このすばのアニメ放送と共に出すつもりでしたが・・・遅れて申し訳ありません。
多くの感想ありがとうございます。
おかげさまで多くの構想が浮かび上がりました。
次はオーバーロードの映画上映までに投稿したいです・・・。
それとちょっと長めです。
「えぐっ・・・えぐっ・・・なんでよぉ。何でいつも私ばっかりいぃ・・・」
ぬめぬめになった状態で地に膝をつけてそう言ったのは、勿論アクアである。隣には先程まで彼女を咥えていたジャイアント・トードが倒れていた。
「あー・・・いやでもほら、足は無事じゃないか?これで帰り道に滑って転ぶこともないぞ?」
「そ、そうですよ!いつもより被害が少なくてよかったではないですか!」
「わああん!そんな言葉、慰めにもならないわよ!」
三人の話し方から、ジャイアント・トードの体液によってぬめぬめになってしまうのは、いつも通りのことだというのがわかる。
「そういえばクエストの内容はジャイアント・トードの五体討伐だったな?残り三体となるわけだが・・・どうする?」
アインズはちらりとアクアを見る。
粘液が太陽の光に照らされて輝きを放つことにより、一瞬髪を掻き上げた姿が神々しく見えた。だが、立とうとして手を地につけたものの、ぬめりで手が滑り顎をぶつけて涙目になったことで一気にいつもの残念なものに逆戻りだ。
アインズとしてはこのままアクアをクエストに連れ歩かせるのは気が引けたので、他のメンバーに判断を仰ぐ。
「クエストを続行するに決まってます!あんな・・・・・・あんな
「私はいやよ。ここで待ってるわ。動くだけでネチョネチョするもの」
アクアはそう言うと、どかりとその場に座り込む。
その様子はどこか余裕があるように見えた。これはアクアがこの状況に慣れてしまったということであるが、アインズはその事を知る由もない。
「おいおい、せめておとr・・・・・・じゃなくて、ついて来るなりしてくれよ」
「あーっ!今囮って言った!!」
「言ってねーわ!言いかけたんだよ」
「キーッ!私のこと囮要因だと思ってたんだ!ヘンだ、私絶対ここから動かないし、怪我したって助けてあげないから。黒い人、ちゃちゃっとカエル見つけてクエスト終わらせてちょーだい」
ついには胡座と腕を組んでアクアはそっぽを向く。カズマが慌てて立たそうと腕を引っ張るが、動く気配はない。
彼女の意思は固いようだ。
「こっ、こいつうう!・・・・・・はあ、すまんアインズ」
「い、いや無理強いするのは良くない。それよりカズマ、あれは不味くないか?」
アインズの目線の先には丁度アクアの背後を取るように地中から這い上がってきたジャイアントトードが音を立てず、こっそりと近寄ってきていた。
「あれって一体・・・・・・おいアクア!後ろからジャイアントトードが!」
「え?どこ・・・・・・って、分かったわ!あんた達私のこと騙して立ち上がらせようって魂胆ね!へんだ!こんな嘘に引っ掛かると思ったわけ?私のスーパー女神脳を欺けると思わない――ふぎゃっ!」
アクアの見当違いの推理を言い終える前に、蒼色の美しく艶やかな髪が、ぬらりと粘液に塗れた暗闇の中に消えた。案の定アクアは頭からパクりと食べられてしまったのだ。
口から二本の足を生やすカエル。ついさっき見た光景と同じである。
「良し!1匹確保したぞ。アインズ、あと二体を探しに行こう」
「待て待て!これのどこが良しだ!?また喰われてしまったぞ!?」
「落ち着いてくださいアインズ。アクアは死んだわけではありません。頭からパクッといかれただけです」
「パクッといかれたんだが!?」
「そんなことよりアインズ!あっちから二体現れましたよ!」
「そんなことより!?本当にアクアはいいのか?!?」
「二人とも気をつけろ、背後からも敵感知に反応がある」
めぐみんの言うとおり、二体のジャイアントトードが丘の上から連なるようにして、こちらに飛び跳ねながらやってきている。
そして背後には、足を口から生やした個体と、地面がモコモコと音を立てている。
アクアに関しては元気よく足をばたつかせているのでまだ大丈夫だろう。それに今回も頭から食べられているので足が無事のようだ。
「アインズ、私の魔法は強大故に魔法の発動まで時間がかかります。その間、私は無防備になるので、背中を任せます」
「よかろう」
アインズはめぐみんに了解の意を示すと、背中の赤いマントをばさりと翻し、背中のグレートソードを抜き去る。
