優曇華と彼岸花   作:桃玉

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<Mizuki side>

 

たきながDAに戻った。

鈴仙もDAに行った。

そのせいで妙に静かな店内。

……いや、それだけじゃなくてクルミもおっさんも私も千束も寂しくて落ち込んでるせいもか。

 

そんな静かさを紛らわせるように千束は盛り上げようと声を出し、走り回る。

あんな激しく動き回ってると心臓がいつ止まるやら……

はぁ……何かイライラしてため息が出るわ。

 

 

「何だ、ため息ついて……男にでもフラれたか?」

「バカ言ってんじゃないわよ。……そんな論文ばっか漁って心臓なんて見つかんの~?」

「あんな高性能な人工心臓、論文になきゃ一体どうやって作るんだよ。少なくとも仕組みについての論文はあるはずだ。最近だってアランチルドレンの論文が世間を騒がせてるだろ?」

「ま、そーよねぇ」

 

 

確かテレビで真っ赤な髪の岡崎なんちゃらって人がミクロの世界とマクロの世界を一つの式で表すことができるとかなんとか言ってたわねぇ……

ただ今までにない概念とか今までの仮説の否定とか新たな仮説の提唱とか、基本的な部分がごった返してて世界中の科学者たちが大慌てみたいだけど、そんなの今はどうだっていいわ。

 

 

「まだまだ時間かかりそう?」

「当たり前だ。……だが、千束の新しい心臓には確実にちかd……」

「ミズキ~、先生が呼んでるってどした?」

 

 

ヤバい、千束に見られた……

いつも通りに過ごしてほしいって常々言ってきた千束のことだ。

私たちが自分らのために新しい心臓を探してるのに、千束は自分のせいだって思ってそれが嫌で……

 

 

「やっぱもう終わりにしようかね…………リコリコは閉店しま~すっ!」

 

 

ほぉれ、予想通り。

……はぁ、コイツ子供のクセして達観しすぎなんだわ。

少しくらい希望もって長生きしたいだの思いなさいよ。

 

たきなと鈴仙(ガキども)がいない今、ここには千束以外全員大人。

千束が黙れば店ん中はいつもの活気はなく、いやに静かで酒が飲みたくなる。

 

千束の心臓の寿命が近づいていたことも知ってた。

遅くても数年以内に閉店することも知ってた。

……そろそろじゃないかと予感もしてた。

 

ガキが一生懸命頑張っているのに自分だけ動かないのは女が廃るってもんよ。

それに千束は妹みたいな存在…………ではないにしろ近所のうるさいくらい元気なガキと毎日話していれば情も移るわ。

 

 

「別にこっちはこっちの好きなようにやってるだけだからアンタは気にせず好きなように仕事してなさいよ……」

「いやいや、私の心臓探してくれてるんでしょ?」

「まあ? そう言えばそういうことにはなるのかもしれないけど……」

「やっぱね、あんまり私のことでみんなの時間を奪っちゃうのはイヤだし、やっぱりここは最後まで楽しい場所じゃないとね!」

「アンタは聞かん坊ね……。鈴仙みたいに素直であれよ」

 

 

自分の時間を大切にしてほしいとかコッチだって自分のやりたいようにやってんのよ?

それに誰かの時間を奪っちゃうって……別に殺すわけでもあるまいし、時間は有限と言いつつ結構長いもんよ。

 

……ってか誰かを心配するんだったらお前自身を大切にしろよ!?

まあそう言ったところで折れないのがコイツの芯の通ってる良いところで意地っ張りで頑なな悪いところ。

 

 

「千束はそれでいいのか……?」

「……うん、もともとそうする予定だったんだ。なんなら長すぎたくらい……ねっミズキ」

「そうねぇ…………」

 

 

もうちょっと運命の男探しは後にしてここに残ってもいいって思ってたんだけどねぇ。

千束がそう言うなら、千束のために始めたこの場所を終わりにすることに口出しはできないわな。

そうするしかない……

 

千束にとって、この場所があったからこそ楽しい時間を過ごすことができた。

そんな場所を簡単にホイホイ意味もなく捨てるようなこと到底考えられないわ。

この決断にどんな苦しみがあったのかもなんとなくだけど想像がつく。

どうせ自分ももう少しでいなくなるからお店を閉じる良いきっかけになってよかったよかったとか心の中で言い聞かせてるんでしょ?

