日付が変わり深夜に差し変わる時刻に右腕に
強くしがみついていたケイが何処かに行った
暫くの間待っていようとしたが数十分が経過し
面倒な事に巻き込まれているのではと悟り
立ち上がって探しに行こうとしたが左腕に
くっついているアリスの馬鹿力の前では
なす術なく動く事は出来なかった
アリスを起こそうにも涎を垂らし幸せそうに
眠っている彼女を目覚めさせるのは申し訳なく
天井の染みを数えてケイの帰りを待つ事にした
天井を見て分かった事は隠しカメラが配置してあり
盗撮されているという最低な事実であった
流石はミレニアムといったところだろう
それから一時間が経過した頃に扉が開く音と共に
頬が赤く染まったケイが戻ってきた
夜風に当たりにいったと考えるには随分と長いが
何事もなく戻ってきたなら良しとしよう
しかしそのまま右腕に抱きついてきたケイの身体は
夜風に当たった後とは思えないほど熱かった
息も荒いように見受けられたので
大方走り込みでもしたのだろうと納得して眠った
ーーー
「おはようございます!!」
腹部の衝撃と共にアリスが跨って揺らしてくる
その華奢な身体からは想像もつかない程の
怪力で揺らされるので朝から吐き気を催した
「アリス?まだ父は起きな……!?
朝から何をしているんです!?」
「『モーニングコール』というやつです!」
「……ああ、それなら問題ないですね。
挿入っている訳ではなさそうですし」
「……あの、そろそろ離してくれませんか?」
ーーー
ようやく解放されたかと思いきや離れてくれず
一日中二人に振り回されて過ごす事になりそうだ
「それで……向き合う練習というのは具体的に
どのような事をするのですか?」
「正直な話何をすればいいのか分かりません。
ただこのままアビドスに戻ってもまたホシノに
吹き飛ばされてしまうかもしれないので早く
何かを掴まないといけないんです」
「確か母に告白されてそれを断った……
それが原因ですよね?でしたら……
今日一日、私を恋人だと思って接してください」
「仰る意味が分かりませんが……何故ケイが
私の恋人という事になるのでしょう」
「細かい事はいいんです。付き合い方を練習
するのであればこれが効率的なんです」
「半信半疑ではありますが……ケイがそう言うなら
試してみてもいいでしょう。……ですが恋人とは
何をするのでしょうか?」
あの変態なら知っているのだろうか?
あれを参考に……あれを?だが試すだけ試そう
確かヒナを膝に座らせて吸っていた。……何を?
髪の毛を吸っていたのか?何故?何故?何故?
……とりあえずケイを膝に座らせて彼女の綺麗な
髪に顔を近づけて吸ってみた
「っ!?何を!?」
動揺するケイを他所に空気を吸い込んでみるも
彼女が昨日使ったであろうシャンプーの香りが
鼻腔を刺激する程度だ
本当に恋人とはこのような無意味な行動を
取らないといけないのだろうか?
しかしケイは何故か喜んでいるように見える
彼女が喜んでいるところを見るに効果はあるようだ
「……恋人とはこのような無駄な事を
嬉々として行うのでしょうか?」
「髪の毛を吸うかどうかは知りませんが……
貴方の膝に座るのは良い気分です。なので
このまま頭を撫でてください」
「頭を?仕方ないですね……」
こうしてケイによる恋人練習が始まった
彼女が何故このような提案をしたのかは……
まだ誰にも分からない
「(……?何故私は向き合い方ではなく
付き合い方を学んでいるのでしょうか?)」