歪んだ愛と歪んだ好奇心
黒服「それでは訓練を始めてください」
ホシノ「はーい」
黒服「………」
彼はホシノの動向を探り訓練に集中している事を確認すると全速力で走り出し距離を取ろうとした。校門を通り500M程離れた事を確認して一息ついた。
黒服「これでしばらくは安心でしょう……!?」
ホシノ「どうして逃げるの?」
まるで初めからそこに居たかのようにホシノは目の前に存在している。そのままゆっくりと近づいて来て胸ぐらを掴み
「私の事嫌いになっちゃったの?ねえ答えてよ」と問いかけてくる。
その眼からはハイライトが消えており命の危険を感じた。
黒服「いえ、訓練後のご褒美を買い忘れてしまったので急いで買いに行こうと……」
ホシノ「なーんだ。それなら良いんだ。それじゃあ、『一緒』に行こうね♡」
黒服「え、ええ……」
ホシノ「2人のデート、久しぶりだね♡」
光のない眼でこちらを見て笑いながらホシノはそう語りかけている。
彼女に注入した恐怖がこんなにも悪さをするとは。
こういう時シャーレの先生ならどう対応するのだろう?
だがいくら生徒と親しく交流している彼でも流石に殺意を向けている子に好かれる事はないのかもしれない。
一先ずは諦めてホシノと手を繋いで近くのお菓子屋に向かう事にした。
黒服「……?」
たまたま視界に入ったホシノのヘイローの1部が黒く染まっている事に気づいた。まるでそこの部位だけ初めから黒かったかのように存在していたので意識していなかったが……
いつからこうなっていたのだろうか?少なくとも淑女と戦う前はピンク色だった記憶はある。そこから導き出された答えは1つ。
恐怖化により精神に異常が発生しているのだろう。
そうなるとこんな疑問が頭を過ぎる。全て黒く染まったらホシノはどうなるのだろうか?死ぬ?それとも別の神として生まれ変わる?
憶測が止まらなくなってしまうが確実な事は黒く染まる様を見てみたいという科学者としての衝動に頭を支配されてしまいそうになっている事だ。
黒服「(しかしマダムが言っていた『ヒナが私の神になりました』というのも引っかかりますね。まああの変態の事ですしコスプレさせた姿が神、というくだらない展開かもしれませんがね)」
ホシノ「先生?今他の子の事考えてるでしょ?駄目だよ?私と居る時は私の事以外考えちゃ駄目だって言ったじゃん。聞いてる?先生?ねえ?どうして眼を合わせてくれないの?私の事嫌いになったの?」
黒服「……いえ、こんなにも慕ってくれる生徒が居てくれて幸せだなと考えていました」
ホシノ「うへへ〜///照れるなぁ///」
目の前にいる生徒は何なのだろうか?殺意を感じつつも少し優しい言葉をかけただけでこんなにもデレデレするのだろうか。
アホ毛でハートマークを生成してアピールしたりと側から見たら可愛い生徒に見えるのだろうが……
そういえば昔からホシノから『好き』と言われていたような気がする。恋愛感情を向けられていたのは認知していたがその理由については考えていなかった。
ホシノ「また考え事してる……妬いちゃうよ?」
黒服「ああ、ホシノの事を考えていました。ずっと疑問だったのですが貴女は何故私の事を好きと言うのかと」
ホシノ「ふぇ」
黒服「いい機会ですし教えて頂けませんか?」
ハルナ「一目惚れですわ」
黒服「そうですか」
……不意に気づいてしまった。右腕に抱きついてきたゲヘナからの刺客が死神を呼んできていると。そしてその死神は左側に存在していると。
ホシノ『おい……私の先生に触るな』
ハルナ「違いますわ。私の先生です」
ホシノ『2度とそんな事を言えないようにしてやる』
大地が揺れて天が裂ける。このハルナという生徒は何故こんなにもタイミングが悪く、ホシノの逆鱗に触れられるのだろうか?
その後命知らずのハルナとホシノによる大激戦が始まり黒服争奪戦争は激しくなっていった。
そして黒服は愛は恐ろしいと認識したそう。