 

……妙に長くいすぎたせいでガキの声がうるさいこの場所が居心地いい。

そう感じる私はこの店の雰囲気とみんなに絆されて……

酒も男もいないのに、私も馬鹿が移ったのかねぇ。

 

でもそれは今日で終わり。

 

 

「さぁ~みんなもたきなを見習って自分の道を歩みたまえ……ヘイ、ミズキはどこ行くぅ?」

「……婚活サイトで知り合ったバンクーバーのイケメンにあいにいこうかしらぁ……?」

「わお、いいねぇ、どれどれ……うわムキムキだな」

 

「へい! クルミは?」

「……ボクはここがなくなれば命を狙われることになる。海外にでも行くとするよ」

「じゃあさドイツとかどうよ!」

「ボドゲか?」

「ビンゴ! あ、落ち着いたらたきなと鈴仙も連れて行ってあげてほしいな! 私たちって戸籍無いから海外いけないじゃん?」

「……わかった」

 

 

千束に生きていてほしいと思って情報を探して、余計なお世話だったかぁ……

まあ、後悔しても良いことないってのはこの子から学んだ。

だから最後くらい後腐れなく別れてしまうってのも、私たちにはぴったりかもね……

 

しょうがないっちゃしょうがないけどこれがベストなわけない。

 

リコリコが閉店した後はDAとの繋がりもなくなる。

そしたら二度とこの場所には来ない。

つまりあのDAに行った連中とも挨拶なしに後生の別れか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Kurumi side>

 

「世話に、なった……」

「なぁに? そんな悲しい顔して……らしくないなぁ」

 

 

最後の別れの言葉。

たった半年世話になったところから離れるだけだ。

別に悲しいとか寂しいとか、そうことじゃない。

自分の無力さが恨めしい、きっとそういうことだ。

 

……だから何かこみ上げてくるものはそう言う自分に対しての怒りみたいな、うまくいかないことに対する感情に違いない。

 

ただ、情が移ったかどうかはさておき、ここでの生活はとても楽しかったのは間違いない。

騒がしい看板娘(千束)、生意気なチビ(鈴仙)、頭の固い経理係(たきな)……

ソイツらと常連の奴らと一緒にボドゲするのは楽しかった。

 

もう二度と皆の顔を見ることないと思うと湧いてくるモヤモヤした感覚。

 

可能な限り千束の心臓について調べようとも思っているし、もう一度この場所に戻ってこれるように最善を尽くして……

それでも何も結果が伴わなかった場合は仕方がないと諦めて大人しく元の生活に戻るだけだ。

兎にも角にも悔いしないように動くしかない。

 

ボクとミズキは空港に向かうためタクシーに乗り込む。

 

 

「ミズキも達者でな!」

「おうよっ! 鈴仙帰ってきたらよろしくって言っといて」

「もちのろんよっ!」

「……じゃ、ガキの世話(千束らの事)は任せたから」

「ああ」

「あんまり迷惑かけんじゃないぞぉ? おっさんももう年なんだから」

「ヘイヘイ」

 

 

タクシーの窓が閉まりタイヤが回り出す。

 

ミズキ、千束、みか、そしてここにはいない鈴仙。

四人の血はつながっていないが長年ともにしてきた者たちはさながら家族のようだった。

そんなヤツラの最後の言葉はあっさりとしていた。

 

 

「なあミズキ、お前はそれでいいのか? 最後の別れになるかもだろ?」

「いいのよ」

「寂しくなって死んでも知らんぞ」

「誰が鈴仙(ウサギ)よ」

「……ウサギが寂しくて死ぬのは迷信だぞ?」

「……あっそ」

 

 

いつもよりツッコミのキレがないな。

普段のお前なら「喧しいっ!」とか言いそうなもんだが……

辛さや寂しさを顔に出していないだけで本当は……

 

 

