いずれ神話へと至る物語 〜落ちこぼれだった俺が幼馴染を助けるために相棒の妖魔と一緒に神殺しを決意する〜   作:くーちゃんし

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寝坊

 

 朝、珍しいことに俺は、真琴に起こされることなく一人で起きることに成功した。

 疲労も溜まってた分、ぐっすりと眠ることができたのかな、などと考えながら井戸へ向かうと、そこにはいつもいるはずの伊吹の姿がなく、もしやと思い急いで顔を洗うと直ぐに居間へと向かった。

 

 居間につくと、そこにはすでに真琴と伊吹、それから夜光が朝食の準備を終えようとしているところだった。

 

 「二人とも、おはよう」

 

 「「おはよう」」

 

 「真琴、そういえば今日は、起こしに来てくれなかったけど何かあったのか?」

 

 疑問に思っていたことを尋ねる。

 

 「昨日は大変だったみたいだから、なるべく寝かしてあげようと思って」

 

 「そっか。気を遣わせて悪かったな」

 

 「別に大丈夫」

 

 「それなら良かった。よし、じゃあみんな揃ってるみたいだし、ご飯食べよっか」

 

 「ああ」

 

 「うん」

 

 みんな、それぞれの席につくと食事を始めた。

 

 俺たちは、食事をしながら何気ない雑談をする。

 

 「そういえば、ここに伊吹がいるのなんてかなり久しぶりなんじゃないか?」

 

 「今日は、私が直接引っ張ってきた」

 

 「あー、それでか。まあ、そうでもしないとこいつ、全然ご飯食べにこないもんな」

 

 珍しく伊吹の姿があるなと思ったら、真琴が直々に連れてきたようだ。

 

 「修行に集中してると、気づいたら朝食の時間が終わってるんだ」

 

  「修行馬鹿だな〜」

 

 「そんなこと言っても朝食の時間に間に合わないのはダメ。だいたい透もちゃんと伊吹を連れてこないからいけない」

 

 伊吹への説教が俺にまで飛び火してきたので、慌てて話題を変える。

 

 「あ、そうだ真琴。夜光とは仲良くなれたか?」

 

 「うん、夜光はとってもいい子」

 

 「それは良かった」

 

 いつもなら話を逸らしたことに目敏く気づき、追求してきたりもするが、どうやら今回は上手く誤魔化せたみたいだ。

 

 「夜光はモフモフで――」

 

 真琴が夜光について熱く語り始めたので、そういえばあの元気な夜光が今の今まで一言も発さなかったな、と夜光のことが気になり、夜光に声を掛けてみる。

 

 (今日は元気がないな。どうしたんだ?)

 

 脳内に直接話し掛けても返事は返ってこない。

 不思議に思って夜光の方を見てみるとそこには、ただ、飯を食べるだけのからくり人形と化した夜行がいた。

 

 (おーい、夜光さーん? 聞こえてますか〜?)

 

 (む? ここはどこじゃ?)

 

 何度か呼び掛けると、からくり人形と化していた夜光がようやく再起動した。

 

 (ようやく正気に戻ったか。一体昨日の夜、何があったんだ?)

 

 (昨日? うーむ。確かあの小娘に連れていかれて、それから……う、それ以上は頭が痛くて思い出せぬ)

 

 どうやら真琴によって、記憶が無くなるほどの酷い目に遭わされたようだ。

 まあ恐らく、ただモフられていただけなのだろうが、自尊心の強い夜光にはかなり効いたらしい。

 そんなことを考えていると、相槌一つ返さない俺を不満に思ったのか、真琴がこちらの方を睨みつけていた。

 

 「透、聞いてる?」

 

 「ちゃんと聞いてるって」

 

 「本当?」

 

 「ほんと、ほんと。いやー、お前たちが仲良くなってくれて俺も嬉しいよ」

 

 「当たり前。私と夜光は強い絆で結ばれてる」

 

 真琴は俺の言葉に気をよくしたのか、妄言をはきながら俺のお皿に焼き魚を一匹追加してくれた。

 

 「おお、ありがとう」

 

 「ん」

 

 そんなことをしていると伊吹がボソッと呟く。

 

 「お前たち、そんなにのんびりしてていいのか? もうすぐ学校始まるぞ」

 

 なんとか真琴の機嫌を取ることに成功して、ホッとしたのも束の間、伊吹の言葉に時計を見ると授業が開始される時間はもうすぐだった。

 

 そこでようやく、俺と真琴は、自分たちが遅刻の危機に瀕していることに気がついた。

 

 「やっべ」

 

 「急がないと」

 

 (透よ、わしはどうすればよいのじゃ?)

 

 急いで朝ごはんを食べていると、夜光が質問してきた。

 

 (お前は、家で一人待っててくれ。帰ったらまた、美味いもん食わせてやるから)

 

 (仕方ないのう)

 

 それを聞き夜光は、渋々納得したような返事をしたが、その尻尾は大きく左右に揺れていた。

 

 「そういえば夜光はどうするの?」

 

 「夜光は家で留守番して貰うつもりだ。学校に連れてくのも面倒だしな」

 

 「それがいい」

 

 真琴のほっとした顔を見るに、俺と真琴では考えている面倒が違うような気もするが、今はそんなことを気にしている余裕はない。

 

 そうして俺たちは残りの朝ごはんを食べ終え、片付けもそこそこに、急いで学校へと向かった。

 

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