優曇華と彼岸花   作:桃玉

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<Reisen side>

 

朝が来た。

春風が爽やかな桜の香りを部屋に届け、鼻腔を(くすぐ)る。

重く閉じられた私の瞼の裏は暗く朝が来たという事実を拒むけれど、さっさと起きなさいと言わんばかりに布団が顔からずれ落ちて日の光と街の音を感じる。

 

平和で、安全、綺麗な、そんな仮初めの街、東京。

大きな街が動き出す前の静けさが今日という煌びやかな日を伝えてくれる。

 

起床直後のずんと重い、夢と現実との境界が曖昧になっている頭。

眩暈の様な気持ち悪さを押さえつけ真っ先にトイレに足を運ぶ。

 

 

「ふー。危ない危ない、寝坊してたらお布団の上が大洪水だったよ……」

 

 

用を足し終え、今日も千束やミカさん、それにミズキさんと一緒にちょっとうるさいながらも楽しいお仕事ができると思うと今日まで生きてて良かったなって……

そう思い、今日という日を象徴するお天道様に掌を合わせておく。

そしていつも通りの習慣を一通り終え、玄関から飛び出した。

 

 

向かう先は私の職場兼遊び場である喫茶リコリコ。

こぢんまりとしたこのお店では従業員である私、千束、ミズキ、そして店長のミカさんの四人が働いている。

私と千束は現役の高校生としてアルバイトをしている……

と言うのは表向き。

 

実際はリコリスと呼ばれる、所謂暗殺部隊の一員で昨日も何人かヤバい連中がいたのでシメてきた。

……殺してないよ? お話ししただけだからネ?

そしてミズキとミカさんは元と着くがリコリスの本部(DA)に務めていたこれまた裏の人たち。

つまりこの店の従業員はみんな裏の人たちである。

 

DAは社会秩序を乱す者の存在を許さない。

存在していたことも許さない。

消して、消して、消して、綺麗にして無かったことにする。

そんな危険や不穏を排除し手に入れた平和なとは知らない日本国民。

 

そんなDAに拾われた国籍のない私たちリコリスは社会の礎となるべく、日々こき使わされている。

お陰様で、喫茶店で平和な生活ができると思いきや火薬の香りがプンプンする胃が休まらない生活をしている。

 

ではなぜ、暗殺に携わるような私たちが喫茶店なんて営んでいるのか。

それは社会の秩序を徹底的に守るのが私たち、リコリスの役目で、このお店はカモフラージュもあるが少々特殊だからなんだけど、それだけじゃない……

 

それは……私たちがリコリスとしては異端で、問題児で、暗殺部隊なのに殺さないをモットーにしているから。

暗殺部隊にあるまじき思想を持った問題児を寄せ集めたのがここ、喫茶リコリコ。

 

 

そんな場所に今日左遷されてくる人がいると聞いてたけど、一体どんな子かな……?

そんな思いを持ちながらお店のドアをたたいた。

 

 

「おはようございま~す!」

「おはよう、鈴仙」

 

 

喫茶店の扉を開けるといつもダンディでかっこいい着物が似合う店主のミカさんの声が聞こえる。

挨拶を済ませると、私が絡まれないように視線を合わせないようにしていたのにも関わらず、カウンターに突っ伏して二日酔いで気持悪くなっている顔をしてる残念美人に声をかけられてしまった。

 

 

「はよー…… 朝から喧しいほど元気ねぇ」

「うっわ、酒臭ぁ~! 鬼ごろしでも飲んで二日酔いですか?」

「しょうがないじゃない!! この前会った男が既成事実作られてお付き合いできなくなりましたって言われた私の気持ちがわかるかぁ……!? ……あぁ゛、ツラいわ、慰めてくれる若い男がほしい……」

 

 

ほら見たことか、面倒くさい。

呑んだくれのミズキさんが挨拶代わりにダル絡みをしてくる。

 

でも5年も続いた日常の一部だから慣れてしまった自分がいる。

そして、ダル絡みは嫌だけど、こんな楽しい日常がいつまでも続いてほしいって思う。

しかし店内を見渡すといつもの通りというか、遅刻ギリギリ打刻者がいない。

 

