黒服の潜在意識に潜り込んだあの日からホシノは
少し変わった日々を過ごしている。具体的に言うと黒服が今までよりも過保護になった。
「……あんた達朝から何してるのよ」
「お仕置きも兼ねて全身マッサージをしてます。
ホシノがまた夜の見回りを行ったのですよ」
「それどう考えてもお仕置きじゃないわよ」
「知っていますよ」
「???」
「セリカちゃん、先生はお仕置きって名目で
私の身体を触りたいだけなんだよ〜」
「……相変わらずいちゃついてるのね。
ところで今日二人はどうするの?」
「どうするとは?」
「知らないの?ゲヘナ、トリニティ、ミレニアムの
3学園合同のパーティがあるのよ」
「ああ。前にマダムがそんな事を言っていました」
「なんだか賑やかそうだね。……ねえ先生、
私皆と行ってみたいな」
「ホシノがそう言うなら行きましょうか」
「あ、コスプレ必須だから着替えてから集合ね」
「分かりました。……ん?」
ーーー
「何故私がこのような格好を……」
「結構似合ってるよ?トナカイの着ぐるみ」
「誰がこんな衣装を用意したのです」
「ベアさんじゃないかな」
「マダム……覚えておいてくださいね……
ですがホシノの衣装は似合っているので
怒るにも怒れませんね」
「そうかな?コスプレなんてした事ないから
ちょっと恥ずかしいけど……」
ホシノには癖の詰まったミニスカサンタ服、
黒服には全身茶色のトナカイ着ぐるみパジャマ。
着替えた二人が後輩達との合流場所に行くと……
「黒服wwwその格好はないわwww」
「ん、センス×」
「えっと……個性的でいいと思います……」
散々な言われようだった。いつも黒いスーツと
革靴を履いている彼がこんな姿になるものだから
後輩達は皆笑いを堪えるのに必死であった。
「黒服先生がその格好をするという事は……
ホシノ先輩を獣のように襲うという暗示ですか?」
「襲いませんよ」
「えっ違うの?」
「貴女達は私を何だと思っているのです……」
「ん、意気地なしのロリコン」
「………」
「そ、そろそろ行こうよ。皆もお腹空いてきた頃
だと思うし。ちょっと早いけどね」
「そうですね〜行きましょう☆」
ーーー
3学園合同クリスマスパーティー。それは一人の
先生が「生徒達のコスプレが見たい」声を大きく
して主張した事から開催されたもの。
それぞれの学園との交流を表向きの目標として
裏では様々な生徒のコスプレを撮影している
変態が居るとかないとか。
「ふむ……ヒナにも劣らぬ魅力的な生徒だらけで
困りますね。アッバニーノコスプレッ⁉︎鼻血が……」
「……そろそろ鼻血を止めないと血が足りなく
なるんじゃない?心配だよ」
「大丈夫です。予めトリニティのナースさんから
同じ血液型の血が入った袋を貰っています」
「何もよくないんだけど……」
会場受付を担当している発案者の変態とヒナ。
過激なコスプレを確認する度に鼻血を出している為
倒れないかどうか不安になっているヒナを横目に
欲望を抑えられないベアは舐め回すように生徒達を
眺めていた。つまりいつもと変わらない。
「ミレニアムは凄いですね。この時期に水着を着る
生徒やバニー、メイドさんまで居ましたよ。
えっちですね。過酷ですね。ですが一番過激な
格好をしていたのは……」
「浦和ハナコって生徒だったね」
「ワイシャツ+水着は過酷すぎました。
思わず暖めるという程でホテルに連れ込む手前まで
いってしまいましたからね。あのままだと
理性が抑えられなくなるところでしたよ……」
「いつも理性なんてないような気がするけど」
「それもそうでしたね……ぶっ!?」
「?どうしたの?って……」
唐突に吹き出したベア先生の前に居るのは
可愛らしいホシノサンタと全身茶色のトナカイ風
パジャマを着た黒服。
「よwくwおwにwあwいwでwすwよw黒服www」
「……マダム、後で覚えておいてくださいね」
「その姿の黒服なんて忘れたくても脳に焼き付いて
離れませんよwwwファーwww」
「……ホシノ、ショットガンを貸してください。
そこのババアを撃ちます」
「ダメだよ!?せめて拳にして!」
「……冗談はさておきよく来てくれましたね。
ここまで大規模なパーティーが開催出来たのも
黒服とマエストロが生徒に興味を持ち学園に貢献
してくれた影響が1%くらいはありますので。
是非とも楽しみつつ可愛いコスプレを堪能する
夢のような時間を過ごしてくださいね」
「ホシノのコスプレだけで充分なのですが」
「ブレませんねぇ……」
ーーー
「パーティーに行かなくていいのか?」
『はい。私は先生と過ごせればそれだけで……』
「……相変わらず可愛い事を言うな……よし、
今日も二人で過ごすとするか」
『はい♪』
「ところで……その格好は何だ?」
『救護騎士団の子から借りました。聖夜を祝う服
なので是非と言われまして』
「そうか……」
『……あっ……そういう事ですか?』
「朝からすまないな……」
『私のせいで……こんなに大きく……』
「処理を頼めるだろうか……?」
『任せてください♡』
そんなこんなで俗世に染まったゲマトリア達と
彼らを慕う生徒達は聖夜を楽しく過ごしました。
シャーレの先生?それはもうお仕事ですよ。
ゴルコンダ?彼はプリン作りに勤しんでいます。
「それでは皆様。聖夜を満喫してくださいね」