赤い霧がダンジョンにいるのは間違っている   作:ピグリツィア

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ステイタスは過去の栄光と共に

 ロキファミリアのホームに行く道中。大量の神々が規制線の外を埋め尽くすように並んでいた。

 

「何拾ったんだロキー!」「さっき明らかにやばい物持ってたよな!なあ!」「そこの赤髪の子誰ー!」「ちくわ大明神」「面白そうなものを独占するなー!」「_GKP@Z-@4JUEq],¥」「アイズちゃーん!こっち見てー!」「誰だ今の」

 

 随分と騒がしい上に意味も判らないことを叫び続ける。神っていうのはどいつもこいつもこんなものなのか。

「やっぱこうなるかあ。とりあえず1人ぶっ殺してくるわ」

 ロキが「野郎オブクラッシャー!」と叫びながら凄まじい殺意と共に群衆に突っ込んでいってしまった。アレは何を言っているのだろうか。

「フィン、ガレス、私は恥ずかしくなってきたぞ。もう色々とダメだ。この世界の汚点を見せている気分だ…」

「まあこうなる事は予想ついてたけどね、実際に見せるとなると少しアレだね」

「リヴェリアは考えすぎじゃろ。まあ出会いがあの形だっただけに少しどうかとも思うが」

「どうするんだアレ、無視してホームに行くのか」

「そうだね、とりあえずカーリーとミミックを拠点に送っても戻って来なかったら連れ戻そうか」

「本当は今直ぐ連れ戻したいがな。流石にしばらくすれば帰ってくるだろう」

 

「そういえば、幻想体についてだけど。幻想体っていうのはこちらの世界でいうモンスターの様な物だと把握していたんだけどかなり違うようだね?」

「そもそもこっちのモンスターがどんな物か知らんが、幻想体っていうのは一概にこれと言えない何かなんだよ。『何もない』もたまたま人間から発生した幻想体ってだけで幻想体全てが人間から発生したって訳じゃない」

「ああ、だからミミックの時にそういう話が出なかった訳か。カーリーにとっては『幻想体から手に入れた武器』程度だっただけでその幻想体の元に拘っている訳ではないから説明する必要も無かったということだな」

「ついでに言えば人1人死んだところで気にする様な世界でもなかった訳じゃな。こりゃ説明されてない問題が山の様にありそうじゃのう」

 …今回の様な事態を避ける為にもう少し考えて会話しないと駄目そうだな。

 

「ところで、ここには私達以外にはガネーシャファミリアのメンバーと神しかいないんだよな?」

「ああ、そうだね。その筈だったんだけど…」

「アレは止められんだろうな」

 眼帯をつけた女が凄まじい勢いで突っ込んできている。人間を3人ほど引き摺りながら。

「ダメですって椿さん!今ここは交通規制してるんですから」「ダメだ!力が強すぎる!誰か高レベル呼んでこい!」「というか人引きずりながら移動するなぁ!」

「おお!フィン!リヴェリア!ガレス!それと…見ない顔だな、何者だ?」

「カーリーだ」

「手前は椿・コルブランドだ!へファイストスファミリアの団長をやらされている!」

 目が巣から興味本位で来た新人フィクサーの様に輝いている。好奇心と希望に満ち溢れた目だ。

「やあ椿、ここらへんは訳あって交通規制を敷いている筈なんだけど…何かあったのかな?」

「いや何、ダンジョン近くで強大な力を持った何かを感じ取ってな。手前の勘が叫んでいたのだ。これは武器から発せられる威圧感だと!」

「今ゴブニュファミリアとへファイストスファミリアで凄まじい騒ぎが起こってるんですよ。ゴブニュの方は主神が一喝してある程度沈静化したんですけど、へファイストスの方はたまたま不在で…」