 

「ミカさん、ミカさん! 今日も千束ギリギリそうですか?」

「いいや、今日は買い出しの日だ。 いつもより一時間早く仕度すればいいところだが、二時間早めに言っといた。ちょうどさっき、鈴仙と入れ違いで出て行ったよ」

「流石、娘の扱いがわかってますねぇ!」

「まあな。次食材が足りなくなったら次は鈴仙に頼むからよろしく頼む」

「りょうか~い! この私に任せてください! ……じゃあ着替えてきますね~」

「とっとと着替えて早く私を楽にさせてぇ~」

「ミズキさんは追い酒してないでしっかり働いてください!」

「これが二日酔いには効くのよぉ……ぷはぁ~!」

「依存症になっても知りませんよ……」

「うぐっ……ぷはぁっ。肝に銘じておくわ~」

 

 

朝から酒を喉に流し込むミズキさんのお酒は店に来た常連さんに出そう。

そう心に決め、後は喫茶店の制服を着て親友を待つばかりだと行動に移す。

着替えが終わり、シワがないか等身だしなみをチェックしていると店の扉の前に誰かの気配を感じる。

千束ではない誰かの少し緊張気味の息づかいが聞こえる。

新規のお客さんか、はたまた別の……なんて考えつつチェックを終えた私は顔を出した。

 

 

「あ、いらっしゃいませ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Takina side >

 

私の存在理由はリコリスとして私を拾ってくれたDAにある。

だからどんなにツラい訓練でも真面目に取り組んできたし尽力してきたつもりだ。

 

しかしこの前起こった事件……

銃取引の事件で上部の意向にそぐわない行動をしてしまったためか、転属命令、もとい左遷が決まった。

 

こんな結果になってしまったことに不服を申し立てる暇もなく転属の手続きを済ませられ追い出されたので、仕方なくもう一度本部に復帰できるように左遷先でも最善を尽くすようにしなければ……

 

それにしても……

あの事件の時、エリカが人質に取られ、リーダーのフキさんも通信障害で動けなかったから、私が機関銃を使い、敵を殲滅するのが最善だと判断し、実行した。

……フキさん、楠木司令…………それは私を左遷させるほどダメなことだったのですか? 

 

そんなことを思いながら転属先を目指して重い足で歩いて行く。

 

命令が出てないのに敵を殺し尽くすのは良くない、むしろ悪いことだと理解しているけれど……

ただ、あの方法が仲間であるエリカを救う上で最も合理的な方法であったし、これ以上待機命令を聞いていられるような状況ではなかった。

 

フキさんに仲間を殺すところだったのだと本気で殴られたことにも、その後楠木司令からの転属命令を伝えられたことにも、一理あると思えど、私の方には十理あると思うし、私は間違った行動も誤った判断もしたとは思えないため不満しかない。

 

それはそれとして、私を拾ってくれたDAに対して恩を感じている。

役に立って、私の努力を褒めてもらいたい、私の存在意義を認めてもらいたい……

そんな気持ちは衰えることなく心の奥底で燃え続けていた。

 

 

しかし決定は決定。

本部に残りたいと思うし、間違った行動をしたとは思えないものの、あの電波塔事件(十年前に起こった日本で最後のテロ事件)を一人で解決したリコリスがいると聞き、勉強のため、今は耐え忍ぶとき、そう自分に言い聞かせ、受け入れ、今まさに転属先のあると聞いている場所へ到着した。

喫茶店のような建物だけどカモフラージュも兼ねているのだろうと考え、扉を開け、一歩足を踏み出す。

 

 

「あ、いらっしゃいませ~! あ、あなたですね、今日からバイトに入る人! えと、店長そろそろ来るのでそこのお座敷に腰掛けて待っててくださ~い……!」

「……どうも」

 

 

ドアベルが鳴り、同時にアルバイトだと思われる私より数段背の低い女の子が明るい挨拶をする。

この子からは血なまぐさい感じがしない。

華奢な体は運動したことがあるのかと疑問に思うほど筋肉が見えず、骨が浮き出ていそうなほど小さく見えた。

こんな戦闘もできそうにない子、私とは違い国籍のある普通の女の子なんだろうなと思っているとカウンターの方からニュースが聞こえてくる。

 