「大人とは、裏切られた青年の姿である……か」

「どういう意味よ」

「まんまだ」

「…………しょうがないでしょ? 千束が望んだことよ」

 

 

期待を裏切られ、己の想いに自ら蓋をして隠そうとしているお前もミカもたきなの純粋さを見習えばいいのに。

ちゃんと千束に正面からぶつかっていけばいいのに変に大人ぶって子供みたいに我が儘を言わない。

理不尽を目の当たりにして諦めるのは勝手だが、それじゃあ千束の望みが叶うとしてもお前の気持ちは……

 

 

「言ってたでしょ、早かれ遅かれもともとこう言う予定だったって。アイツが生きてようと死んでようと何しようとこうなることは決まってたのよ。それに私にできることをアンタがやらないはずないでしょ」

「……ボクは男と酒には溺れないぞ」

「そういうことじゃねぇよ!」

「冗談だ」

「ったく……。私が手を尽くそうとしたところでアンタに先取られてるから何もヤル気ないわ。だから現実を受け入れて、この先どうなるか見守るだけよ」

「じゃあボクにできないことあったら頼むぞ?」

「そんなことあればねぇ」

「言質取ったからな?」

「こえーよ何させるつもりだぁ!?」

 

 

なぁんだ、やっぱりミズキも千束のこと結構やる気だったんじゃないか~!

そりゃそうか、ボクの下位互換のミズキはやることないんだから何もしないせいでやる気ないように見えるのは当たり前か(笑)

しょうがないなぁ、ボクがミズキの代わりに最後までできることをやってやるわ!

 

 

「……フッ」

「オイ、今何で鼻で笑った!?」

 

 

後悔するのも諦めるのも全部が終わってからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Erika side>

 

DA本部の大会議室。

後10分もしないうちに今回の作戦内容が伝えられる緊張感漂う部屋に次々とリコリスが入り、私も入室し全体を見渡すと一人知り合いを見つける。

 

たきなだ。

よかった、DAに戻ってこれたんだ……

そう思ってたきなの方に近寄り声をかける。

 

 

「……たきな、あの、隣いいかな」

「ええ」

 

 

素っ気なく返すたきな。

やっぱりあのとき私のせいでたきなが左遷されたこと、怒ってるのかな……

いや、でもあれはたきなが私のために庇ってくれたことだから、謝罪じゃなくて別の言葉……

 

 

「たきな、ありがとう」

「……いきなり何です?」

「銃取引の時、私のこと助けてくれたでしょ。お礼言えてなかった。だから、ありがとう……」

「ああ……別に気にしなくても……」

 

 

戦いにおいていつも冷静なたきな。

今回も感情がないかのように淡々とした返事。

でも何か違和感……

 

 

「もしかして元気ないの?」

「……体調は問題ありません。ただ……DAに戻るのは本意じゃなかっただけです」

「それってどう言う……」

『これより作戦概要の説明を開始します』

「始まりますね。話は後でしましょう」

「あっ、うん……」

 

 

前を向き、いつものように真剣な眼差しでスクリーンを見るたきな。

さっき感じた違和感は何だったんだろう……

身に纏ってる雰囲気が違うというか、何となく感傷的な雰囲気に思えたけど気のせいかな。

 

 

『……武器取引、地下鉄襲撃、リコリス殺害、警察署襲撃、これらすべての首謀者が真島と呼ばれるこの男です』

 

 

これから行われる大規模な作戦に参加する私たちへの説明を聴くにつれ、今までの点と点が繋がっていく。

たきなが左遷されるきっかけの事件も、地下鉄を襲撃し多くのリコリスを殺した件も……すべて真島という一人の男が関わっている。

つまりたきなにとっても私にとっても因縁が深い相手。

たきなの方をちらりと見ると表情は厳しかった。

 

 

『世界を股にかける戦争屋だ。十年前にも我が国で目撃されている。皆もよく知っている、電波塔事件だ、皆殺しにしたと思っていたが……。真島は国内外複数のマフィアから依頼を受け、延空木を狙っている』

