例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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記憶と答え

「あっ……また箱がある」

 

「……触れないの?」

 

「これってさ……見ていいものなのかな……?

あんまり触れない方がいい気がして……」

 

「確かにね。でもホシノは見るべきだよ。

好きな人の事なら知るべき」

 

「……うん、そうだね。ありがとうヒナ」

 

先程と同じように黒い箱に触れる。しかし今回は

景色は変わらなかった。だが奥から一人の影が

こちらに向かって歩いてくる。

 

『あの日私はいつものように遺物探しをしようと

このように砂漠を歩いていました。

そして足元に半分砂に埋まった盾を見つけた事が

全ての始まりです』

 

「盾……始まり……これって」

 

『そう、貴女との出会いです。ショットガンを構え

殺意を隠しきれず剥き出しにしたホシノ。私はその

少女が秘める神秘に大変興味深く感じていました』

 

「……私と先生が初めて出会った……」

 

『私は盾と引き換えに実験道具になってもらうと

告げ彼女は了承し私の欲求が満たされると思って

いました。しかし予想とは裏腹に実験は失敗。

やり方が間違っていたのだろうと考え彼女の学園

に理由を付けて居座る事にしました。ホシノに

依存させて実験を成功させる為に』

 

一通り語り終えると影は消え箱は輝きを失う。

利用する為に近づいた。だけどそれに関しては

既に吹っ切れていたので気にしていない。

今はそんなつもりはないと断言してくれた彼を

信じている。

 

「信じて……いいのかな?ううん、信じないと」

 

「急にそんな事を言ってどうしたの?」

 

「何でもな……いや、ヒナには言ってもいいかな。

もしかしたら先生にまた裏切られるのかもって

考えちゃって……少し怖いんだ。勿論そんな事は

ないって信じてるけど……」

 

「……その答えは進んでいけば分かるはず」

 

「……そうだね」

 

その後も黒い箱を見つけては彼と過ごした記憶が

蘇るように再生されていき、懐かしさを覚える。

照れ隠しに盾で彼を殴ってしまった事や

アリスにママと呼ばれて叫んだ時の事。

……何故かケイが黒服を押し倒している記憶も

存在していたのは謎だったが。

 

「なんだか恥ずかしい記憶ばかりだったな……

膝に座って話してる場面とか……」

 

「あれくらい普通だと思うけど」

 

「えっそうなの?普段から後輩達に暖かな

視線を向けられてたからてっきり……って

そんな事よりも箱だよ箱」

 

「それならそこにあるわよ」

 

「あっほんとだ。それじゃあ触って……」

 

『何故此処に来たのですか?』

 

「うぇ?箱から先生の声が聞こえるような……

あれ、ヒナ?どこに行ったの?」

 

『彼女には先に現実へと戻っていただきました』

 

「……先生?」

 

『まさか人の精神まで侵入してくるとは……

私の生徒ながら恐ろしい事を考えますね』

 

「勝手に色々やってごめんね。……でも私は

先生が私を好きでいてくれているのか……

愛してくれているのかを知りたいんだ」

 

『ホシノの事ですか?好きですよ』

 

「……うぇ」

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