「先生、書類確認終わったよ」
「ありがとうございます。では次にこちらの……」
結婚式を終えた後のアビドスはいつもと変わらぬ
日常を過ごしていた。強いて言うならホシノは
黒服の膝に座らず時々左手に輝く指輪を見て
うへへと笑うくらいだろうか。そんな二人を
当然のように窓から覗き見る後輩達。
「……おかしい」
「何がですか?」
「ホシノ先輩が黒服の膝に座ってないのよ。
結婚したんだから堂々と座っても良いじゃない」
「確かに……結婚した後の方が普段よりも
おとなしいような気がしますね」
「ん、私には理由が分かる」
「本当にシロコ先輩は普段から適当な事ばかり
言ってるイメージしかないんだけど」
「セリカ。メインヒロインを罵倒するなんて
炎上するよ。やめておくべき」
「メインヒロインって何よ」
「そのままの意味。それでホシノ先輩が黒服の
膝に座らないのは恥ずかしいからだよ」
「今更?」
「ん、恋をしたら意識というのは変わるもの」
「絶対適当な事言ってるよね?」
「あ、ホシノ先輩が黒服先生の膝に座りました」
「やっぱり適当じゃない」
「ん、そういう時もある」
「そういう時しかないんだけど?」
「……いえ、待ってください。あれは……」
「あー……だから座るのを躊躇っていたのね」
「黒服先生も男の人ですからね」
「ん、場所はわきまえるべき」
「シロコ先輩が遂にまともな事を言った!?
それはそれとしてあまりにも酷い絵面なんだけど
あれどうすればいいのよ」
「録画しましょう☆」
ーーー
「……もう。後輩達が来る前に気づけたから
いいけど……朝から大きくしてたらダメだよ?」
「私がこうなるようになってしまったのはホシノの
責任ですからね。いっそずっと膝に座ってくれても
構わないのですよ?」
「そ、それは……その……耐えられないから……」
「それは残念です」
「……でもいつかは……なんてね」
「今日がそのいつかの日ですよ。さあホシノ、
私の膝に座ってください」
「ちょっと欲望が強すぎない?そんな大きくしても
誘惑には乗らないからね」
「そう言いつつも膝に座ってくれるのですね」
「これは仕方ない事なの。皆に見つかる前に私が
処理してあげないと……」
「(既に見つかっているのですがね)」
ーーー
『皆久しぶり。あれ、入らないの?』
「あっユメ先輩。まだ入らない方が……」
『ホシノちゃんいるー?会いに来た……よ?』
「「あっ」」
『………』
「「「「あー……」」」」
『ま……まあ。お熱いのはいいと思うけど……
後輩達も見てるからあんまり熱中しない方が……』
「私とホシノの愛を見せつける分には構いません」
『黒服はそうかもしれないけどホシノちゃんの事も
考えてあげて。顔から煙が出てるから』
「おやおや。可愛いですね」
『もうダメだこの人』