 

『……・磁力・原子間力の全ての力が統一原理によって説明できるという論文を出し、ノーベル賞など数多の有名な賞を総なめにしたのもアランの人ですね! わずか18歳にしてここまでの才能を見せる少女の正体は!? その少女を支援するというアランの正体にも迫ろうと思います』

『アランに支援を受けたものの共通点はこのチャームポイント。スポーツ選手以外にも研究者や芸術家など、世界中で様々な分野の天才が支援を受けてい……』

 

「ここにも母となるべき才能が今結婚という障害に阻まれているのよぉっ!!不満d」

「いらっしゃいませ~。ほら、ミズキさん、不満をぶちまける前に仕事して。男運なくなるよ」

『凡人のやっかみですな』

「んだとぉ! ダブルでやっかましいわっ!」

 

 

静かな喫茶店と思いきやテレビに従業員の声が響く、割と騒がしいらしい。

千束さんと見られる女性はアルコール臭を匂わせており、本当にリコリス随一の実力者なのか、全く見えません。

こんな場所で本当に得られるものなどあるのか、本部に戻ることができるのか、不安に思います……

 

 

 

 

****

 

 

 

 

そんな騒がしい店の奥から大柄の男性が出てくる。

きっとこの方が店長さんだろう。

 

 

「来たか、たきな」

「初めまして。本日配属になりました、井ノ上たきなです。あなたから学べとの命令です、千束さん」

 

 

ひとまず挨拶を済ませ、千束さんらしき妙齢の女性に声をかける。

十年前の電波塔事件で活躍し、リコリスの株を上げた功労者。

当時の年齢を私と同じくらいだと推測すると25歳くらいに見えるこの女性が千束さんであろう……

 

そう思っていたらその女性は何やら呆気にとられた顔をする。

私のやる気が伝わらなかったのか、お前に教えることは何もないとでも言いたげな呑んだくれリコリスにさらに自分の意思を伝えるべく話を続ける。

 

 

「転属は本意ではありませんが、東京で一番のリコリスから学べる機会が得られて光栄です。この現場で自分を高めて、本部への復帰を果たしたいと思っています」

 

 

それでもなおポカンとアホそうな顔をしている彼女。

しばし待っていると店長さんから想定外の声が入る。

 

 

「……それは千束じゃない。元DAの情報に所属していたミズキだ」

「うい、よろ~。……ってそれって言うなよ」

「三十路ぃ~」

「まだピチピチの二十代よッ!」

 

 

私は少々勘違いをしていたらしい。

まさかの今まで千束さんだと思っていた人物は別人だったようだ。

それでは、この男性が……ちさt

 

 

「そのおっさんでもねぇよっ!」

「ここの管理者のミカだ。よろしく」

「井ノ上たきなです。よろしくお願いします」

 

 

こちらの方の推察は合っていたらしい。

となると残る千束さん候補はカウンターからひょこっと顔を出している一つほど年下に見える少女。

 

こんな戦闘もできそうにない子は違うだろうと思っていたがこの場にいるってことは……

まさか、こんな人畜無害な風貌をしているのに、実際は5歳くらいのときに電波塔事件を解決してしまったのだろうか。

恐るべし、東京一のリコリス。

 

 

「この子も千束じゃない」

「え、ええっと! れ、鈴仙です! 階級はたきなさんと同じセカンドで、と、年も一つか二つしか違いみたいなのでよくしてくれると嬉しいでしゅ!」

 

 

以前お世話になっていた小柄な先輩(フキさん)と比較してもう一回り小さい彼女は先ほどまでとは打って変わり、緊張した様子で、声も態度も小さく、目を合わせず言葉を言い切った後、いきなりペコリと頭を下げ、完璧な 90° の礼を披露した。

最後に噛んだのが恥ずかしかったのか顔を赤くしている。

 

