例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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黒服と対策委員活動記録二年目#5

 

ーーーアビドス高等学校(10月)

 

あの日ヘルメット団を捕まえて以降定期的に自治区で暴れている存在を駆逐していったのでこの付近では珍しく治安が良い。それに比例するかのようにホシノとノノミの戦闘能力も向上している。やはり訓練と実戦では得られるものが違うようだ。良い傾向だろう。

 

黒服「たまには労いでもしましょうかね。また水族館にでも……?」

 

いつも通り対策委員室の扉を開けても誰も居ない。ノノミは時々遅れてくるもののホシノは今まで遅刻した事がない。何かがおかしい。

 

黒服「(人の気配はなし…荒らされた形跡も特に……おや)」

 

机の下に桃色の髪が見えた。気配を消すのは上手いが肝心な所でミスをしてしまっている。

 

黒服「ホシノ。貴女は詰めが甘いですね。どうして机に隠れ…」

 

覗き込んで見えたものはホシノを模した人形…?のようなものだった。何故こんなものがと考える間もなく麻袋を被せられて視界を塞がれる。

 

ノノミ「捕まえました⭐︎」

 

黒服「…なんですかこの茶番は」

 

ノノミ「いいから行きますよ〜しゅっぱーつ♪」

 

いつも以上に強引なノノミ。抵抗するのも無駄だと悟り手を引っ張られる形で歩かされる。

 

黒服「どこに連れて行くつもりですか?」

 

ノノミ「まあまあ。着いたら分かりますよ」

 

しばらくしてようやく立ち止まって目隠しを外されたと思ったら真っ暗な部屋の中心に立たされていた。

 

黒服「一体何の真似ですかノノミ…?」

 

振り返ってもノノミが居ない。こんな事をして何をしたいのか理解できない。ひとまず部屋の電気を付けようと手探りで壁を触りそれっぽいスイッチを押すと部屋が明るくなった。それと同時に装飾がされていてまるでパーティ会場のようだ。

 

ホシノ「先生」

 

先程まで自分が居た位置に小さな箱を持ったホシノがいる。ほんの少し照れたような表情で。

 

黒服「これは一体?」

 

ホシノ「先生は今日が何の日か知ってる?」

 

黒服「今日ですか?初めてホシノと砂漠で会った日ですね」

 

ホシノ「…うん。そして貴方が私の先生になってくれた日。だから感謝を伝えたかったんだ。……先生、私と出会ってくれてありがとう」

 

笑顔で箱を差し出してくるホシノの手には無数の絆創膏。受け取った箱の中身は空色のネクタイ。所々ほつれているが使えない事はないだろう。裏には『いつもありがとう。これからもよろしくね』と縫われていた。

 

ホシノ「気に入ってくれると嬉しいな…」

 

黒服「……ええ。ホシノからの贈り物ですからね。大事にします」

 

ここまで上手くいっている事がとても喜ばしい。たった一年でここまで気を許すとは。実験が始められる日も近いだろう。それにしてもこのネクタイからは不思議なものを感じる。後で研究してみよう。

 

ノノミ「ホシノ先輩、そろそろ始めますよ?」

 

ホシノ「おっけいノノミちゃん。それじゃあ先生、今日は楽しもうね」

 

黒服「そうですね。たまにはこういう日があってもいいでしょう」

 

その後、三人の形を模した砂糖菓子が乗ったケーキ等のホシノ手作り料理を堪能し、ノノミがくる前の話を語ったり濃密な時間を過ごしてあっという間に片付けも終えて二人を家まで送っている途中。

 

黒服「そういえば…意識しておりませんでしたがホシノは随分と口調が変わりましたね。理由をお伺いしても?」

 

ホシノ「え〜今更?もうちょっと早く聞いてほしかったなぁ……なんていうかさ、先生の前だと自然体でいいんだって、変に着飾らなくていいんだって思ったらこうなったんだぁ」

 

黒服「前の生真面目なホシノも好印象でしたが今の自然体である貴女も充分に魅力的ですよ」

 

ホシノ「……先生はずるいなぁ…すぐそうやって甘い言葉をかけてくるんだから」

 

黒服「思った事を正直に伝えただけですよ」

 

ホシノ「ありがとう……なんか先生には助けられてばかりだからどうやって恩を返せばいいか分からないや」

 

黒服「無理に返そうとしなくて構いません。いずれ貴女の人生を貰うのですから」

 

ホシノ「………」

 

黒服「?どうしましたホシノ」

 

ホシノ「……うへぇ…」

 

ノノミ「わぁ〜黒服先生、大胆な告白ですねぇ♪」

 

黒服「告白?いえ、そんなつもりは…」

 

ノノミ「またまたぁ。もう取り消せませんよ?」

 

黒服「ですから…」

 

ノノミ「では私はここでお暇させて頂きます。あとはお二人でお楽しみください〜」

 

ホシノ「うへぇ…」

 

黒服「何やら誤解を与えてしまったようですね…それは明日どうにかするとして…ホシノ、しっかりしなさ…」

 

ホシノ「せっ!せせせせせせせんせい!?」

 

黒服「目が覚めましたか。随分と錯乱していますが大丈夫ですか?」

 

ホシノ「だ、大丈夫!そそそれじゃあ先生また明日ぁぁぁぁぁ!!」

 

黒服「ホシノ!?」

 

蒸気が見えるほど顔を真っ赤にしたホシノが夜道を駆けていった。あっという間に見えなくなってしまう程の速度で離れていくホシノを見送った後に学園に戻ることにした。

 

ーーーホシノの家

 

ホシノ「………」

 

『貴女の人生を貰うのですから』

 

ホシノ「〜〜!?」ジタバタ

 

ホシノはずっと黒服に言われた言葉が頭に残り続けて数日間睡眠不足となり黒服と目を合わせる事も出来ず近づかれるだけでキャパオーバーとなり倒れるようになった。ホシノがこんな状況なので当然誤解も解けず黒服はノノミから「応援してます〜」と謎の励ましをもらった。




メモロビのホシノは可愛い。でもホシノは映るだけで可愛い。
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