書いている最中にミスを見つけました。アインズの口調に関して7話をほんの少しだけ修正します。
アインズの朝は早い。
アンデッドの特性上寝ることができず、一夜を読書に費やし、外が明るくなった頃に起き上がるからだ。
時刻にして5時頃、年季を感じる木造建築の一室で窓から漏れ出る朝日の光に気づいたアインズは、手に持った本『ネロイドでもわかる!チェスの遊び方〜番外戦術、喧嘩の作法編〜』を乱暴にアイテムボックスに仕舞い込む。
そしてくつろぐには少し窮屈だと思い脱いだ黒色のフルアーマーを魔法で生み出し、一対のグレートソードと共に装着して部屋を出て、ギシギシと木の階段の沈み込む音を立てながら一階へと降りる。
一階の無数のテーブルと椅子の置かれた食堂にあるカウンターからは、薪の弾ける音とともに何かの焼ける音や白い湯気が出ていて、宿主の夫妻が食事の準備をしているのがわかる。
「おはようアインズさん!冒険者とは思えないほど早起きだねえ」
「そちらこそ。それと申し訳ありません私の分の食事はなしでお願いします」
「ああ、旦那から聞いたわよ、呪いで食べられないんだってね。そうだ、お外でローブを着たお嬢さんが待ってるよ」
「・・・ローブを着たお嬢さん?めぐみんか?」
今日は特に約束もしておらず、アインズはこれから朝早くから開店する店を見に行く予定であった。ちなみにこの世界の人々は太陽が登れば仕事を始め、沈めばやめるので、年中あまり時刻という概念に縛られた生活をしていない。また、冒険者は週に3、4回クエストを受けるだけでも生活は安定するので、仕事のない日は昼に起き上がる人も多い。
「待ち合いじゃないのかい?まあいいわ、せっかくだからこれ持ってってあげなさい」
アインズは大きな葉っぱに包まれた何かを渡される。
「これは?」
「見ての通りお嬢ちゃんの朝ごはんよ。お仕事かわかんないけど行ってらっしゃい」
「これはありがとうございます」
そう言ってアインズは作ってもらった朝食を受け取り外に出る。日光が澄んだ空気を通り抜け、アインズの漆黒の鎧を照らす。相変わらずアインズのいた元の世界とは比べ物にならないほどの綺麗な世界だ。
入り口の横には宿の壁に寄りかかりながら、通りを忙しなく荷物を運ぶ商人を目で追いかけている、めぐみんの姿があった。
ドアの開く音を聞くと、めぐみんの緋色の目がアインズに向く。
「おはようございます、アインズ。ん、いい匂いがしますね」
「おはよう、めぐみん。宿の女将さんからだ。今日は休みではなかったのか?」
「ありがとうございます!ええ、冒険者は今日からこの前のキャベツ捕獲の報酬が配られるので、報酬をもらいに行くつもりだったのですよ。このくらいの時間帯であれば、ほとんどの冒険者が寝ている時間なので、報酬を受け取ろうとする人達で混むことはないはずです。ついでにこの時間にアインズが起きそうだなと思いここにきたのですよ」
「なるほど。時間なら空いている。そういえばカズマとアクアも参加したんだろう?あの二人はいないのか?」
昨日の歓迎会で聞いたキャベツ収穫の話を聞いたアインズはあたりを見渡すが、あの二人の影は見当たらない。そこにいるのはローブととんがり帽子を身につけた、ちんまりとした少女だけだ。
「アインズはあの二人が朝早く起きて、早朝に張り出されるクエストを見に行く勤勉な冒険者に見えるのですか?」
アインズはギルドで早朝に爽やかな顔をしてこちらに挨拶するアクアを想像する。
まだ出会って1日。まだ互いの名前を知ったばかりの関係であるが、何故かその光景に違和感があると確信できる。
「カズマはともかく・・・アクアは見えんな。カズマなら早朝にでも報酬を受け取りに来そうだが」
「そうでしょうか?カズマも大概な気がします。・・・はむはむ。・・・んん!とうもろこしとキャベツの甘味とジャイアントトードの肉の塩加減が絶妙ですね!また明日もここで待つとします」
