優曇華と彼岸花   作:桃玉

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<Reisen side>

 

……何か嫌な予感がする。

ミカさんから感じる波長は恋慕ではなく重苦しい緊張。

千束でもたきなでもなく私が、私だけが二人の間に何があるのかを確かめないといけない気がした。

 

 

「うし、じゃあ帰るか!」

「そうですね、ミズキさんお願いします」

「あ、私家近いから歩いて帰る~」

「あっそう? 送っていこうと思ったけど……」

「いいの、偶には運動も大事だしね」

「そんなちょっとの距離じゃ全然駄目ですよ?」

「ま、やる気がないよりいいでしょ!」

「じゃ、またなチビ(鈴仙)

「はいは~い……………………よし、やりますか……!」

 

 

みんなの車が見えなくなったのを確認して私は再びエレベーターで昇る。

耳を澄ませて二人の会話を盗み聞きする。

 

 

「手術後、私は君にあの子を任せた……。その意味を忘れたのか、ミカ……。何のために千束を救ったと思っている。あの心臓だってアランの才能の結晶なんだぞ」

 

 

吉松さんはやっぱりアランの……

千束を救ってくれた救世主さんだったんだ。

 

 

「なあ、シンジ。……それは千束のためなのか」

「ああ、そうだ。才能を世界のために使うことこそ、アランチルドレンである千束の幸せなんだ。それなのにどうして彼女に殺しをさせない……」

 

 

今、千束に殺しをさせるって言った……?

視界が歪み気分が悪くなる。

千束の才能は人を幸せにするための才能で、人を殺すための才能じゃないのに何で……

 

 

「今千束が幸せそうに過ごしているのを見ていると、君の言うそれが本当の幸せなのかわからなくなる……」

「……私を信じろ、ミカ。才能は神からの寵愛の印(贈り物)だ」

「そうか。わかったよ」

「……嬉しいよ、わかってくれて」

「ああ、君が思う千束の幸せの形は私とは違うことが、わかった」

「ミカ……」

 

 

グラスに入ったウィスキーのロック()から、カランと音が鳴る。

ミカさんが千束に殺しをさせるようなことはないと安心して酸が胃に戻る。

酒を呷り(あおり)吉松さんの喉を勢いよく流れる音。

 

 

「シンジ、ジンは逃がしたぞ」

「昔はそんなに甘い男じゃなかっただろ……どうしてわかってくれないんだ……」

「シンジ、残り少ない千束の時間だ。彼女が望む時間を与えてやろう」

 

 

残り少ない……か。

いざ誰かの口から事実を聞くとツラくて涙が勝手に溢れてくる。

千束とずっと一緒にいたいって約束したのに、結局何にもできずにこのままなのか……

 

 

「少ない時間か、それこそ才能を使うべきだ」

「やめろ! ……千束は殺しを望んでいない、……殺しでは誰も幸せを、感じないんだ……」

「……世界中の不幸を取り除けば、それは幸福なことではないか」

「代わりに千束を不幸にさせるつもりか」

「そうではない。人の幸せを願う彼女の幸せを考えれば少数を救うより、多数を救い少数を切り捨てるべきだ」

 

 

そんなの絶対に駄目だ!

千束は千束のままで生きててほしいのにそんなことしたらきっと千束が悲しんで千束じゃなくなるかもって……

怖いんだ、私は千束が消えてしまうことが怖くてたまらない。

 

 

「ミカ……才能とは神の所有物だ、人のものではない。まして私たちのものでもないんだ」

「私には君の言っている才能とやらは呪縛にしか聞こえんよ」

「……君に千束を託したのは私の判断だ。しかし才能を潰してしまったままにはできない」

「どうするつもりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Mika side>

 

『ミカ、約束だ。千束を頼んだよ……。そして世界に届けてくれ、類い希なる殺しの才能を』

『ああ、約束だ』

 

 

私たちは同じだった。

秘密が多く、マイノリティで、愛娘がいる。

しかしあの時の一方的な別れの挨拶を機に、道はズレ始めた。

 

