例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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言ってしまったので仕方ない

「確かに私は何時間でも待つとは言った。だがな、

仮眠にしては長すぎではないだろうか?」

 

『三徹だと言っていたので仕方ないと思います』

 

「明らかに教師の数が足りていない証拠だな……

連邦生徒会は何をやっているのだろうか……」

 

『あんまり頼りにならないですよね、連邦生徒会』

 

「それに関しては触れにくいな……ところでユメ、

その先生だが……」

 

『はい、私の世界にも居ましたよ』

 

「そうか……」

 

『……もしかして私が昔の事を思い出して辛く

なったりしてるとか考えていますか?大丈夫です。

この先生は私の知る人と似ている別人だって

割り切れているので問題ありませんよ』

 

「それならいいが……ユメは心が強いな」

 

『マエストロ先生が私の心を支えてくれている

おかげですよ。貴方が居なかったら……私はまだ

過去に囚われていたと思います』

 

「私はただ家に泊めただけなのだが……」

 

「……あの。イチャつかないでもらえますか?

それよりも現状をどうするかをですね……」

 

『……それもそうだね。あの……先生は先程

私の事を元に戻すって言ってましたけど……』

 

「あ、ああ。その姿も美しいとは思うが神秘が

反転した状態だろう。早めに治しておくに越した

事はないと思ってな。……しかし研究の進展が

殆どなくて行き詰まっていたのだ。他の世界なら

戻す手掛かりがあるのかもしれないと考えた」

 

『そこまで私の事を考えて……?』

 

「ユメの笑顔の為だからな」

 

『先生……』

 

「……だからイチャつかないでもらえますか?

さっさとそこで寝ている先生の記憶でも何でも

読み取って行動しましょう」

 

「今良いところなのだが……仕方ない。記憶を

読み取る装置ならこの前エンジニア部が押し付けて

きたので所持はしているが……」

 

『……都合がいいですね』

 

「まあな。では試しに読み取ってみよう」

 

よく分からない装置を寝ている先生にぶっ刺して

記憶を可視化してみると6つのファイルが目の前に

並ばれる。それぞれのタイトルには

『対策委員会』

『時計じかけの花のパヴァーヌ』

『エデン条約』

『カルバノグの兎』

『あまねく奇跡の始発点』

『空白』

という文字が刻まれており先生が歩んだ軌跡の蒼き

記録として表示されていた。どれも気になるもの

ばかりだがこの中から情報を探すのは時間が掛かり

そうだ。ひとまずは記録をコピーして端末に移し

ぶっ刺した装置を起きない程度に引き抜いた。

若干血が出ているようにも見えなくはないが些細な

傷なので放置する事にする。

 

『……それはダメだと思います』

 

「何故私の心が読めるのだ」

 

『愛の力です』

 

「それなら仕方ないな」

 

「隙あらばイチャつくのをやめてください。口内に

砂糖が生成されるんですよ」

 

「すまない」

 

『……何か手掛かりは見つかりましたか?』

 

「それはこれから確認する。……とはいえ中々に

量があるので時間が掛かりそうだが……」

 

「では私が解読しますね。これでも高性能AIなので

その程度ならば数分で出来ます」

 

「分かった。ケイに任せよう」

 

「解読を始めます。……成程。この世界の母と父は

そういう出会いを……天童アリス……王女……

これはあの時の淑女?……SRTが閉鎖している……

シロコ*テラー……箱舟が実在……クズノハ……

これは……見つかりましたよ」

 

「随分と早いな。早速教えてくれ」

 

「記録の中にある台詞を再生します」

 

『色彩』によって反転した者を元に戻す方法など

存在せぬ

其れは……死者が生き返らないのと同様に。

この世界の絶対的なルールである。

だがそれでも……助けたい者が居ると申すのなら、

妾を訪ねてくりゃれ

 

「そのクズノハという人物に接触すればユメを

治すことが出来るのか?そいつは何処にいる?」

 

「記録の中の景色から参照するに百鬼夜行の自治区

にいる可能性が高そうです」

 

「そうか……百鬼夜行……行く価値はありそうだ。

今すぐにでも向かうとしよう」

 

「構いませんが……先生を放置して行って大丈夫

でしょうか?襲われたりしませんか?」

 

「……ケイに任せてもいいか?」

 

「……百鬼夜行でイチャつきませんよね?」

 

「善処する」

 

『多分大丈夫だよ』

 

「私は今貴方達を信用する事が出来ません」




その頃の黒服はというと

「さあ出来上がりましたよ。ホシノの不足している
栄養素を全て賄える食事です」

「く……黒服が料理?毒入ってない?」

「大丈夫だよ〜先生は毒は入れないから」

「それなら安心……え待って毒『は』って事は
何かは入ってるの!?」

「失礼な。愛情しか混ぜていませんよ」

「うへーこの黒服やっぱ気持ち悪い……」

アビドスの寂れた食堂で料理を振る舞っていた。
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