長い長い走馬灯は終わりを迎え
次第に意識が遠のいていく中
脳裏に過ぎるのは後輩達の姿だった
それぞれが笑顔でこちらを見ている
そしてその中に居たのは誰よりも大切な
私のホシノちゃんだった
無愛想ながら彼女も微笑んでいる姿に
思わずこちらも笑みが溢れてしまい
抱きつこうとして近づいた時
『先輩が来るのはまだ早いですよ』
そう言って私は彼女達に背中を押されて
花園から追放された
どうして?なんで?やっと会えたのに
会いたくてずっと頑張ってきたのに
その答えは脳に響くような声で
『先輩。貴女は生きてください。
何も背負わず自由に』
嫌だ。嫌だ。私は皆が居ないと生きていけない
その想いとは裏腹に伸ばした手は空を切る
けれどその手は温もりに包まれていた
その理由は意識を取り戻した際に理解した
私の後輩だけど後輩じゃない存在
もう一人のホシノちゃんが私の手を握っていた
『貴女は一人じゃない』
なんだかそう言われているような気がした
……あったかいな
こんな感覚はいつ振りだろう
ーーー
「先輩……?大丈夫ですか?」
ホシノの問いにゆっくりと頷いて答える彼女。多くを語らずただ天井を見ている彼女は何を思い何を考えているのだろうか。
ひとまずはこの騒動が終わった事に安堵して一息つこうと外を眺めた時に違和感を覚えた。何故まだ空が赤いのだろうか?そんな中突如聞こえた発砲音の方に目を向けると偶像のような存在がユメを見下ろすように立っている。先程の音はホシノがそれに向けて発砲した音のようだ。あれはもしや色彩の本体なのだろうか。
偶像は何かを伝えている。それが何を発しているのかは理解できなかった。しかし彼女には聞き取れたのだろう。途端に発狂してしがみつき
『嫌だ……嫌だよ……お願いだから……』
消え入るような声で呟いているが偶像は何も反応しない。いや、出来ないのかもしれない。あの偶像からは生を感じない。死体が動いているかのようなものなのだろう。各自警戒をしている中彼女の頭に手を置いて得体の知れないものを取り出している。それは小さな宇宙を模したような塊で心臓のように一定の速度で鼓動している。
見ていると何だか引き込まれそうになるその塊を偶像は受け入れた。その直後に塔を大きな揺れが襲う。恐らく崩壊しかけているのだろう。
生徒達に指示を出して退避させ偶像の方を見るとそこには誰も居ない。折鶴とメッセージカードが落ちているだけだった。それらを拾い待機していたアリスに手を引かれて塔が崩壊する前に脱出する事が出来た。
ホシノの救出が出来て良い関係にもなれた。先輩を止めるという彼女の望みも叶った。ついでに色彩の対処も完了して今回の件は大勝利とも言えるだろう。
こうして長いようで短い戦いは幕を閉じてそれぞれが帰路につく。……そう思ったのだが何やら後輩達が話し合っているようで……
「お泊まり会をしましょう☆」
今宵の学校は騒がしくなりそうだ。
本日は20時にもう一本投稿予定です