「卑しいと思われるからやめてくれ・・・。それはそうと少し早すぎないか?アクアのように飲み屋のツケで首が回らない訳でもないし、そんなに急いで報酬金をもらう必要もないだろう」
「はい、むしろ逆です。まとまったお金が手に入ったので杖を新調しようと思いまして。もうこの杖ともお別れだと思うと眠れなくって・・・」
めぐみんは右手に持つ杖をさすりながら言った。長い間共にした相棒なのだからなのか、別れを惜しんでよく眠りにつけなかったようだ。アインズ自身は大抵苦労して新しい装備を手に入れて新調するため、新調できる喜びが大きいことから古い装備を手放すことに特に思うことはない。とはいえ未だ昔使っていた装備を持っていたり、譲っていたりする場合があるので、愛着がないというわけではない。
「それで朝早くからここにいるのか」
「そういうことなのです。はあ、この杖ともおさらばですか。ぐふふふ・・・新しい杖で放つ爆裂魔法・・・楽しみですねえ」
めぐみんはどこか遠くを見つめるように、惚けた顔をしてよだれを垂らしながら言った。
どうやらアインズの同族らしい。もっともアインズはこんな公衆の面前で見せられないような顔をすることはないが・・・。
「今日ギルド周辺の路地は、キャベツの報酬金を持ってる冒険者を狙った露天で賑わっているはずです。きっとその中には珍しい武器などもあるはずです。例えば、呪われて扱えきれずに所持者を転々として売りに出されている強力な杖が眠っていたり・・・!ああ!杖が新たなる主を求める声が聞こえます!行きましょうアインズ!」
「お、おい待てめぐみん!」
呼び止めるアインズの声に脇目も振らず、新しい杖欲しさに居ても立っても居られないめぐみんは路地の細道へと走り出す。
「・・・まあいいか。それにしても露店か。本の買取もあったりするのだろうか?」
アインズは昨晩読んだ本を思い出しながら、めぐみんが向かった先の細道の行き止まりで引き返してくるのを待ったのであった。
◇ ◇ ◇
「おや、意外ですね。この時間であれば一人もいないと踏んでいたのですが」
めぐみんは冒険者ギルドの中に入り、受付の前にできた長蛇の列をみながらそう言った。
そして、アインズはその列の中に見知った顔の人物がいるのを見つける。
「あれはカズマとアクアじゃないか?」
「そんなわけないじゃないですか。アクアはこの時間にくるはずなどありません。きっとそっくりさんでしょう」
「そ、そうか?いや、確かにそうだな」
「そうに決まってます。では私は並びに行くとしましょう。少々時間がかかりそうなので、アインズは席に座って待っててください」
アインズは列の前にいるカズマと、目をしょぼつかせながら時折カズマに寄りかかるアクアのらしき姿を確認するが、めぐみんの言う通りそっくりさんだと考えることにした。
めぐみんと別れ、一人席に座る。
アインズはここに来てまだ一日しかたっていない。それ故か初めてギルドに入った時と同じ、珍しいものを見るような視線が漆黒の鎧に集まる。
(やっぱり目立つなー。魔法で生み出した鎧だから大したものじゃないと思ってたけど、初心者冒険者から見れば全身の装備を纏うことは珍しいのかもしれない。・・・それにしてもなんなんだあの人?)
アインズは一つ隣の席に座る、凛々しい風格をした金髪の女を、被っている黒色のヘルムの中からこっそりと伺う。その人物はアインズの漆黒の鎧と対になるような、磨かれた鏡のように煌めく純白と金色の鎧を装備し、腰に剣を携えている。
彼女の視線は席に着く前から向けられており、興味深げに見る他の者とは違い真剣な顔つきだ。アインズも頭に被るヘルムの隙間からをこっそりと観察する。
(アクアの時のように怪しまれているのか?とは言ってもめぐみんのように膨大な魔力と魔眼らしきものはないし、アクアみたいに神気を感じることもない。相手の正体を看破するスキルを持ってそうには見えないけど――・・・あれ?こっちにきたぞ?)
