例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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苦難の循環マエストロ

ミレニアムに帰ってきた彼は悠々自適に過ごし

脳内に溜まっていたインスピレーションを燃料に

様々な創作物を想いのままに生成していた

しかし彼は最近ある事で悩んでいる

『生徒に気を遣わせてばかりいる』という事実に

春が来ない彼に対し愛の告白をしてくれるのだ

当然気を遣わせていると理解しているので

「その言葉は本当に好きな人に言うべきだ」と

思いを込めて断っているのだが彼女達はいつも

「先生の馬鹿ーー!!」と叫んだかと思えば

走り去って行ってしまうのだ

 

「何故なのだろうか……皆励まされている事への

礼を伝える前に走り去るのだ……」

 

彼の恐るべき鈍感さには感服するしかないだろう

一度エンジニア部に相談したものの返答は

「それは先生が悪いね。まあ都合が良いけど」

と解決に至らない答えしか出てこない

理由を考え始めたら気になって仕方がなくなり

その疑問の答えを得られるまでは創作を中断して

とりあえずミレニアムを歩き回り解決の糸口を

探そうとしている中突然黒服が滞在している

部屋が大爆発を起こしていた

小型の核が爆発したであろう規模ではあるが

黒服に後始末を任せて無視する事にした

足元に落ちてきた焼けこげたメモリーカードを拾い

胸ポケットにしまっている間に前方に人影が見えた

 

「超天才な清楚、びょうじゃ……これはこれは

お久しぶりですね。先生の超絶有能な右腕である

私ですよ。……おや、何故拍手がないのですか?」

 

「お前は相変わらずだな……」

 

「まあ、それは変わらぬ魅力という事でしょうか。

それも致し方ありませんね。何故なら私は

『全知明星ヒマリん』ですからね!」

 

彼女はヒマリ。去年のこの時期に実装……

もといお迎えしたであろう先生も多いだろう

性能もビジュアルも性格も……?全てが魅力的な

ミレニアムが生み出した超天才だ

彼女なら悩んでいる問題の答えを導き出して

くれるのではないだろうか?

聞いてみる価値は少なからずあるだろう

 

「出会って早々で悪いが、悩みを聞いて欲しい」

 

「この私に頼むとは良い判断ですね。

いいでしょう、この全知の名を持つ私が華麗に

先生の悩みを解決して差し上げましょう」

 

ヒマリはなんて頼もしいのだろうか

自信満々の彼女に悩みの種を話すと

数秒考えた後に彼女はこう言った

 

「では私と付き合いましょう」

 

「何 故 そ う な る」

 

「あら、これが最も合理的な解決法ですよ?

私と付き合えば生徒に告白される事はなくなり

悩みが解決するではありませんか。そして

先生は最高のパートナーを得られるのです。

まさに一石二鳥ですよね」

 

「その考えは分からなくもないが……

根本的な解決には至ってないのではないか?

それに私は励ましてくれた生徒に礼を伝えたい

だけであって付き合うとかは考えていない」

 

「やはり一筋縄ではいかないようですね。

ですが今回は私も『覚悟』をしてきました。

さあ刮目してください、この美しい身体を!」

 

覚悟と聞いてとあるシスターが頭をよぎる中

ヒマリは唐突に上着を脱いで華奢な身体を

見せびらかすように見せてくる

長く光を浴びていないであろう身体は

透き通るように美しい

それを見てしまった彼は自らもスーツを脱ぎ

ヒマリにゆっくりと近づいていく

誘惑に成功したと勝ちを確信したヒマリに対して

彼は彼女の上半身を隠すようにスーツを着せた

 

「お前は身体が弱いのだから冷やすんじゃない」

 

「えっあっはい」

 

しかしどのように誘惑しようとしたところで

『鈍感』の名を冠する彼には届かない

そのままワイシャツ姿のまま彼は歩いていき

取り残されたヒマリは一息ついた後に

スーツを嗅ぎながら部屋に戻ったそう

 

ーーー

 

「結局解決の糸口は掴めなかったな……

仕方ない、今日はもう休んで明日考えるとしよう」

 

ミレニアム自治区にあるアトリエのような建物

それが彼の拠点であり家でもある場所だ

部屋の中には至る所に芸術品がある

絵画、発明品、複製素体、聖園ミカ等の作品が……

 

「……ミカ?」

 

「あっお帰りー♪待ってたよ★」

 

何故彼女がここに?誰にも伝えていないのだが……

 

「今日は同棲一日目の記念日だね★」

 

仕事しろトリニティのトップ

しかし来てしまった以上追い返すのは申し訳ない

彼はため息を吐いた後に人差し指を立て

 

「今日一日だけは泊まっていい。だか明日には

トリニティに送り返すからな」

 

「えー……あ、でも一日あれば充分かな★」

 

彼はこの時ミカが来た事を甘く見ていた

この一件を引き金に彼の家は知れ渡り

トリニティの生徒が毎日一人ずつ訪ねてきては

泊まるようになる事を彼はまだ知らない

そう、もうトリニティからは逃げきれないのだ




ヒマリの告白はさりげなく失敗しました
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