「お、おおう!お願いします!」
アインズのマントを翻す姿に触発されたのか、目を輝かせながらふんすと鼻息を吐き、同じようにマントを翻し杖を構える。
「すげえ!こんなに頼もしい仲間初めてだ・・・・・・!うぐっ・・・俺泣きそう・・・」
「なんですかその言い方。まるで私が頼もしくないかのような言い方ですね。まあいいでしょう、今私はとても気分が良いのです!そのカズマのまるで『俺変なこと言ったか?』とでもいいたげな顔を、驚愕と感動に満ち溢れた顔にしてやりましょう!」
そう言って再びマントをバサリと大袈裟にはためかせると、杖をジャイアントトードのいる方角へ構えて詠唱を行う。
詠唱が始まると周囲の空気がめぐみんのいる方に流れていき、杖の周囲には魔力の煌めきが放たれ始める。
「闇の淵より湧き出でし我が深紅の混淆、覚醒の刻来たれり。無謬の理に落ちし境界、無行の歪みよ、現出せよ!踊れ、我が力の奔流よ、崩壊をもたらせん。並ぶ者なき崩壊よ、万象を灰塵に還し、深淵より来たれ!これこそが人類の至大な攻撃手段、究極の魔法・・・」
目の前でジャイアントトードと対峙していているアインズでさえもその膨大な、質量とも圧力とも取れる謎の力に圧倒される。
「驚いた、これが初心者冒険者だというのか?そしてこの圧倒されるような威圧感、これが魔力か・・・・・・ふん!」
アインズはそう呟くと、目の前で対峙しているジャイアントトードに対し、グレートソードの腹を叩きつけるようにして、打撃を行う。しかし、ジャイアントトードはその行動に対し反応することなく、アインズをじっと見つめる。
「なるほどな。反応が鈍くてわかりづらいが、恐らくこの厚い脂肪に阻まれて打撃が無力されているとみた。これならば打撃を主力としている者達にとっては手こずる相手ではあるな」
アインズは独り言を言い終わると、ジャイアントトードの口がゆっくりと開けられる。
「・・・だが、完全無効化ではなさそうだな。ふんっ!」
アインズが目にも止まらぬ速さで振り上げたグレートソードを振り落とすと、文字通り踏み潰されたカエルのような鳴き声をあげ、ジャイアントトードの頭が地面にめり込む。それと同時にめぐみんの魔法が放たれた。
「刮目せよっ!エクスプロージョン!」
眩い光が炸裂した次の瞬間、その光は大地に突き立てられるように眩く地を貫く。轟音が野原に響き渡り、アインズの空っぽな鎧の中を震わせ大地を揺らすと、熱風が駆け抜ける。
アインズは目標のジャイアントトードのいた場所に目をむけるが、そこには先の魔法によって抉られた大地と、土煙しかなかった。
「素晴らしい!いやはや、いいものを見せてもらったよめぐみん」
「ふっ、ご期待に添えられたようで何よりなのです」
アインズは大の字になってうつ伏せに倒れためぐみんに労いの言葉をかけ、起き上がらせようと手を差し伸べる。しかし、その手にめぐみんの手が重なることはなかった。
「この魔法は強大な力であるが故に消費魔力も膨大。それは限界を超えた魔力を使ってしまった反動によるもので、この魔法を放つと動けなくなってしまうのですよ」
「なるほど。だがこのレベルでこの魔法を放てる対価として考えるならば妥当なデメリットだな。爆裂魔法はどの程度の頻度で放てるのかな?」
「魔力が満タンになるくらいなのでざっくり一日くらいですかね。もちろんマナタイトで魔力が回復できればすぐさま打てますが」
アインズの切り札の一つに“超位魔法”というものがある。これはアインズの習得している、初級魔法に位置する第一位階から最上位の第十位階をも超える魔法であり、絶大な力を持つ魔法である。また、この魔法の特徴の一つに魔力を消費しないというものがあるが、その代わりに長時間のクールタイムがあり、同じチームに所属している者にもそのデメリットが付与されてしまう。めぐみんの魔法に超位魔法と関係性があるのかとアインズは考えたが、魔力を消費して放ったということから、その線はないという結論に至った。
(しかし、初心者冒険者であるのにも関わらずここまで強力な魔法を放てられる理由は不明だ。これはもっとよく聞き出す必要がありそうだな)
「・・・すいません、うつ伏せはちょっと苦しいのでそろそろ起こしてください」
「ああ、すまない」
アインズまるで荷物を脇に抱えるようにしてめぐみんを持ち上げる。