アインズに視線を向けていた金髪で鎧を纏った女が、対面に座り込むように目の前に移動し、話しかける。
「間違えであれば申し訳ない。貴殿がアインズか?」
それに対し、アインズは話しかけられてようやく気づいたように装い、声をかけた女に顔を向ける。
「そうですが?」
「なら良かった。私はダクネス。カズマ達と同じパーティに所属している者だ。丁度さっきカズマから、新しくパーティーに加入した人がいると聞いたんだが?」
カズマのパーティーの残り一人のクルセイダー、ダクネスだ。
アインズは、カズマから一級品の防御や耐性を兼ね備え、味方の危険に果敢に立ち向かう精神を持つ女だということを聞いたが、その雰囲気からその証言を裏付けるような気品を感じる。
「なるほど、同じく話には聞いています。クルセイダーのダクネスさんですね。改めて自己紹介を。私はアインズ、アインズ・ウール・ゴウン。職業はカースドナイトです」
「アインズ、ウール・・・?」
ダクネスはそう呟くと少し考え込むような仕草を見せる。この自己紹介をすると、大抵は職業のカースドナイトの部分の触れられることが多いが、今回は名前に対し踏み込まれる。
その反応をアインズは見逃すことはなかった
「私の名前に聞き覚えでも?」
アインズ・ウール・ゴウンの名に心当たりがあるとすれば、ユグドラシルプレイヤーの関係者であることは確実だ。ユグドラシルプレイヤーなどの情報を欲しているアインズとしては聞かない手はない。
「いいや、覚えがないか考えただけだ。逆に私の名前に覚えは?それか一度でもあったことでも・・・」
ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの情報を手にできるかと思い質問したが否定され、今度は逆にアインズに質問が投げかけられる。
それに対してアインズは考える間もなく返答する。
「ないでしょう。何せ昨日この街に来たばかりでして」
「そうか・・・。すまない、どうでもいいことを聞いてしまったな。それはそれとして、敬語はやめてもらえないだろうか。同じパーティーに入ったよしみというのもあるが、私なぞ小娘に敬語を使う必要もない」
この街、この世界の人々は皆フレンドリーだ。昨日の歓迎会で他の冒険者と話したときでも言われたが、ギルドの同じ冒険者という枠組みであれば、敬語は不要という考えらしい。アインズとしては仕事の同僚だからこそ敬語で話すものだと思っていたが、ダクネスの言い方からして年上の同僚から敬語で話しかけられることを変に感じているようだ。
「昨日似たようなことをカズマも言っていたな・・・。わかった、よろしく頼む」
「こちらこそよろしく。そ、それはそれとして。カズマから聞いたんだが、闇の魔法が使えるんだろう?どんなのが使えるんだ!?」
ダクネスは息を荒くして言うが、そんなことに気が付かずアインズはパーティー内での情報共有をする意識の高さに感心をしていた。
「弱体化魔法、拘束魔法だ。まだスキルの解放ができていないからまだこれが全てというわけではないが」
「じゃくたいか!?こ、こうしょくまほー!?一体どんな感じなんだ?是非一度手合わせを――・・・」
「なんですってー!!なんでレタスが混じってるのよ!」
ギルドに甲高い声がダクネスの声をかき消す。
ギルドのいる人々の視線が声のする方向へと集まる。その視線の先にはアクアのそっくりさんがいた。声もそっくりだが、顔が似れば骨格や声帯なども似て、声も似るという話をアインズは聞いた覚えがある。
「レタス・・・?」
「ああ、たまにキャベツの群れに間違えて入るレタスがいるらしい。レタスは年中捕まえられるから、買取価格は一玉一万エリスのキャベツより格段に安いと聞いた」