そして千束と長く生活を共にすると、いや、千束だったからか……

健気で儚い少女を目の前にして、お前のように冷静ではいられなかったんだ。

私はシンジ……お前のことを裏切った。

 

それなのにどうして私に変わらない目を向けてくるんだ、シンジ。

 

 

「新しい心臓が近々完成する」

「それは……」

「千束のためだ」

 

 

まさかと思い手に持って弄っていた酒を落としシンジの方に顔を上げる。

その言葉の意図は私にはほとんどわからない。

 

確かなのはシンジは千束を愛しているということ。

それこそ己の信条であるアランの規則を破ってまで想っている。

 

……ただ、シンジの瞳は先ほどと何も変わってなどいない。

 

 

「一体何を……」

「……アラン機関は才能を支援する。もし千束の才能が確かなことを知れば才能を潰えぬよう動く。その逆も然りだ」

「……嘘だろう?」

「いいや、本当だとも。私は嘘をつかない。君も知ってるだろ」

「ああ……知っているとも」

 

 

千束は殺しをすればアラン機関は才能を助け、殺しをしない限りアラン機関に狙われ続ける……

そういうことなのか、シンジ。

 

シンジは嘘をつかない。

君を信じて私も全力を尽くせば上手くいく。

そう思っていたが……

 

 

「千束には私を殺してもらう」

「ふざけるな」

「真面目だよ、私は」

「いいや、巫山戯ている……!」

 

 

思わず机を殴りつけた拳。

爪が皮膚に食い込むほど拳を固め、我慢することで精一杯だ。

 

アラン機関を裏切り千束を支援したシンジを千束が殺せばマークは外れる。

シンジは千束に二度と会えなくなる前に安心して逝くことができる。

千束の信条を今後脅かす存在(シンジとアラン)は消える。

最善策かもしれない。

だが……

 

 

「何故……どうして納得してくれない」

「できるわけないだろ。これが成功すれば千束はこれ以上殺しをせずに済むだろう。だが……お前を殺させるなんて、できるわけないだろ……」

 

 

千束が殺しを一度でもしたら……

千束の憧れであるシンジを殺してしまったら……

そんなことを考えるほどに私は愛している人を失うのが怖くなるんだ。

 

 

「次会うときが最後だ、ミカ。このことについてよく考えておいてくれ」

「ああ……」

 

 

シンジが静かに席を立つ。

目を合わせずに視界から消え去る彼の背中すら追いかけられない。

 

ここで何か行動すればこれ以上悪い結果になるんじゃないかという思いのせいで千束とシンジの結末が変わるんじゃないかって考えを引き留められなかった。

 

 

「…………考えられるわけないだろ、シンジ」

 

 

遅すぎたその言葉は彼の耳には届かず、彼を引き留めることもできない。

私は、臆病だ。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

アランチルドレンには使命がある。

アラン機関に才能を見いだされた者たちは例外なく使命を為さないとならない。

神に与えられた贈り物(ギフト)を世界のために……。

 

でも私は……千束の使命なんてどうでもいい。

才能……神からの祝福(呪い)の使い道はアラン機関が決めるものじゃない。

そのせいで千束は自分の意思と関係なく人を殺さなければいけない。

 

 

誰か(アラン)の言いなりになどならない。

自分のために人を助け、才能にとらわれず自分の意思で行動する方が千束らしくていい。

 

自分のしたいこと最優先。

それでいいんだ。

 

 

千束に殺しをさせないという意見が変わることはない。

 

それに私は決めたんだ。

あの日、二人の父親となった時に自由に生きさせてやると。

 

 

千束は心臓のせいでアラン機関に頼らざるを得なかった。

でも鈴仙は違う。

明らかに千束と同等の才能を持っているが命に関わる機能的な疾患はない。

ならアラン機関から遠ざけ、アランチルドレンにならないようにすれば自由に生きていける。

 

千束とアラン機関との関係だけが未だに解決しない問題だ。

……まだ時間はある。

シンジを救世主だと打ち明けるのも、本当の使命もまだだ。

どうにかして千束もシンジも失うことなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Reisen side>

 

