例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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今はまだ黒く染まっている君

「こんな時間に電話してくるなんてどうした」

 

『ユメの事です。貴方のところに置いてきて

しまったので様子を聞こうと思いまして』

 

「ああ。今は私の家で風呂に入っているぞ」

 

『マエストロ?』

 

「しばらくは私の家に滞在させるつもりだ。

お前は安心してホシノと愛し合うといい」

 

『マエストロ???』

 

「気にするな。悪いようにはしない」

 

『いえそういう事ではな』

 

黒服からの通話を切り先程開封した酒を堪能する。

今ユメをアビドスに帰して彼女の精神が擦り減って

限界を迎える前に一度休ませるべきなのだから。

心の病というものはそう簡単に治るものじゃない。

時間をかけて向き合う必要があるのだ。

 

「黒服は生徒との向き合い方が下手だからな。

マダムは過保護すぎてあてにならん。

ゴルコンダは……あいつはなんなんだ……」

 

ゲマトリアとは?と思える程に色々崩壊している

組織ではあるもののそれぞれが崇高に向かって

近づいているのならいいのかもしれないと

希望的観測をしていると浴室の扉が開く音がした。

 

『このおふろあっついね〜みんなのぼせたよ〜』

 

「マエストロ先生、アリス達はお風呂上がりの

牛乳を要求します!当然フルーツ牛乳です!」

 

「ああ、冷蔵庫に冷やしてあるぞ。ただし……

ちゃんと身体を拭いて着替えてからにしろ。

ただえさえ寒くなってきたのだからな」

 

『え〜きがえさせてよ〜おとなでしょ〜?』

 

「断る。私にそのような趣味はない」

 

『けち!わるいおとな!』

 

「……私が助力するので着替えましょう」

 

『おーケイちゃんありがと〜。ホシノちゃんににて

やさしいこにそだったんだね〜。それにくらべて

あのせんせいはぜんぜんやさしくない!ひどい!」

 

「……さっさと牛乳を飲んで歯を磨いて寝ろ」

 

酔った彼女は成人しているとは思えない程に精神が

幼くなっている。もしかしたらこれが彼女本来の姿

であり性格なのかもしれない。それはそれとして

彼女に酒を飲ませるのはもうやめようと思った。

やはり一人で嗜む程度に留めておくべきだろう。

 

『ちょっと!コーヒーぎゅうにゅうがないよ!』

 

「いちごミルクの隣にありますよ」

 

『あっほんとだ。ケイちゃんありがとう』

 

「むむむ……いちごミルクとフルーツ牛乳……

とても悩みます……二本飲んでもいいですか?」

 

「いいぞ」

 

「ありがとうございます!アリスは二本選ぶ権利を

得ることができました!」

 

『え〜いいな〜わたしもにほんのみたい!』

 

「……では私も」

 

「お前ら……まあいいか。好きにしてくれ」

 

『わーい!』

 

まるで子供のようにはしゃぐ三人を見ていると

確信はないがいつかユメの心の病が治って

彼女が笑顔で過ごせている姿が想像出来た

その光景は真っ白なキャンバスでは描ききれない

程に美しい芸術になるだろう。

今からその日が訪れるのを楽しみにしていよう。

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