例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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本心

「アリスとケイも帰ったな。……さて。

わざわざ時間を取らせてすまないな」

 

『いえ……丁度私も今後について考える時間が

欲しかったので……』

 

「そうか」

 

『はい』

 

「まあそう緊張しなくていいぞ。世間話程度の

感覚で構わない。……ああ、お前は確か成人

していたな。良ければ晩酌に付き合ってくれ」

 

『お酒は飲んだ事がないのですが……』

 

「度数はそこまで高くないから安心してくれ。

飲む事で多少は緊張が解けるだろう」

 

『貴方がそう言うなら……』

 

本来であれば男女が同じ屋根の下で酒を飲む

その行為は危険ではあるのだが

マエストロは鈍感朴念仁なので問題ない

 

『……うへへぇ』

 

しかしそれはあくまで彼の場合であり

酒を嗜んだ事のないユメは一口飲んだだけで

ベロンベロンに酔ってしまっていた

 

「度数3%なのだが……参ったな……」

 

『おさけってこんなきぶんになるんだねぇ〜』

 

「……まあお前が楽しそうだからいいか」

 

『ああ……このまましにたいな』

 

「どうした急に」

 

『だってさ、わたしこれからずっとひとりなんだよ

こうはいはぜんいんしんじゃったし……』

 

「ホシノ達が居るだろう。何を言っているんだ」

 

『え〜しらないの?しょうがないなぁ……

それじゃあわたしのじんせいをあなたにかたって

あげようかなぁ〜うへへ〜』

 

酔った彼女は語る。自分は別の世界から来た事

大切な人が全員死んで永遠に孤独である事

この世界の後輩達はとても優しいがどうしても

自分の世界に居た後輩達と重ねてしまいずっと

胸が苦しくて仕方がない事

他にも沢山話してくれたが大半の内容はとても

一生徒が体験していいようなものではなく

地獄の一言で済ませられない

 

『みんなわたしにいきてほしいんだって〜。

ほんとかってだよね〜ひとりでいきたって

なにもたのしくないのにさ』

 

「その感情は分かるな。お前ほど重くはないが

芸術に理解を示してもらえない事が多いからな」

 

『あなたもこどくなんだね〜おそろいだ〜』

 

「……ああ、そうだな」

 

『もうあびどすにかえりたくないな〜みんなに

きをつかわせるのもつかれたよ』

 

「それなら暫くの間ここに泊まっていいぞ。

お前も心の整理をつける時間が必要だろう?」

 

『え〜いいの〜?じゃあとまる〜』

 

「着替え等は準備しておくのでその間風呂に入って

身体の汚れを落としておけ」

 

『は〜い』

 

「……ユメか。もしあいつの話が本当ならば……

少しは報われるべきだろうな。孤独か……

知ってしまった以上何とかしてやりたいが……」

 

『ねえねえ、いっしょにはいらない〜?

このおふろひろすぎておちつかないよ〜』

 

「やめてくれ。生徒と風呂になんて入った暁には

牢の中で過ごす羽目になる」

 

『え〜けち〜わたしをひとりにするな〜!!』

 

「……仕方ない。アリスとケイをまた呼ぶか……」




実際起こり得ない話ではありますが死んだはずの大切な人によく似た他人と生活するのってしんどいと思うんですよね
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