色々ツッコミどころはあるが、とりあえず先程の声は期待していた金額より安かった絶望の声だったのだろう。
それにしても一玉一万エリスとはなかなかに高額だ。これは特定の季節にしか手に入らないレアな食べ物という、希少性による価格設定があるかもしれないが、入手の危険性も考えられる。飛んでくるキャベツを捕まえるだけという、字面ではなんてことないクエストに見えるが、そもそも1キログラムもある球体が高速で飛来するのだ。当たりどころが悪ければ致命傷にもなるクエストに一般人が参加できないのも頷ける。
「私は参加しなかったが、ダクネスはキャベツの収穫クエストはどうだったんだ?」
「ああ、あれは凄まじかった・・・。あの皆に迫り来るキャベツたちをこの身で一心に受け止めた時の迫力といえばもう・・・!」
ダクネスは体を抱きしめながら体をくねらせる。
その行動はアインズの目には、仲間を守るためにその一身にキャベツからの猛攻を受けた痛みを思い出して悶えているように見えた。だが正確には痛みという名の快楽に身を捩らせているだけである。
アインズは聞いた通り彼女はパーティーにおけるタンクに位置しているのだろうと認識する。キャベツがぶつかってくる感覚はあまり想像できないが彼女のいう通り凄まじい攻撃だったのだろう。敵の攻撃を受けに行くというのは実質的に味方の被弾を減らしていることになる。タンク職ではないが前衛のアインズとしては見習うべき姿である。
「なるほど、流石はクルセイダーだ」
微妙に考えがすれ違っていることに気づかず、アインズはめぐみんが報酬を受け取るのを待っていると、めぐみんと、カズマ、アクアのそっくりさんだと認識していた人物がやってくる。どこからどう見てもカズマとアクアだ。
「アインズ・・・どうやら本物だったようです」
「二人は勤勉な冒険者だったわけだ。それにしても意外だな、こんなに朝早く来るとは」
「俺も昨日まで来る予定はなかったんだけどな・・・。このアホのせいで朝早く起きてくる羽目になったんだよ!おい、重いから寄りかかんな!」
「キャベツだと思ったのにぃ・・・レタスだった・・・」
肩に寄りかかるアクアを小突きながらカズマは言う。
「昨日の夜ここで歓迎会やったろ?そん時にまたこいつがツケを増やしやがったんだよ」
「何?私の報酬分渡したはずだったが?」
飲食のできないアインズは昨日の歓迎会では報酬金をアクアに奢りとして渡し、雑談に徹していた。とはいえただただ喋っていただけではなく、アインズと同じユグドラシルプレイヤーの情報を集めるべく話を聞いたのだ。だが聞こえてくるのは“ニホンジン”と呼ばれる強力な武器を持った、転生者らしき人物の話しか聞くことはできなかった。
「・・・調子に乗って報酬分の額以上に酒を頼んだんだよ。それでまだ払い終えてないのにツケを増やしたんだが、その時のツケの条件が次の日の朝まで、ってことになって今までの分の金を支払わないとここで飯が食えなくなるって言われたんだ」
「もう払わないでおくことがアクアのためになると思うんだが・・・」
「そうしたいところなんだが、何度か俺名義でのこいつのツケがあって俺も使えなくなりそうなんだよ」
その言葉を聞いたアインズは呆れたように目元を手で覆う。
「昨日、アクアを甘やかすなと言ってたな・・・こういうことか」
「べつに責めるつもりはないんだが、次からは気をつけてくれると嬉しい。・・・んで、せっかく全員が集まれたんだが今日はどうする?」
カズマはメンバーの全員をぐるりと見渡す。
「今日は屋台で買い物をしようと思ってます。依頼を受けるのはまた今度でいいでしょう」