「これほど強大な魔法を扱えるとなると、他の魔法もさぞすごいものなんだろうな。他にはどんな魔法が使えるんだ?」
「・・・ないです」
「・・・え?」
アインズの質問に対しめぐみんは小さく、蚊の鳴くような声で答える。
「この魔法以外に使えるものはないのか?その・・・下級魔法とか」
「ないです。スキルポイントは全部爆裂魔法の強化に回したので」
「ええ・・・」
持てる全ての技量を爆裂魔法に費やしたというのであれば、あの魔法の威力も理解できる。むしろ初心者で出せる火力なのかと疑うほどの威力だ。
ユグドラシルの魔法やスキルのシステムは、まず基礎となるものを習得し、レベルを上げて基礎の上位互換となるものを習得していくというものになっている。だがこの世界の魔法や職業は経験値や必要な能力があれば一気に上位のものを習得できる、良くも悪くも才能がものを言わせるシステムとなっているようだ。
「そしてこれからも他の魔法を習得するつもりもありません」
「・・・なるほどな」
めぐみんはふんすと鼻を鳴らして自身ありげにいう様から、意思の固さが伺える。
「・・・・・・パーティーに加入したことを後悔しましたか?」
めぐみんは小さく呟く。
彼女はゲームでいえば一撃高火力を叩き出せるいわゆるロマン枠だ。通常の戦闘では活躍できる場面は少ないだろう。ただこれは“モモンガ”にも同じことが言えた。
モモンガは即死魔法を主軸としたビルドとなっているため、即死魔法が最も得意である。しかし即死魔法といえども使い勝手は悪く、ボスなど格上相手にはレジストされ効果が発動しない場合が多い。つまりめぐみんと同じくロマン枠だ。とはいえめぐみんのように即死魔法一筋ではなく、その他何百もの魔法を習得しているが、一般的な職業ビルドの者からしたら劣る。めぐみんの反応からして、それを理解できていることが伺える。
この世界はゲームのシステムと似通った部分が多いが、ゲームではなく現実世界である。それにも関わらず、この魔法一筋で生きていこうと考えるのは相当な覚悟が必要なはずだ。
「そんなことはない。その爆裂魔法を極めるというのもまた一つの道だ。私はそれを否定するつもりはない。それに私も圧倒的な力を持つ魔法を極める良さが分かるからな」
「アインズ・・・やはり私の目に狂いはなかったようですね!この爆裂魔法の素晴らしさがわかるとは!」
めぐみんからアインズへキラキラとした目を向けていた一方、アクアの叫び声があたりに響き渡った。
「なんでよ!なんで私が毎回パクッといかれるのー!!もう嫌だー!早く帰ってお風呂入るー!おぶってー!」
「嫌に決まってんだろ!今日はいつもより一段と粘液に塗れてるじゃねえか!おい、触るんじゃねえ!今日こそはぬめぬめにならずクエストを終わらせるって心に決めてんだ!」
「じゃあ黒い人!私のおかげでジャイアントトード倒せたじゃない!めぐみんと一緒におぶってよ!」
「おいおい、流石に図々しすぎるぞアクア」
「いや、布生地の多いカズマより、私の鎧の方がダメージは少ないだろうし、一人から二人に変わっただけだ。引き受けよう」
「本当にいいのかアインズ。今回の1番の功労者に頼むのは気が引けるんだが」
「なんですって!私が1番の功労者よ!」
「お前はもう黙っとけこの駄女神!」
アインズはアクアをめぐみんの反対側に、荷物のように抱える。
鎧により直接の感触がアインズに伝わることはないが、滑りやすさ掴みにくい不安定さから不快感が押し寄せてくる。
「ねえ、この持ち方お荷物みたいで嫌なんですけど」
「そうでしょうか?安定感があって快適だと思うのですが」
クエスト完了を報告するためにギルド向かう4人。
街の人々からは二人の女を運ぶ黒い鎧を纏った人物に視線を集めていた。
「やっぱり変だわ。あなた、まさかアンデッドじゃないでしょうね」
突如アクアは顔を上げ、アインズに向かって言った。その目は先ほどから街の人々がアインズにむけている訝しげな視線と同じものであった。
「えいっ」
「痛った〜い!ぶった!カズマさんがぶった!」
「当たり前だろ。突然人をアンデッド呼ばわりして、失礼じゃないか」
「だってだって、アンデッドみたいないやーな感じがするのよ?疑わずにはいられないじゃない!」
「いやーな感じってなんだよ、いやーな感じって。特に変な感じしないと思うがな」
「へへん。いやねぇカズマ。私を誰だか忘れた?」
「ジャイアントトードに喰われて粘液まみれのアクアさん?」