そんなことよりこの子が私と同じセカンドリコリスなのが信じられません。

きっと先輩だからと言って見栄を張ったのでしょう、わかりやすい嘘です。

 

 

「硬いわねぇ。友達が少ないぼっち陰キャかっ! 自然体でいいのよ、ボロ出るから」

「なにおう~ミズキ!? さっきの結婚がうんぬんの復讐か!」

「三十路からのありがたーい忠告よぉ?」

「ひぇ、目が据わってる!? ごめんなさい!?」

 

ミズキさんが「大体アンタは年長者に対して敬意が……」と頭を浅く垂れている鈴仙さんに小言を話している。

愉快な人たちだが私が求めていた職場環境とは真逆でこんなところでやっていけるのかと一抹の不安を覚えたそのときだった……

鈴仙がまるでミズキさんの説教から逃げ道を見いだしたと言うような感じで急に頭をあげた。

 

 

「千束だ!」

「お、ようやくご到着か」

 

 

二人が何か言っているがしばらくドアが開く気配もなく頭に疑問符を浮かべる。

数秒後、店の扉がバンッ! と効果音がつくほどの勢いで開かれた。

 

何事かと思い一瞬警戒するが、ドアの前に現れたのは私たちと同じリコリス(色違いの赤いリコリス)、さらに店内が賑やかになる。

 

 

「せんせ~大変! タベモグの口コミでこの店ホールスタッフがかわいいって! コレ私と鈴仙のことだよね♪」

「いや、私だよっ!」

「冗談は顔だけにしろよ、この酔っ払い……」

「そうだそうだ! 酔っ払いが調子乗ってると痛い目に遭うぞ~!」

「だまらっしゃい! 酒飲ますわよ!」

 

 

この人が千束、東京のファーストリコリス……

ますます不安だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Reisen side>

 

というわけでたきなが新人としてリコリコに籍を置き、仕事も始まったわけですが……

今までは二人で仕事に当たっていたけど、十分人手が足りていた。

そこに新たに人が加わったということは、当然余裕が増えるということで……

 

 

「うん、不服だ。それに暇!」

 

 

余裕が増えるのはいいことだしそれだけならよかったんだけど……

千束と別行動になるのは聞いてないですよ、ミカさん!

 

そう。

前半は千束、後半は私がたきなと行動し、仕事初日なので何をするのか、どんな仕事をするのかをたきなに覚えてもらうために分けるという暴挙をされてしまったのだ……!

 

千束は早速たきなを引きずるようにハイテンションで子供のお世話、ヤクザに怪しい粉末(コーヒーの粉)の配達に行った。

きっとたきなは本部との仕事の差に驚いている頃だろう。(実際は訝しんでいた模様)

楽しそうな千束を見たり想像したりする分には楽しいけど、やっぱり少しだけ寂しいなぁ……

 

 

そして現在、閑古鳥が鳴くリコリコで暇を持て余している私はやることがないので喫茶店のレジの整理作業をしたり、意味もなくお皿やテーブルを何度も拭いたりしている。

ぼーっとピカピカになったお皿を無意味に拭いていたところ、先生がお話をしに来てくれた。

 

 

「すまない、平日の客足を考慮したら三人で一緒に行動してもらった方がよかったな。コーヒーはいるか」

「別にいいですよ、ミカさんやミズキさんもいますし……。それはそれとしてコーヒーはいります! もちろん苦くないやつで」

「そうか、……ところでたきなはどうだった? うまくやっていけそうか?」

 

 

私はどうしてか、人の感情や性格を読み取ることが得意なようで、心に秘めている悩み事があるか質問するとよく当たるため、常連さんの中では「エスパー鈴仙ちゃん」の小っ恥ずかしい異名が広まっている。

 

……不服です。

ミズキとか、普段は気が合いそうなのにお酒が入ったら途端にウザくなる人だっているんですよ?