アランチルドレン、才能、使命……

千束はアラン機関から勝手に才能を見いだされ、勝手に使命を見いだされ……

私がその押しつけられたものを引き受けられたならどれだけよかったか。

 

でもそれはできない。

誰かの代わりにはなれない(千束の代わりは誰もいない)

でも私は千束と一緒にいたくて、千束を助けたい。

そしてそれが私の使命だと思う。

 

吉松さんがエレベーターに乗って帰って行く。

ポケットの中に手を入れ、その哀愁漂う背中に背を向けて再びバーの中に入る。

度数の高いお酒を手にミカさんの方へ靴の音を静かにならしつつ歩み寄る。

 

 

「……お客様、おかわりはいかがですか?」

「れ、鈴仙ッ!? 何故ここに……ッ!!」

「しぃー……他のお客様のご迷惑になりますのでお静かに」

 

 

目を見開き、口を開けるミカさんを口に指を立てて止めながら至って真剣な顔で、静かな声で隣に座る。

盗み聞きしたという後ろめたさがあったせいで上手く目を合わせられない。

でもそれ以上に私たちの大切な千束についての想いの方が強くて、ミカさんと話したかった。

 

 

「……どうしてここにいる」

「うーん、元々はですね、千束がミカさんのメールが見えちゃったことが始まり。で、何か千束が楠木さんとのやりとりだって勘違いして、DAに連れ戻す気なんじゃないかって……」

「…………なるほど。……千束は?」

「デートだから邪魔しちゃ駄目だって言って先に返しました。何か良くない予感がしたので……」

「そうか」

 

 

ミカさんの空いたグラスにいっぱいの酒を注ぐ。

静かに黙ったまま注いだ酒を呷るミカさんの目は潤んでいて……

どこか私と同じ瞳だった。

 

 

「……どこまで聞こえた」

「全部です。松下さんの件も心臓もアランの話も何もかも。…………千束には、話さないんですか」

「……ああ。黙っていてくれ」

「でもいつか、話さないといけなくなりますよ?」

「今はまだ…………話すべきじゃない」

「……吉松さん、千束に殺させるんですか」

「……わからない。私にはどうすればいいかわからないんだ。……大人なのに情けないだろ」

 

 

ミカさんの目が隠れる。

ガラスから結露した水滴が流れ落ちる。

暗く落ち込んだ視線から目を反らし、ポケットの中で弄んでいたペンダントを首にかけ、服の下で飾りが揺れる。

 

 

「昔、千束と約束したんです。千束が死なないように支えるって……。でももし千束が吉松さんを撃ったらそれはもう千束は、死んだのと同意義で…………私は耐えられないです」

「ああ……。だが、それでも生きてほしいと思うのは親のエゴかな」

「そう、かもです。でもみんなも自分勝手(エイゴイスティック)で、だからこそ魅力的で眩しい、でしょ?」

「ああ……そう、かもしれないな……」

 

 

みんな、私にないものを持っていて、それがとても眩しくて……

みんなのことが好きなんだ。

そのためなら現実を受け止めて、トラウマ(幻影)を乗り越えて……

地獄だって這い上がってみせる。

 

 

「私、もう決めたんです。千束もたきなも、みんなが悲しまないようにどうにかするって。そのために私は私で最善を尽くそうって、そう決めたんです……。だからミカさんもいつか千束に話してくださいね。千束ならきっと受け入れてくれますから」

 

 

どうにかする。

どうにかできなくても最後まで足掻いて最良を目指す。

だって私たちにはそれしかできないから。

 

 

「……強いな。私の娘たちは」

「全部ミカさんのおかげです」

「私はまだ誰の死も受け入れられない」

「私だってそうです」

「そうか……」

 

 

私たちはやっぱり似ている。

怖がりだし、臆病だし、なにより自分が傷つくこと以上に誰か(千束)が傷つくのを恐れている。

千束のために何とかしたいという想いは何もかも同じ。

だからこそ歩き続けないと道は開けないんだ。

 

ミカさんが立ち上がるのを見て立ち上がり手を握る。

 

 