「あってるけどちがーう!女神よ女神!本当にあなたたちわからないの?このなんというか、闇の力みたいな・・・」
「や、闇の力ですか!?アクア、もっと詳しく教えていただけないでしょうか!?」
カズマはアクアの発言に対して気に留めてないようだ。しかし、対照的にアインズの心の中は穏やかではなかった。
アインズの指に嵌めている無数の指輪のうちの一つに、探知魔法などの魔法を遮断するものがある。これはアインズと同等の力を持つ者であっても
ただしこれは魔法やスキルの無効化をするだけのもの。この異世界という現実世界においてリアリティが増したことによって、感覚的なものを防ぐことができないと考えればアクアの発言にも納得ができる。
「なるほど・・・そういうことですか。呪い・・・なのではないですか?アインズ」
「・・・ん?」
そんな中めぐみんは目に緋色の光を纏い、不敵な笑みを浮かべて呟く。
「何かわかったのかめぐみん」
「ええ、思い出してくださいカズマ。彼の職業を」
「カースドナイトか?」
「そう、カースドナイト。呪われた騎士です。であればアークプリーストであるアクアが感じている闇の力というのは恐らく呪いのことではないでしょうか」
「おお、なるほど」
「そういえばそうだったわね!どうかしら黒い人。今だけシュワシュワ一杯で解呪してあげるわ!」
アクアがそう言った瞬間、濡れた雑巾が叩きつけられたような音がする。
「いったーい!またカズマがぶった、またぶった!」
「お前なあ、呪われてない
「なんでよ!呪いよ呪い!悪きものを浄化して何がいけないのよ!めぐみんだって呪いのことをかっこいいって言って、ファッションだとでも思ってるんじゃないの?」
「かっこいいと思っていることに関しては間違いではないですが、解呪に反対するのには歴とした理由があります。ギルドで話を聞いたところ、珍しい職業で詳細が不明なのですが、カズマの言った通り呪われてない人が
「おい、とんでもないことをやらかそうとしたな」
「だ、だって呪いは悪しきものだし・・・。それにどこかアンデッドの気配みたいなのがあるのよ!?よくないものかもしれないじゃない!そうだわ、その呪いアンデッドのものよ!呪いだなんて陰湿なことをするのアンデッドくらいですもの」
「如何でしょうかアインズ」
「そ、そういうことだ!」
(どういうことだよ!)
ここまでアインズが呪われているという前提で話されているが、そもそもアインズが呪われているという事実はない。ユグドラシルの職業や魔法を習得するためのイベントで行った、怪しげな儀式などで設定上呪われているかもしれないが、そんな細かいところまで覚えている訳はない。
「とりあえず俺はギルドにクエスト完遂の報告に行ってくる。その間にアインズ、すまないがこいつを大衆浴場連れてってくれ」
「了解した」
「ねえねえカズマ、今日はご褒美に牛乳頼んでもいいかしら」
「ああいいぞ、酒場の10万のツケですっからかんな財布で払えたらな!」
その後、アクアとめぐみんの案内の下、大衆大浴場に着く。
アクアはウナギのようにぬるりとアインズの腕から抜け出し、意気揚々と大衆大浴場に入り、アインズはめぐみんの付き添いとして入り口前の噴水で座っていた。
「そういえばアインズの顔を見せてもらってないですね。差し支えなければ見せていただいてもよろしいでしょうか」
「ん?ああそうだな」
アインズはあらかじめ用意した魔法による幻術の顔を見せるために、ヘルムを外そうとするがその手が止まる。先程理由は不明であるが、アンデッドであることがバレかけた。上位魔法の幻術であるとはいえ、めぐみんの魔眼と思わしき紅く光る目の前で顔を見せるのはできるだけ避けたい。
「だがそれはできない」
「ほう、もしや呪いのせいですか?」
「そ、その通りだ!この鎧と共に呪われてしまってな、外すことができないのだよ」
「なんと、そうなのですか」
意図せずして冒険者アインズの設定が増えてしまった。しかし、素顔を見せない理由ができたのは僥倖だ。
「ではどのようにして食事をとっているのでしょうか」
「そ、それはアレだ。・・・闇の力だ」
「や、闇の力ですか!?」
めぐみんの瞳の段々と赤みを帯びていき、興奮したのか声が上ずる。
「具体的にはどんな方法なのでしょうか!?まさかレイスのように相手の命を刈り取り、魂を吸収するとかだったり・・・!?
