例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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取り残された先生

遠方から聞こえる喧騒の声で仮眠から目が覚めた。

寝起きで思考が回っていない中腕時計を見ると

仮眠し始めてから数時間が経過していた。

 

「ようやく起きましたか」

 

声のする方を向くとそこには小柄な少女が居る。

思わず魅入ってしまうような美しい瞳、そして

床につきそうになるほどに長い黒髪。そう、彼女は

ゲーム開発部に所属している天童アリスだ。

最近メイド勇者にジョブチェンジしてシャーレ内を

好き勝手に暴れているあのアリスだ。またお時間を

いただきに来たのだろうか?

 

「私はケイです。アリスではありません」

 

そっかケイか……

 

「"ケイ!?"」

 

「うわいきなり大声を出さないでください」

 

「"ケイ!?ケイナンデ!?"」

 

「説明が面倒なので寝る前の記憶を思い出して

くれませんか?ただえさえ今面倒な状況になって

いるのですから……」

 

「"……ああ!マエストロが連れてきたケイかな。

それで面倒な事って?"」

 

「仮眠室から出ればすぐに分かりますよ」

 

「"そうなの?確かに私が起きたのは喧騒の影響も

あったけど仮眠していただけで面倒な状況に

なるなんて事は起こらないと思うけど……"」

 

そう扉を開けるまでは疑っていたが扉の先にあった

光景は確かに面倒の一言で済ませたくなる気持ちも

分かってしまうほどに混沌としていた。

 

「で、ですから私はただ本日当番だったので先生に

挨拶をしようとしまして……」

 

「ん、違う。月曜の当番は私。それに寝ている先生

を襲おうとしていたのは例えアヤネでも許せない」

 

「それについては同感だけど今日の当番って私が

担当する筈なんだけど?先週の金曜日に労いの

言葉をかけにいったら「"月曜にも来て欲しい"」

って言われたからさ。まあ?先生が襲われる前に

間に合ったからいいけど」

 

「ん、そっちが襲おうとしてた」

 

「いいやあんた達の方こそ先生が寝ているのを

いい事に襲おうとしてた」

 

今日の当番を任せていたアヤネと何故か居る

シロコとカズサが言い争いをしていた。確かに

月曜にも来て欲しいと言ったけれどそれは

仕事終わりに来て欲しいという意味であり……

シロコに至ってはなんでいるんだろう?先週で

時間をもらうのは最終回って言ってたのに。

 

「あ、ケイ!観念してください!アリスはケイに

言いたい事が100個ほどあるのです!」

 

「……まあ、そういう事ですので後始末は先生、

あなたに任せますね」

 

「"そっかぁ……うーん……"」

 

「ん、発情期の猫は黙って帰るべき」

 

「はあ?発情していませんけど?むしろあんたの

ような見境なく先生を襲おうとしている奴らから

守ってるんだけど?」

 

「ん、なら決闘して勝った方が正義」

 

「はあ、面倒だけど先生の為なら仕方ないかな」

 

「"微笑ましいなぁ。あ、少女忍法帖ミチルっちが

更新されてる。これを見てから止めようかな"」

 

二人の争いの影響で仮眠前まで作成していた

書類が吹き飛ばされたのを見た先生は現実逃避を

してしまった。徹夜をして作業をしていたものが

理不尽にも吹き飛んでしまったので仕方ない。




ミチルっち街歩き編
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