくれ」
そう言うとフィンは走っていってしまった。明らかに危険な気配を感じる。ミノタウロスなんか比べ物にならない気配だ。
「私も武装したほうがいいか?私としてはできれば武装しておきたいのだが」
「いや…まだやめておこう。何が原因で神が神威を出すことになったか判らないからな」
「そういえば神威を知らないか。神威は神が発する威圧みたいなものじゃ。つまり敵対存在がいるか、ブチギレているかじゃな」
「それよりも祝福無しでこの神威に耐えているのが不思議でならんな。どのような経験をしたらこれに耐えられるのやら…」
後ろにいるミミック隊を見ると全員もれなく顔に皺が寄っている。どうやら私と同じくらいには不快なようだ。
それから少しすると威圧感が弱くなった。だがまだ微かに残っているな。
「どうやらブチギレていたようじゃな。大方フィンが抑えさせたんじゃろう」
「このタイミングであれほど怒る原因といったら…ミミックか?」
「まあ一番怪しいのはそいつじゃな、威圧感が不快だったか、はたまた別の理由か」
フィンが帰ってきた、がかなり険しい顔をしている。
「待たせたねカーリー、地上に上がったら直ぐにロキからいくつか質問されると思う。嘘偽りなく答えてくれ」
「了解だ。何があったかはとりあえず聞かないでおこう」
地上に上がると赤髪の小柄な女と…話には聞いていたが、珍妙な格好をしている男がいた。
「来たな、ウチはロキや。早速で悪いんやけどいくつか質問をさせてもらうで」
随分と敵対的な雰囲気だな。場合によっては徒手空拳で戦うしかないかもしれんな。
「アイズ達が持ってるソレ、ミミックやったっけ?ソレがどういうものか分かっとるんか?」
「どういうもの?」
「ちょっとわかりにくかったか、ソレが何からできとるか聞いとるんや」
「これは幻想体から抽出した武器だ」
「んじゃその幻想体とやらは何からできとる?」
ああ、そういうことか。これは確かに伝えておくべきだったかもしれんな。
「ミミックの元、何もないは人間から変質した幻想体だったな」
フィン達が眉を顰める。確かに、幻想体から抽出したとは話したが幻想体そのものの話はしていなかったか。
「あんたらは人間をそういう扱いするような奴らっちゅう事か」
「ああ、私たちの目的の為ならな」
「フィンから少しばかり話は聞いとる。アンタがどういう環境で生きてきたかってのをな。でもそれとこれとは無関係や、ウチはウチの子らを守るために行動せなあかん。だから聞くで、アンタらの目的ってのはなんや」
「都市に蔓延る病気を治す事だ。そうすれば、もう誰も傷つく必要はなくなる。私はその為に、皆を守る為に力を貸してきた」
「病気なぁ…本当にそんな外道に堕ちてまで治さな…いや、多分ウチらから見たら外道以下のその行為すらもそっちじゃ日常みたくなっとったんか…そんでアンタは確固たる信念を持ってその行為を是としたと…」
ロキが頭を掻き毟る。威圧感は減らないがロキのまとう雰囲気は少しだけ変わった気がする。
「本気で厄介なもん拾ってきおったな…頑固さは筋金入り、倫理観なんてもんはぶっ飛んでる、しかもこいつ古い時代の英雄みたいなもんやろ。そういう目をしとる。正直今ここで息の根を止めるのが最適解なんやろうけどな…」
「ロキ、無理はしなくていいぞ。もし気が進まないならば俺が…」
「や、大丈夫や。うちも甘くなったもんやなぁ…天界に帰った時やってけるか心配になってきおったわ」
ロキが笑みを深めると威圧感が引いていった。どうやら私の処遇が決まったらしい。
「カーリー…ちょっとこの呼び名なれへんな、まあええわ。カーリー、アンタはウチの眷属になってもらう。あまり気は進まんが野放しにするよりはいいのと、同情やな。その手を使わな生きていけんような環境に生まれたアンタへの同情や。拒否権はないで」
「こちらとしては最初からそのつもりだったのだがな。そっちが納得出来たのならばそれでいい。よろしく頼む」