「私も新しい鎧を注文しようとしたところだったんだが・・・ど、どうだろうかアインズ、手合わせでもしていただけないだろうか。特に拘束魔法というのが気になるんだが!」
「あー!あー、俺も装備を見に行く予定があったんだ!一緒に行こうかダクネス!アクアもまたあっちのコロッケ屋のアルバイト頼みに行くぞ!」
「あそこのアルバイトは嫌ー!コロッケ残ったまま閉店時間が近づいてくるとだんだん店長の圧が強くなってくるのよ!」
騒ぎ立てるアクアを引きずりながら、オロオロとするダクネスを引き連れて、カズマはそそくさとギルドから退散する。こんな光景は慣れっこなのか、ギルドにいる人々はアクア達を一瞥することなく受付に列をなしていた。
「カズマは大変だな」
「もう手遅れだと思うのですが必死ですね・・・」
「手遅れ?なんのことだ?」
ダクネスは攻撃が当てられないクルセイダーなのです、とアインズに言ってカズマの努力を無下にするほどめぐみんは薄情ではなかった。めぐみんはさもどうでもいいことを言ったようにアインズの言葉に応える。
「いずれわかると思います。では私たちも行きましょう。古代の魔術師の手によって作られた原初の魔法の秘められし杖が待っています!」
「・・・呪われた杖じゃなかったのか?」
◇ ◇ ◇
カズマが外に出ると、日も上り、露店とそれを見にくる街の人々でカズマたちの行く先は賑わっていた。あたりから客を引くための呼び声や、キャベツ料理の美味しそうな匂いが漂い、その光景にカズマは飽きることはなかった。
そんな中、半ば強引に装備屋に連れられたダクネスは、道中アインズの名を何度も反復する。
「アインズ・ウール・ゴウン・・・?」
「さっきからどうしたんだ、アインズの名前を呟いて。一目惚れでもしたか?」
「私はそんなに軽い女ではないっ!ただ、ウールの貴族称号に心当たりがないか考えていただけだ」
その言葉を聞いたカズマは顔を少ししかめ、少し考え込んだ後、冷や汗を垂らしながら言う。
「・・・念のため聞くが、貴族称号ってなんだ?」
「簡単にいえば王から与えられた貴族の身分を示す名前だ。この貴族称号は家によって違うがどれも、誰々家の“家”を表している」
「つ、つまりアインズが貴族だってことか?」
「いや、絶対そうだとは言い切れない。大昔に生まれたての赤子に親の信仰する神の名前を入れる洗礼名という伝統もあったらしい」
「そうなのか、じゃあ違うな。・・・いや待て大昔だと?」
「・・・小さな街が大きな国に統合される動きが活発化して、貴族という存在ができた時代。つまり貴族称号ができた時代に、貴族との区別をつけるために廃止されたそうだ」
「やっぱ貴族じゃねぇかよ!」
「わ、わからないぞ?昔の伝統が残っている国や村はあるからな。だが、あの芸術的なまでの装飾が施された鎧に、初対面の丁寧な話し方・・・」
ダクネスが再び思考の渦にのまれようとしたその瞬間、カズマは大きな声を出す。
「よし!もうこれ以上考えるのはやめておこう!そもそも貴族みたいな、お偉いさんが冒険者なるってこと自体ありえないだろ!なあ、ダクネス!?」
その言葉を聞いたダクネスは少し挙動不審になりながら、カズマの疑問を否定する。
「そ、そんな話は聞いたことがないなあ!ははっ、ははは・・・」
「だ、だよなぁ!はははっ、ははは!」
「あは、あはは・・・」
「どうしたの二人とも、何か面白い屋台でもあったのかしら!」
「あはは、ははは・・・」
「ねーぇ、笑ってないで私にも教えてよー!」
いつも以上に賑わう商店街に行き交う人々の声に感情のない平坦な笑い声が加わる。
アクアは口に屋台で買った串肉をくわえながら、カズマとダクネスの肩を揺さぶるが、返事がくることはなかった。