『ん……そろそろ起きないと……』
ユメはいつも朝早くに起きて訓練をする。
それは彼女が毎日のように続けてきた習慣であり
彼女の身体が丈夫になった理解でもある
しかしユメがベッドから起きあがろうとしても
左右から物凄い力で引っ張られて起き上がれない
「ホシノママ……」
「父……」
左右を見てみるとそこに居るのは寝言で
親?の名前を呼びながら寝ているアリスとケイ。
何故彼女達がここにいるのかも自分が今
何処に居るのかも曖昧である。
多少心苦しくはあるものの彼女達が起きない程度に
力を込めてアリケイ包囲網から脱出して
寝巻きから着替えようと部屋を出た際に
何かの発明をしているマエストロを見かけた
「起きたのか。よく眠れたか?」
『はい。ただ……昨日の夜辺りの記憶が曖昧で』
「覚えてないなら気にする必要はないぞ」
『何かご迷惑をおかけしていたら申し訳ないです』
「迷惑はかけていな……いぞ?」
『えっ何ですか今の間は……私は一体
貴方に対して何をやったんですか?』
「一緒に風呂に入れと言っていた」
『えぇ!?』
「流石に断ったがな」
『……そうですよね。私みたいな魅力のない身体の
生徒と一緒にお風呂だなんて……』
「いいやお前の身体は魅力が詰まっている。
ただ倫理的に考えて生徒と教師が同じ風呂に入る
だなんておかしいだろう」
『……確かにそうですね』
「代わりにアリスとケイに付き添ってもらった」
『だから二人が居たんですね』
「そういう事だ。……さて、お前が起きたのて
私は今から朝食でも準備をするか」
『……私は今から訓練に行くので必要は……』
「いいからそこに座って待っていてくれ。
今は訓練などせずに身体の疲労を癒すべきだ」
『でも……』
「ほら、ひとまずこれでも食べておけ」
彼から差し出されたのは美しく盛られた野菜。
芸術にうるさい彼らしい料理であると思いながら
その野菜を口に含んだ。とても新鮮で土の味が
口内に広がる。水で洗っただけの野菜本来の姿を
味わっているようなその感覚に思わず『まず』と
口に出して言ってしまった。
『これ……味付けとかされてないんですか?』
「食事は栄養を摂る為の行為だろう?」
『つまり味は気にしていないと?』
「そうだな」
『……はぁ。少しキッチンを借りますね』
「ああ」
ーーー
『塩と胡椒で味付けして炒めてみました』
「……ふむ。どうやら料理には芸術よりも
まずは味を求めるべきだったようだな」
『やっぱり貴方も不味いと思っていたんですね』
「正直な話私は料理が下手だからな。だが流石に
毎食ロールケーキにする訳にもいかないだろう」
『下手というか調理すらしていないというか……
分かりました。住まわせてもらっているので私が
貴方の為に食事を用意しますよ』
「いいのか?有難い申し出だな」
『あまり良いものは作れませんが……』
「いいや。お前が私の為に作ってくれる事実。
それだけで私は満足だ」
『そ……そうですか』
「お前さえ良ければ今日の昼から頼みたい」
『分かりました。これからお世話になるので
そのくらいはさせてください』
この日からテラーちゃんは料理を勉強し始めたとか。特に深い意味はありませんよ。