「帰るか」

「うん! 帰りましょ!」

「……すまなかったな」

「別に気にしなくても……。どうしてもって言うなら今回の騒動終わったら千束とか、あとたきな達もつれて旅行に行きたいです!」

「……そうか、そうだな。いつかとびきりを用意しておこう」

「やったー! ……いつ行けるか、期待して待ってますからね?」

 

 

建物を出た私たちは暗く涼しい道を歩き始めた。

未来への期待は望月が照らす星空の向こう側にある。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

翌日、扉を開けると店内には阿部さんや伊藤さん、北村さん。

昨日の私とミカさんのことは二人の秘密として何も変わらない日常が店内に広がっていた。

 

 

「おっはよーございまーす!」

「あ、鈴仙ちゃーん! 丁度いいとこに!」

「伊藤さん、人殺しはダメですよ! たきなも悪人でも殺しちゃダメでしょ!」

「漫画の中でしょ? なら殺しても問題ないはずです」

「いーやいや、ここで生かしておいて後々主人公を助けに来る方が……」

「なるほど……! それもらい!」

「さっすが鈴仙ちゃん! 今日もエスパーしてるね! というか調子いい?」

「おお! 北村さん正解です!」

「なになに、いいことあったの~?」

「内緒です♪」

「そろそろ始めるぞー」

「お、クルミちゃん用意周到だね。今日こそは連勝記録止めてやるぞぉ!」

 

 

いつものようにクルミがゲーム大会を開催しようとテーブルの上にボードを上げている中、伊藤さんは漫画の締め切りで参加できなさそう。

昨日から「明日には終わる……明日には……」と言っていたので逆にこうなることはみんなわかってた。

 

もちろんこのお楽しみ(ボドゲ大会)を逃す手はない!

言われなくても伊藤さんの代わりに参加しようとしてたけど、何だかんだ言ってボドゲを一番楽しみにしているリス(クルミ)に「ここに座れ座れ」と促され半ば強制的に座らされる。

 

順番決めのじゃんけんの準備!

……と意気込んでいたのに視界に入ってきた何かスゴイ何かに驚いて声が漏れる。

 

 

「うわぁ……」

「ミズキ、おまっ!? 日の高いうちから何ちゅう格好してんだ!?」

「ミズキさん、お出かけ?」

「決まってるねぇ!」

 

 

調子よくゲームスタートしたかったのに……

えらく艶めかしいドレス姿のミズキさんが外に行こうとしてた。

 

 

「どこ行く?」

「もちろん、昨日の高級バーよ? お子様連れてこの前は入れなかったけど、私一人だったら入れますから、このゴールドカードで……」

「そのIDならもう消したわ」

「何でっ!? 高級バーよっ!?」

「お前が低級だからだ」

「やだぁっ! 絶対行くっ!! ナニ、何だ、犬、野良イッヌ!? 雌じゃねぇか! ああぁぁ……!?

 

 

きっと男との出会いを求めて行こうとしてたんだろうな……

近所の野良犬に懐かれてドレスがめちゃくちゃになるのを想像して思わず合掌しちゃった。

そんな面白おかしい人の嘆きに混じってドタバタと激しい靴の音が近づいてきた。

 

 

「うっわ、そんな変な格好で犬とふれ合ってどうしたミズキ……!」

「やかまっしゃい!」

「千束の声! 希望の声が聞こえてきたぁっ!! 千束ちゃん、早く来てぇ!」

 

 

千束がいなくてスランプ気味の漫画家(伊藤さん)がよっしゃとペンに力を込める。

 

そのとき、五月蠅い声と足音とともに扉がぶっ飛んだ!

……と錯覚するほどに激しく開かれる。

 

 

「千束がきましたぁ!!」

「千束ぉ゛! こっち早く早くぅ だずけでぇ゛~~!!」

「ああ、最新話できました~? ……んなわけないか! この漫画家アシスタントの千束に任せんしゃい!」

 

 

漫画の原稿仕切りはもう過ぎているけど編集の人が待っていてくれている間に急いで書き上げないと!