『その依頼者の一人を捕獲し、真島の潜伏場所が割れました』

『全力で攻撃する。見つけ出し、殺せ……』

 

 

司令からの命令に全リコリスが起立し、その任務に当たることへの意思を示す。

すべてのリコリスがスクリーン中央に映し出されている真島を見ている中、たきなの小さな声。

 

 

「千束……」

 

 

その拳は固く握りしめられている。

スクリーンに映し出された電波塔事件の功労者である一人のファーストリコリスが映る瞳には一方ならぬ決意が見て取れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Takina side>

 

作戦の説明が修了した後、先日の事件に関わっていたとみられるヤクザが収容されている場所に足を運んだ。

下っ端やただのヤクザがどれだけの情報を持っているか、程度はしれているけれど、少しでも真島や吉松、そしてアラン機関についての情報を聞き出せないかと思って……

 

 

「お前、真島に依頼して警察署を襲撃させた奴だな」

「……お前らが俺たちをこんな目に遭わせたリコリスか。こんなチビにやられるとは……思ってなかったよッ! ガッ!? 何しやがる、離せッ!」

「動かないことをおすすめしますよ。私、人を殺しすぎたせいでここを一度クビになってるんですよ。それで外でしばらく生活していたんですが存外楽しくて……。ここであなたを殺してもう一度外に戻ってもいいなと思ってるんです」

「わかったっ! 話す、話すから撃つなよッ!」

「真島について知ってることをすべて話せ」

「それは全部話したッ!」

「じゃあアラン機関、吉松シンジ。これらの言葉に聞き覚えは」

「そんなもの知らんッ!」

「正直に答えてくださいよ?」

「ほんとに知らんッ!!」

 

 

……やはり無駄足でしたか。

少しくらいいい情報があればよかったのですが知っている情報以外は吐かない、もしくは本当に知らないといったところでしょうか。

わかったことと言えばアランはそう易々と尻尾をつかませてはくれなということだけ。

 

……昔の自分でしたらここまで積極的に行動してなかったでしょうに。

こんな風に行動するようになったのは千束と鈴仙のせいですかね。

 

そんな二人のいる日常を過ごしたりない。

まだまだ足りないあの日常を取り戻すために、手段を問わず自分にできることは何だってして見せましょう。

それこそDAをクビになろうとも。

 

 

作戦まで後数時間。

DAにいるはずの鈴仙の姿は別部隊にいるのか見えなかった。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

『これより真島討伐作戦を実行する。全隊突入』

 

司令の声によりリコリスが一斉に動き出す。

アジトの最深部へ進むにつれて別部隊からクリアの報告が順次入っていく。

 

やはり真島がいるのは一番奥の部屋か……

フキさんが「いつでも迎撃できるように体勢を整えろ」と静かに促す。

隊全体が改めて警戒を高めつつ突撃して、無力化、もとい殲滅しようと進行する。

ドアを蹴破り最後の部屋に突入するが……

 

……そこには人影は見られなかった。

 

 

(もぬけ)の殻か……」

「逃げられたッスねぇ」

 

 

フキさんの呟きにサクラは気が抜けたと言わんばかりにため息をつく。

敵がいないことを確認したためクリアの報告を出そうとして……

投影されたスクリーンと声に妨げられる。

 

 

『よう、随分なご登場だな? 集団でぞろぞろと……修学旅行生か何かか? ……お、引率の先生もいんのか』

「初めましてだな。私はお前の討伐を指揮している者だ。……一体おまえの目的は何だ」

 

 

真島……!

画面越しだからか、それとも歴戦の戦争屋だからかその顔にも声にも余裕が漏れている。

見ているだけでも気分が悪い、私たちには時間も余裕もないのに……!