「さて、話は終わったか?」
珍妙な格好をした男が話しかけてきた。こいつも神だったはずだ。
「ああ、終わったで。せっかくやからこの空気をぶっ飛ばす為に一発かましたれや!」
「では失礼して…」
「俺がガネーシャだ!!!」
…なんだったのだ今のは?いきなり大声で自己紹介したぞ。
「これはガネーシャの一発芸みたいな物や。ことあるごとに擦ってくるで。まあ今回はいつもより気合い入っとったけどな」
「そうか、独特な挨拶なんだな」
「さてロキよ、この者の処遇が決まったのは良いとして、アレはどうする?こう言っては何だが流石のガネーシャもびっくりするくらい悍ましい物だぞ」
「一回フィンが帰ってきた時に色々話を聞いたんやけど、ちょっと想像以上やったな。封印もええけど…一回ゴブニュかヘファたんに見せて鞘作ってもらうかな〜」
「とりあえずの処置として用意していた魔道具を全部使って仮封印としよう!そして!俺がガネーシャだ!」
想像以上にガネーシャが鬱陶しい。それは言わなければいけないのか。
「せやな、こんなん野晒しにして持ち歩いとったら子供達が狂ってまうで。というわけでこっちに渡しておくれ〜」
ロキがアイズ達からミミックを受け取ると、少し眉を顰めた後、軽く撫でてガネーシャと共に大量の布と包帯で包んでいく。
「いくらなんでも多すぎたかと思っとったけどそうでもなかったな。マジでどういう経緯で何があったらこんなんなんねん」
「ガネーシャも激しく同意する。こんな状態でも一部分を抜き取っただけなんだろう。本体はどれ程壮絶な体験を経て変化したのか予想もつかんな」
「まったく、これをどうしたら都市の病気を治すための鍵となるんだか…こういう物に縋るしかない状況にならん様に気を付けんとなぁ?」
「そうだな、正直子供達がこれに縋るような状況になるか人類が滅ぶかで言ったら、人類が滅亡する確率の方が高そうだがな…」
「それは心底同意するわ、そんな状況になりそうならそうなる前にウチ等が本気で介入しそうやしな」
どうやらこの世界の神々から見てもこちらの世界の状況は良くないようだ。こうなってくると本当に何とか出来る状況だったのか怪しいな。
「んじゃ最後にこいつを専用の箱に積めて…ヨシ!って事で帰るで!つっても他の皆は明日だったっけか。んじゃ打ち上げはその後やな!カーリーも参加な!ダンジョンでの初戦闘祝いと歓迎会や!」
「それじゃあ今日は帰ったら仕事をしようか?今回はアクシデントで早期撤退することになったから色々とやることが山積みだからね」
ロキが満面の笑みからWAWクラスの幻想体が脱走しているのを見た一般フィクサーの様な顔になった。見慣れた絶望感だ。
「…うせやろ?とりあえず明日にせん?ほら、カーリーの事とかミミックの事とかでムッチャ気疲れしたし…」
「カーリーの事があるから今日の内にやるんだぞ。明日も仕事漬けだからな」
「い、嫌や嫌や!仕事なんてしとうないわ!た、助けてカーリー!」
これがさっきまであの威圧感を出していた存在なのか?多少威圧されていたことが情けなくなってくるぞ…
〜なぜなに!プロムン教室〜
今回は前回に引き続きプロジェクトムーン作品の布教!
前回紹介したロボトミーコーポレーションの続編『ライブラリーオブルイナ』の紹介だ!
今作はスーパーAIのアンジェラが経営する『図書館』を迷い込んできた木っ端フィクサーのローラン君と共に盛り上げるお話だ!
いろんな人をアンジェラが図書館に招待するからやって来たお客さんをローラン君と接待しよう!
うまく接待できればお礼として本を手に入れられるぞ!どんどん本を入手してアンジェラの夢の為に必要な『全てのことが記されたたった一つの本』を手に入れよう!
今作は特色が一杯!我らが赤や青に紫、その他複数出てくるぞ!
一応時系列的にはロボトミーの方が先だけど、世界観を知りたいだけならこっちから初めても大丈夫だぞ!