 もしかしなくてもミミックの事だろう。そこまで惹きつけられる様な何かではないと思うのだが、むしろ忌避すべき存在だ。

「そうだね…椿、ホームまで一緒に来てくれるかい?その武器を見せることはできないけれど軽い説明ならできるよ。ちょっと頼みたいこともあるしね」

「ベートが背負っているアレか、確かにアレは不味そうだ。手前ならば耐えられるとは言え無闇矢鱈と解放する様な代物でも無いな。さて…」

 

 ミミックの方を一瞥した後、ガレスを白い目で見つめる。

「あーあ!手前と専属契約したのになー!とてつもなく気になるのは分かるが誘惑に耐えられずに振ってしまったんだなー!一冒険者として未知に挑みたい気持ちもわからでは無いが、それでもなー!」

「うぐぅ!ば、バレたか…」

「バレないとでも思っていたのかバカめ!まあ今回は大目に見てやろう!で、どうだった?」

「そりゃあもう、最高じゃな!アレ大きさや重さを変えられるんじゃけど、それがまぁ強くてな!」

 ガレスが大盛り上がりでミミックの性能を賞賛する。椿のテンションも右肩上がりだ。

「っかあ〜、戦闘中にサイズを変えられる武器かぁ〜!確かに間合いを誤認させたりするのにはちょうど良いな。しかもカーリーは雑魚を一掃する為にも使っていたのか!良いなぁ〜!だがそんなモン作れる技術はともかく材料がない!全く思い浮かばん!あとでへファイストス様に聞いてみるか〜」

「やはり無理か、まあ現実的ではないとは思っとったがな」

「暗器用のギミックとしてならいくつか思いついたが一線級の前衛が使える様な耐久性は確保できんな。ああ〜!手前も振りたい〜!」

 振りたい振りたいと子供の様に駄々をこね始める始末だ。良い大人が地面に寝そべってまですることか…?器用に行軍に合わせて動いているのも相まって、神々ですらちょっと引き始めてる。

「一生に一度あるかわからん物を目の前でお預けされて堪えられるほど手前も人間できとらんのでな!」

「かといって今の行為はどうかと思うな。流石にもう少しプライドとかファミリアの団長としての威厳を大切にしたほうがいいと思うよ?」

「そのうち見せてやるからその気持ち悪い動きをやめろ。とは言え問題は山積みだがな」

 

「さあカーリー、ここがロキファミリアのホーム『黄昏の館』だ。僕たちは君を歓迎しよう」

 周りの建物より一際大きく、巣でも見ないほどに豪華な建物の前でフィンが歓迎してくれる。

「これは…凄いな」

「凄いやろー?ふふん、ウチ自らが直々にデザインしただけはあるやろー」

「おいロキ、こいつはどこ置くんだ。ロキの部屋に置いとけばいいのか?」

「せやな、適当に壁際に置いといて〜。フィンたちは椿と話があるんやろ?ならこっちはこのまま恩恵つけるか〜」

 恩恵、神に忠誠を誓い眷属となる行為か…あまり、いやかなり気は進まないがこの都市で生きていく為だ。覚悟を決めて恩恵を受けるとしよう。

「そんな難しい顔せんでも…あーもしかしてなんかあった?あったんやろなぁ。恩恵刻みながら色々聞いたるからうちの部屋行こな〜」

 

 ロキとベートに続いて入った部屋は、裏路地でもよくある様な酒瓶で散らかりっぱなしの部屋だった。随分と酒臭いな。ベートはミミックの入った箱を置いてさっさと出て行ってしまった。