 

 

『この日本って国はDAとか言うおかしな奴らが殺しをして平和を守っている。だがそれは本物の平和か? 法治国家が法を犯している組織を容認していること自体が歪だ。バランスを取り戻さなくっちゃーなぁ』

「悪党でも自分自身を悪とするのは苦痛か? ……我々はその法とやらが存在する前から存在してきた。お前らのようなテロリストから、犯罪者から日本を守るためにな」

 

 

現在真島がここから離れた場所にいることは明確。

千束の心臓が止まる前に、海外に逃亡されたり他の人に先に見つけられて私たちが踏み込めないようなことになる前に、私たちは真島の居場所を突き止めて尋問しなくてはいけない。

今後どうするべきか、方針を再設定するためにメールを送る。

 

 

……今

真島の方から着信音が聞こえた気が……

 

 

『自分が必要悪をかってやってるだけだ。お前らみたいなキモい集団をぶっ壊し、延空木もぶっ壊せばバランスがとれんだろ、悪党ども?』

 

 

まさか嘘ですよね?

あの鈴仙が真島に捕まったとか……

そんなことありえるはずがありません。

だって鈴仙は誰よりも隠密に長けていて、この前真島と戦ったときも善戦していたし、負ける要素なんかこれっぽっちも……

 

 

「悪党はお前らだろ? ……それにここには一人で潜入してきた囮がいたはずだが、ソイツは一体どうした?」

『あー……あの白髪のちっこいのか!』

「鈴仙! 鈴仙がそっちにいるんですか!!」

「オイたきなっ! 出しゃばるな!」

『おお、黒い方の久しぶりだな! お前はこっちに戻ってたのか……元気してたか?』

 

 

フキさんの手で制されてそれ以上前に行けない。

どうして私は毎回嫌な予感が確信にタイミングが遅いんでしょう……

もし鈴仙が人質に取られている状況なら無理矢理攻められない。

 

 

「あいつは中々に潜伏が得意なはずだが、どうやって発見した?」

『んなことどうだっていいだろぉ? 問題はそいつがどうなってるかって話だ……おおっと心配するな? 死んじゃいねぇ。ただ不法侵入者として丁重にお持てなしさせてもらっただけだ』

「真島ッ! 鈴仙はどこにいるっ!?」

「オ、オイッ!」

「……戻れ、任務中だ」

 

 

真島の発言に思わず手を振り切り前に飛び出す。

フキさんと司令の声が聞こえても止められない

リコリスである前に、大事な人を心配する一人の人間としていてもたってもいられなかった。

 

 

「さっき鈴仙の携帯の着信音が聞こえた! 鈴仙! そこにいるんでしょう!」

『コレのことかぁ? 今は俺が預からせてもらってるぜ? ……おうおう、落ち着けぇ、大丈夫だっつってんだろ。今は別の場所にいるから元気な姿は見せられねぇが、そんな心配ならさっさと助けに来てやってくれ?』

「……どうやら、その様子だと失敗してくれたようだな」

『お前らが俺らに誤った情報を掴まされてただけだろ。コイツはお前らには勿体ないくらい優秀だぜ?』

「ふん、そうか。だが作戦に支障はない。覚悟するんだな真島」

 

 

こいつの言葉は信用できない。

でも鈴仙が一緒にいなくて、真島の所にいるのなら、それは鈴仙が何らかの方法で独自に真島の場所を特定できたと言うこと……

一人で無茶するくらいだったら私も一緒に行くのにどうして何も相談してくれなかったのでしょうか……

千束も鈴仙も自分勝手すぎますよ……

 

もし鈴仙が携帯電話を奪われてなければ頼りにできたのに……

居場所もわからない今、私はどうすることもできないじゃないですか。

 

でもおとなしくしてもいられない。

このまま会話を引き延ばせば逆探知できるはず。

そうすれば鈴仙の居場所だって……

 

 

「吉松はどこ!」

『お前もヨシさんか、人気者だねぇ!』

「私はあなたに興味はない、吉松の居場所を……」

『俺もお前の方には興味ねぇよ。ま、ゆっくりしていってくれ。じゃあな』

「待て!」

 

発信元の完全な特定に失敗。

鈴仙は捕まっている。

……死んでなんていませんよね?

約束したじゃないですか、破ったら地獄まで追いかけますよって。

 

ただでさえ千束のことでいっぱいなのにこうも連続して悪いことが起きると……

 

いや、きっと大丈夫。

だって千束と遊んだ最後の時間も最終的に成功で終わったんだから、今回も……

 

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