「ん!?あー・・・流石だめぐみん!爆裂魔法を操れる頭脳を持つだけのことはある!その通り、だが惜しいな。正確には倒した相手の生命力を奪っているのだ。これのおかげともいうべきか、食事や睡眠なども不要なのだよ」
(即興でできた嘘にしては上出来ではないだろうか。またまた設定は増えてしまったけど、おかげで食事ができないという理由がこじつけられた!)
「あの・・・であればアインズ。先ほど私は呪いを解くなどとんでもない、と言ってしまいましたが、呪いを解きたいと思っていたりするのでしょうか」
「ん?なぜだ?」
先ほどとは打って変わって大人しく、暗い表情でめぐみんは言った。
「食事も睡眠も不要。メリットではありますが、食べるという行為ができないのはなかなか辛いのではないでしょうか。生物の生物たりえる行為ができないだなんて・・・例えるなら生きるアンデッドではないですか」
(なるほど、実は呪いを解きたかったけど、言い出せなかったんじゃないかと思っているんだな?・・・なんか重く受け止めすぎてないか?別にそこまで困ったことはないんだが・・・。でももし、この
「一つ勘違いしていることがある。私はこの
「そうなのですか、それならば良かったのです」
その後、雲一つない青い空に赤みがかかってきた頃。
大浴場から上がってさっぱりした様子のアクアと、反対に項垂れた様子のカズマが二人の座る噴水の前に集合した。
「すまん二人とも、ギルドで報告しに行ったんだが、二人の冒険者カードにある討伐履歴を見せなきゃダメなの忘れてた。一緒に来てくれないか?」
「本当ですね、私もすっかり忘れていました」
「どうだめぐみん、そろそろ動けそうか?」
「はい、もう歩けるまでは魔力が回復しました」
「じゃあ暗くならないうちに早く行こうぜ」
「ええー!せっかくお風呂入った後なのに歩いて汗かきたくないんですけどー!まあギルドでシュワシュワ奢ってくれるなら行ってあげてもいいんだけどね?」
「別にお前は来なくていいんだぞ?1匹も倒せてない役立たずだったじゃないか」
「わあーん!役立たずって言った!」
「こんなやつ放っておいて早く行こうぜ。パーティー加入祝いでアインズに飯奢ってやるよ」
「そういえばカズマ、アインズは呪いのせいで食べ物が食べられないそうです」
「え!まじか」
早速即興で作られた設定が役に立ったようだ。
アインズは心の中でめぐみんに感謝する。
「じゃあじゃあ、呪いを解いてあげるからシュワシュワ奢ってちょうだいよ!」
「ダメですよアクア、アインズは今の呪われた状態のままを望んでいるそうなので。それにいつか自分の力で呪いを解くと言っていました」
「そういうことだ。カズマ、私の今回の報酬の一部でアクアに飯を奢ってあげてくれないか?」
「ええ!いいのかアインズ」
カズマが驚きの目を向ける。
「流石ね黒い人!早く行くわよカズマ!席が埋まっちゃうわ!」
「・・・いいかアインズ今回はパーティー加入の祝いだからまだいいが。あいつすぐに調子乗るからな。甘やかすなよ」
「う、うむ了解した」
(パーティー加入、仲間か・・・)
アインズはかつての仲間たちに思いを馳せる。
この仲間と言える人達と騒々しくするというのに懐かしさを感じたからだ。
「どうしたアインズ、早く行かないとアクアに遠慮なしに注文されるぞ」
「ああ、そうだな」
ギルドへと向かっている3人の後ろで、地平線へと落ちていく赤い太陽を背後に、めぐみんは紅魔族特有の赤い瞳を輝かせながらつぶやいた。
「ん?呪いを自分で解く・・・?なるほど、そういうことですか」
このすばってモンスターにもレベルアップの概念とかあるんですかね?