例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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ひと段落したので

彼は久しぶりにミレニアムに帰って来た。

ゲヘナとトリニティも和解して警戒する必要も

なくなった以上トリニティに滞在する理由もない

それに身の危険を感じたからというのもある

ナギサと会話をしたあの日からミカとセイアの

距離が異常なまでに近くなった

混浴しようや添い寝しようなど明らかにおかしい

教師と生徒の一線を軽々と超えるな

それに他の生徒も様子がおかしい

まさかあの年増の影響なのか?

私の生徒に何をしてくれたのだ

私が積み上げて来た芸術を壊すな

今はそんな愚痴を溢すしか出来ない

もう監禁まがいの事をされるのも嫌だ

ミカの腕力に押さえつけられるのも

セイアが常に付き纏ってくるのも

サクラコが子守唄代わりに枕元で雑音を流すのも

セリナが怪我をしていないのに現れるのも

カズサが唐突に飴を舐めさせてくるのも

イチカが急に抱きついてくるのも

コハルが猫目で威嚇してくるのも

シミコが本を隣で読み始めるのも

スズミとレイサが巡回に付いてくるのも

全て懲り懲りだ。だからミレニアムに戻り

暫くは崇高を満たしつつ安静な日々を過ごしたい

トリニティの事は後で考える事にしよう

今はただゆっくりとした生活をしたい

 

「そう言ったのだが……何故私は今

セミナーの仕事を手伝っているのだろうか」

 

「仕方ないじゃないですかー!!他の三人が

全員どっか行っちゃったんですもん!!」

 

何故かコユキの仕事を手伝う羽目になっていた

彼女はサボり癖があるから溜まっていたのだろう

それにしては量が多すぎるが……

 

「だがサボっていたとはいえ一人でもやろうとした

のはお前の成長を感じれるな」

 

「もっと褒めてくれても良いんですよ!!」

 

「いいから仕事を終わらせろ」

 

慣れたようなやり取りをしつつ仕事をこなす中

コユキはマシンガンのように話を振ってくる

 

「ユウカ先輩がシャーレの先生にーー」

 

「ゲヘナで結婚式が行われる予定でーー」

 

「ゲーム開発部が恋愛ゲームをーー」

 

「そろそろ口より手を動かせ」

 

そう注意しても尚話を振り続ける彼女に

やはり成長していないのだと呆れてしまう

こちらは早く終わらせて研究に没頭したいのだ

これ以上遅延行為をしないでくれ

 

「先生は何か面白い話題はないんですか!?

話してくれたらもっと頑張って仕事をしますよ」

 

「そんなものはない。……だがそうだな。

つまらない話ではあるがトリニティの生徒が……」

 

最近のトリニティ生の距離が近い事を話した

面白い話ではないと思っていたが興味があったのか

コユキは静かに聞いた後にこう言った

 

「それって先生の事が好きなんじゃないですか?

気づいて貰いたくてアピールしてるんですよ」

 

「面白い考えだな。だがそれはあり得ない。

私は好かれるような教師ではないからな」

 

「私は先生の事、好きですよ」

 

「そうか」

 

「……あのー……私今告白したんですけど……

返事は……?」

 

「ああ、気を遣ってくれたのだろう?

やはりお前は成長しているようだな」

 

「……先生の馬鹿ーー!!!!」

 

コユキは唐突に叫んで書類を顔面に向けて投げつけ、

仕事を放棄して走り去ってしまった

まだ仕事が残っているというのに……

やはり成長途中なのだろうな

何故叫んだのかは理解できないが

 

これが後に伝わるミレニアムの風物詩

『告白玉砕現象』である




ヒビキがマエストロに告白しない理由
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