まあ、たきなの現状での雰囲気を見ると……

 

 

「まだ千束と行動中ですし、ほとんど喋ってませんが……別に、普通に元気そうな子で、千束とはうまくやっていけると思いますよ。千束とたきなの性格というかテンションというかそこは真逆ですけど……。何にせよなんとかなります」

「なるほど、ならよかった。千束をとられて不機嫌になってたらどうしようかと思っていたが……」

「盗られてません!」

 

 

まるで私がたきなのことを敵視しているような言い方だ……

私とたきなに精神的な距離感じているとか、仲間として迎え入れるのに抵抗があるように感じているというならまだしも、さすがに敵視まではしていないです。

そんなミカさんにジト目で反論する。

 

 

「そもそも、ミカさん。私そんなに子供じゃないですよ……?」

「悪い悪い、ほらミルクと角砂糖だ」

「やったー!」

「そーゆーとこぉが子供なのよぉ……」

「そこ何か言いました?」

 

 

コーヒーのことか、それとも機嫌が甘いもので直ったことか……

どちらにせよ苦手なものは苦手だし、だからって私はもう立派なレディ、子供じゃないんだよ、ミズキ?

 

……それにしてもやっぱり誰かと楽しい時間を共有してるとあっという間に時間が経っちゃうなぁ。

さっきまで時間の流れがゆっくりに感じていたのに、今はあっという間に感じる。

 

静かな空間でさえ、砂糖とミルクをコーヒーと同じくらい入れた私を見て何故か苦い顔をするミカさん、ついでに酔い潰れかけているミズキさんがいれば不思議とそう感じてしまうのだ。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

「たっだいま~、千束とたきなが帰りましたよ」

「ただいま戻りました」

「おかえり~。お仕事は順調だった?」

 

 

扉の方から聞こえてきた元気のよい声に反応する。

見たところ千束はやはり新鮮で楽しい仕事となったようだ。

一方のたきなは慣れない仕事のせいか、はたまた千束の高いテンションのせいかはわからないけど少々疲れているように見える。

 

 

「聞いてよ、鈴仙! たきなったらコーヒーの粉を怪しい粉の取引だと思って銃撃しようとしたんだよ。まあ私がそう見えるように怪しく演じたってのはちっとばかし悪いとは思ったけど映画みたいなことできて、楽しかった! ほかにもいろいろd」

「ちょぉっとそこのうるさいの。これから鈴仙とたきなの二人は仕事なんだから邪魔しあいの!」

「酔っ払いの方がよっぽど邪魔だと思いますけどぉ、どぉ思いますか~、ミ・ズ・キさぁん」

 

 

売り言葉に買い言葉。

いつも通り千束とミズキさんは口げんかを始める。

これも一種のコミュニケーションで互いに楽しそうに戯れている様子を見ると微笑ましい。

 

その姦しい声をBGMにリコリスの制服に腕を通す。

着替え終わるとたきなが扉の前で待っていたのか、そこで驚いた声と表情をする。

 

 

「鈴仙さん、セカンドリコリスだったんですね……」

「そうなのよ。見えないわよねぇ~」

「見えませんね……」

「む、自己紹介の時に言いましたよね? そんなことひどい言ってると怒っちゃいますよ!」

「すみません、てっきり誇張かと」

「ブツブツ……(たきなよりセカンドリコリスでいた期間長いはずなのに下に見られてるのは……)」

 

 

ミズキさんとたきなの声にむっとした気分だ……

項垂れ落ち込んでしまったっけど、これから重要な任務があるからそんな暇はない。

 

千束のように優しく、寛容になるんだ。

そうすればすぐ気持ちを入れ替えられるはず……

 

 

「鈴仙さん。そろそろ向かいませんか」

「……そうですね。ボディーガードの依頼をしに行きましょう」

 

 

たきなから出発を促され、先輩風吹かせられず出鼻をくじかれた。

前途多難でビミョーな気持ちなるが、それでもめげない。

座りっぱなしで凝り固まった背中や足を伸ばし、背負い鞄を持つ。

そして店を出発しようとドアに手をかける。

 

「二人とも喧嘩もほどほどにね」

「「喧嘩じゃないから!」」

「じゃあ、行ってきま~す!」

「行ってきます」

「「いってら~!」」

 

そう言って私たちは仲のいい二人に見送られながらリコリコの外に出た。

 

リメイク前作品「フィークス・G・リコイル」の削除について

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