数日経って慣れてきた頃に
それぞれが用事があるとの事なので
今日は一人で書類整理をしている
久しぶりに過ごす一人の時間は
とても静かで落ち着いた時を過ごせる
前の自分だったらきっと落ち着くどころか
発作を起こして嘔吐していたかもしれない
アビドスの皆が良くしてくれるから
少しずつ精神が安定してきてるのかも
そんな着実に前へと進めている自分を
ほんのちょっぴり褒めてあげたい
「桐藤ロールケーキのお届けに参りました」
なんて考えていたら突然の来訪者が来た
あれこの人前も来ていなかった?
トリニティのトップって暇なのかな?
「……あら、彼は居ないのですね。
ですが問題ありません。鮮度には細心の注意を払って持参致しましたので何時間でも貴方の帰りを待っております」
ああ、やっぱこの人暇なんだ
まあ邪魔をしないなら放っておいても……
「まあ!これはあの名ブランド『NAGISA』
の桐藤ロールケーキではありませんか!?
これは美食を探求する者として食させて
頂きたいと思います」
この二人よく来るなぁ……
ゲヘナの子は毎回ボコボコにされてるのに
ほぼ毎日来てるし……すごい執念だね
ただ騒がれても面倒なので二人とも仲良く
それぞれの学園に帰ってもらった
席に戻って作業を再開して数分も経たない
内にまた二人来た
「いつもハルナがご迷惑をおかけして……
本当に申し訳ありません」
「合わせてナギサの件も謝罪しに来たよ。
私の友人が迷惑をかけてすまない……」
どうやらさっきの二人組の保護者のようだ
『特に気にしてないから大丈夫だよ』
そう言ったのに何故かホールケーキと
フライドチキンを貰った
お詫びの品なのだろうか
何故こんなチョイスをしたのだろう
二人はそそくさと帰ってしまったので
その真意は永遠に解明される事はない
ただ作業をしているだけなのに
机の上におやつが並んでいく
誘惑に負けそうにはなるけれど
一人で食べるのは嫌なので
後輩達の帰りを心待ちにしながら
作業を再開しようとしたら
また来訪者が訪れた
「ホシノに会いに来たんだけど……」
何処かで見たような顔の彼女は
私の世界では撃たれて死んでいた
あの事件がゲヘナ学園の壊滅の始まり
そんな記事を読んだ記憶がある
そっか。この世界はホシノだけじゃない
他に死ぬ運命だった子達も生きている
接点がない子達とはいえ
その子達が幸せに過ごせている姿を
想像するのは悪くない
『ねえ風紀委員会ちゃん。
よかったらお話しようよ』
「いいけど……貴女は?」
……ああ、そういえば名乗っていなかった
『私は……ホシノちゃんの先輩だよ』
「ついでにもう一つ聞いてもいいかしら」
『うん、いいよ』
「なんでメイド服を着てるの?」
『先生の趣味……かな』
「……苦労してるのね」