そんな超ギリギリで生きてる漫画家を助けに給仕服に着替えずに駆け寄る。

 

 

「それ終わったらこっちきてー! 今ボドゲやるとこだからぁ!」

「え、マジっ!? ソッコーで終わらして行くわ!!」

「いや無理無理!? 絶対今日の夕方までかかるよぉ!」

「千束ちゃん、こっちで一緒にゲームしよー!」

「伊藤さん!! 私、これでも絵心あるんですから~! 営業時間内には終わらせましょう!」

「いや、千束は私にアドバイスだけお願い!」

「えー何でよー! 二人でやった方が早いですよ!」

 

 

ボドゲをしたいから二人で描いて早く終わらせようとする千束。

でもあそこに飾ってる私たちの残念な絵を見て誰が任せてくれるだろうか……

クルミも苦笑いだ。

 

 

「それしたら仕事増えるだけだろ…………千束―、スペシャルパフェくれ~」

「私も私も~!」

「じゃあおじさんも頼んじゃおうっかな!」

「全部で四つね!」

「ちょい待ち~! せんせー千束スペシャルの団体様で~す!!」

 

 

てんやわんやしているときにクルミが面白がって千束に注文してそれに続いてボドゲしてるみんなも注文する。

千束はミカさんに聞こえるように大きな声でカウンターの方に呼びかける。

 

 

「ちょっとみんな! こっち(漫画)は遊びじゃないんだぞ! 千束も私のこと捨てないでぇ!」

「いや誰が捨てるか……ってええっ!? 殺しちゃったのっ!? 駄目だよぉ殺したら!」

「あ、ここは死んだと思わせて実は……」

「おおっ! まさかの生き返るとか!?」

「いや、実はトリックで……」

 

 

……たきなのアドバイス通り殺しの描写入れた箇所に千束の監督が入る。

もちろん忙しいときに絵を描き直している余裕はないみたいで何とかその絵を使って別の展開にするように頑張っている様子。

死んだと思わせるトリックは面白そうで興味あるけど流石にそっちの新しい展開で描く方が大変な気がするのは気のせい?

……いや、きっと徹夜続きで糖分が足りてないせいで何も考えてないんだろうなぁ。

 

 

「千束~! 営業始まってるんだから早く着替えてきてくださ~い!」

「は~い!」

 

 

たきなに促され給仕服に着替えようと奥の部屋に入る千束。

ミカさんが作ったスペシャルパフェができあがったのでみんなで食べるように受け取りにいく。

 

 

「昨日はありがとうな、鈴仙も存分に食べなさい」

「え、いいんですか! じゃあ追加で三個、いや四個!」

「さすがに食べ過ぎだ」

「漫画家さん糖分足りてないみたいで……」

「あ~、わかった追加で作っておく」

「たきな~! 運ぶの手伝って~!」

「はーい!」

 

 

ミカさんが用意してくれていた私専用の超豪華山盛りパフェを運ぶ。

漫画家さんの分を1つ確保して残りの3つは自分の分。

そんな私を見て二度見していたたきなはクルミと北村さん、阿部さんの特大パフェを運び、オーダーがなくなったのかそのまま座敷に腰を下ろす。

 

なぜかこちらの方を凝視しながら。

 

 

「お、サンキューたきなぁ……ん? どうした?」

「二人とも小さいのに、体のどこにその体積を収めているのかな……と思いまして。特に鈴仙、4つも食べれます?」

「もっちろん! 甘いものは別腹だから実質無限だよね!」

「そうだ、すぐ脳に全部行く」

「ああ……だから……」

「……何で千束を見比べてるの」

「いえ、ただ……頭を使わなかった場合、収まらない容積はしっかり反映されてるんですね」

「………………ん? 三人ともどした~?」

 

 

千束のボインなところを凝視。

何も理解してない千束を見て長年の疑問が何となく解けた気がした。

 

 

「何でもないよ~早く終わってボドゲしよ!」

「だって、伊藤さん! 何としても早く終わらせましょー!!」

「ちょっと無茶ぶりやめてよ千束ぉ!」

 

 

漫画家のアシスタントとしていつも以上に張り切ってる!

この調子なら割とすぐ終わりそうかも。

 

今はまだ平和な日常を楽しもう。

いつか来る非日常への覚悟は決まったから……

 

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