例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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対の存在

逢魔ヶ時に彼女はとある研究施設に侵入した。

1人の協力者を連れて目的の装置が保管してある場所へ一目散に。幸いにも警備は薄く楽々と突破し数分も経たない間に到着した。目の前にある機械はかつて他の世界に飛ばされた際、教師達が開発したという時空転移装置。彼女はどうしても確かめたいものがある。

 

「……本当にこのような事をやっていいのでしょうか……いえ、貴女がそれを望むのであれば私は従います」

 

機械仕掛けの姉、ケイは躊躇いつつも私の為にと協力してくれる。

ありがとうと言い頭を撫でると彼女は照れたように顔を背けてしまった。装置を稼働させ数分が経過した頃、1つの世界と繋がったようで時空の穴が生成された。

 

「ありがとう。用を終わらせたらすぐに戻ってくるからね」

 

小鳥遊ホシノは意を決してその穴に飛び込んで行く。転移した先では砂一面の景色が広がり、他は何もない。そんな状況に困惑しつつも歩み始めた。

 

何故このような世界に来たのだろう。生命の存在を否定されただ砂しかないこの場所に。何を求めてここに……

 

「……何か落ちてる。手紙……?」

 

質素な手紙が砂の上に被さるように置いてあった。その手紙に触れた時、頭が割れるように痛くなる。そのまま気を失いまどろみの中に懐かしい人影が見えた。

見慣れた部屋で仮眠から目を覚ました後、机に置かれた手紙に気づいた。それを読んだと同時に尋常じゃない速度で砂漠に駆け出していくという内容だ。そのままフェードアウトしていき、

気がつけば手紙を拾った場所で寝転んでいる状態だった。

意識が朦朧としている中、奥に人影が見えたような気がして気力を振り絞るように歩き始める。

それに近づくにつれて鼓動が早くなり呼吸も荒くなっていく。欲してはいけなかった。欲に負けてはいけなかった。それに近づく事も許されない筈だった。それでも、だとしても彼女は求めてしまった。かつて彼女に与えられていた安らぎを。残り数メートルという距離まで近づいた際にその人影はこちらへ振り返った。

 

「あっ……」

 

その姿を、顔を見て、まるで時が止まったように動けなくなってしまう。目の前にいる彼女は『先輩』そのものなのだから。

陰と陽。光と影。二度と出会う事のない二人は邂逅してしまった。彼女はゆっくりと近づいてきて数年前と変わらず優しく頭を撫でてくれた。

 

「せんぱ……」

 

顔を上げて先輩の顔を見ようとしたがそこに居たのは先輩ではなかった。名状し難い何かがこちらを見つめているだけ。

本能的にヤバいと悟り元来た道を逃げるように駆け出した。追いつかれる事はなく待機していたケイに裂け目を閉じるように頼み閉じた事を確認すると安堵のため息を吐いた。

 

「何が起きたのですか?」

 

ケイは心配そうな顔で聞いてくるので気にしなくていいと優しく言った。あれは何だったのだろうか。あの世界は一体……

 

『……ごめんね』

 

突如脳裏に響く声。その言葉の意味はすぐに理解する事となる。

 

彼女は魅入られ、そして世界に訪れた事により縁が出来た。それは彼女にとってはあまりにも残酷すぎた。淑女を倒し平和になったこの世界にまた脅威が現れてしまうのだから。




しばらく間章をやるつもりでしたが我慢出来ないのでこのまま4章に突入します
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