「さて、恩恵を刻みまくるで〜!て事で服脱いどくれ」

「ああ、そうだったな」

 さっさと上着を脱いで上半身を晒す。ロキががっつり見てくるがなんなのだろうか。

「うわ、デッッッ!お、思っとったんより結構あったわ〜。服でかなり引き締めとんねんな?」

「何を言ってるんだお前は。この後はどうすればいい?」

「ああ、せやな、適当なとこ座って背中見せてくれれば大丈夫や」

 そこら辺にあった背もたれのついてない椅子を引っ張り出して座る。ロキが背後で背中を触り始める。

「…このままちょっとくらい揉んでも…バレへんか?」

 どうやら私の戦闘技術をこの場で味わいたいらしい。いい度胸だ。

「ごめん!ごめんって!変なことせえへんから殺気収めて!洒落になっとらんって!」

 殺気を収めるとぶつくさ言いながら改めて背中に触る。何やら背中に違和感を感じる辺り恩恵を刻み始めたのだろう。

「うっわ、なんやこれ…マジでなんやこれえっぐい、スキル生えすぎやない?」

「スキル?スキルとはなんだ」

「なんていうかなぁ…その人の特徴みたいなもんを能力として表した物やな。ところでなんで『伝説』とか『最強』なんてスキルあるん?これだけでも明らかにインチキみたいな効果しとるんやけど」

 ちょっと待っててや〜とロキは紙に何かを書いていく。

「これがカーリーのステイタスや。これを一緒に見ながら説明していくで」

 

カーリー

Lv:1

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

 

《魔法》

 

《スキル》

【伝説】

・格上との戦闘時にステイタス補正

 

【最強】

・戦闘時にステイタス大幅上昇

・戦闘時間に応じてステイタス上昇

 

【赤い霧】

・守るものが多いほどステイタス上昇

・守るものが多いほど経験値上昇

 

【EGO発現】

・EGOの発現権の獲得

・任意のタイミングでEGOを発現できる

・感情が昂るほど効果上昇

 

「う〜ん、インチキ!人のステイタスどうこういう気ないけどこんなん見たらズル疑われてもしゃあないな!」

「そこまで異常なのか?生憎とこの世界のことはまだよく分からなくてな」

「そもそもスキル4つってのがまずヤバいな。もっと問題なのは『EGO発現』以外のそれぞれのスキルにえっぐい効果が書いてあることやな。効果に対して条件が緩すぎんねん。特に『最強』。倍率にもよるけどスキルの強さは文章量と反比例するってマジなんやなって感じや」

 口調に反して雰囲気はピリついている。私のスキルはよほどの物らしい。

「『赤い霧』も条件有りとは言え経験値補正入るのがもうヤバいな。スキルって相応のことせんと出ないんやけど…本当にヤバいわこれ」

 ロキはじっと紙を睨みつけている。色々と考え事をしている様だが私にはいまいちよく分からない。

「この『EGO発現』も効果が文面からじゃよう分からんだけで絶対やばいやろ。後でどんなもんか見せてくれ。魔法は覚えられへんやろうけど…恩恵無しでミノタウロス倒した奴がこんなスキルまで手に入れたんなら必要ないやろなって感じやな」

 魔法を覚えられないのか。使ってみたかったのだが、無い物ねだりをする気もない。今までと戦闘スタイルを変える必要がないと考えればいいだろう。

「後でフィンたちと一緒にダンジョン潜ってスキルの上昇値を見てって言おうと思ったんやけど…かなり深くまで潜らんとダメやな。とりあえず演習場で適当に動いてみ」

「そうだな、フィンあたりに色々聞いてみるとするか」

「それと!ステイタスについては幹部以外には話さないことやな。余計な諍いは生みたくないやろ?」

 私のスキルは『それほど』危険な代物なのか。取り敢えず頷いておく。

「そんじゃ次は、カーリーの居た世界…いや、カーリー自身について教えてな?フィン達がここに来るまでな」

 

 茶化す様に話す道化師の目は笑っていない。




〜なぜなに!プロムン教室〜
そろそろネタが尽きてきたプロムン教室!
今回は嘘みたいなスキルを発現しているカーリーについて!
このスキル名称は『EGO発現』以外はそのまんまライブラリーオブルイナから取っているぞ!つまり公式チートだ!
スキル内容は結構弄ってはいるけど、最期の戦いの強さを考えるとこれくらいあってもおかしくないと思うぞ!

TU☆I☆SI☆N
次回に戦闘ねじ込むの無理臭いので今のうちに言い訳の草稿でも書いとくかぁ〜!
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