「百鬼夜行とは観光業が盛んな自治区でして。
先程の喫茶店もその内の一つですのよ」
「飲めていないがそうなのだな」
『テイクアウト用に移してもらったので後で
飲ませてあげますね』
「ああ助かる」
「この辺りは飲食店が多い通りになってますの。
食べ歩きが出来るものからはんぐりーな方に
おすすめの大盛り料理など……多種多様な品が
揃っているのですわ」
「……確かに私の知らない料理が並んでいるな。
あの一杯20万とかいう恐ろしい飲み物といい
観光客に優しいとは思えない値段だが……」
『金色の飲み物なんて趣味悪いですね』
「あれはあまり美味しくないのであまりおすすめ
出来ませんわ。この辺りでハズレがないものは
やはり甘味ですわね。老舗の店で販売している
みらくる2000なるものは即日完売する程に人気
の甘味ですわよ」
『ミラクル2000……?』
「トリニティの生徒が話していたのを聞いた事が
ある気がするが……ここにも売っていたのか」
「あとは……今は閉鎖しておりますが最近まで
人気だったいなり寿司屋がありましたの。確か
名前は『ふぉっくすいーつ』というもので……」
「狐か……安直すぎる気もするが」
『いなり寿司……』
「どうしたユメ」
『えっあっ……少しお腹が空いてしまって……
お恥ずかしい限りです……』
「恥ずかしがる事はない。シャーレからここまで
歩いてきたのだから当然だろう」
「……少し待っていてくださいまし。身共が今
手軽に食べれるものを探しに行きますわ!」
『気持ちは嬉しいけど案内の後で大丈夫だよ』
「そうですの?では次の場所に案内しますわ」
『うん、お願い』
「……本当に大丈夫か?」
『はい。後で沢山食べますので』
「そうか」
ーーー
「お次は観光名所が多い通りですわ。昔の武士が
住んでいたとされる城やこちらの劇場では陰陽部の
あいどると呼ばれる方が催し物を定期的に開催して
いるのですわ。……いつも最前列に金色の狐が居る
と言われておりますが……」
「金色の狐?セイアの事か?」
『セイアちゃん、百鬼夜行に来てるんだね。今度
誘ってみようかな……』
「あと……たまにですが忍術研究部なるえりーと
集団が配信を行っているとも噂されております」
『忍術研究部……陰陽部といい百鬼夜行はなんか
面白い名前の部活が多いんだね』
「ユカリは何の部活に入っているんだ?」
「身共はひゃっ……」
「ひゃっ?」
「ああ、ええっと……」
『何か言えない事情があるなら無理して言わなく
てもいいよ』
「申し訳ありませんわ……」
「訳ありなら仕方ないな。……そろそろ日が暮れて
来る頃か。宿屋のような施設を案内して貰えると
助かるのだが」
「はい、身共が案内します!」
「助かる」
『……そういえば鳥居のある場所への案内は……』
「今はいい。だがそれよりもユカリは一体何者なの
だろうか……宿に着いたらあいつに聞いてみるか」
ーーー
「こちらですわ!百鬼夜行が誇る大樹の側に建つ
温泉旅館『都』ですの。今夜は是非こちらでお休み
くださいませ。では身共はこれで失礼致しますわ」
「ああ。夜遅くまで助かったぞ」
『ユカリちゃん、またね』
「ええ!またお会いしましょう!」
『……先生、ユカリちゃんと別れて良かったの
でしょうか……何か悩みを抱えていましたよ』
「あまり深く干渉するのもどうかと思ってな。
私達はこの世界の人間ではないのだぞ」
『それはそうですけど……』
「ユメが言いたい事も分からなくもない。
だが私達の目的はあくまでクズノハという人物を
探す事だからな。それを忘れないでくれ」
『……はい』
「……だが縁は大事にするべきだと思う。もし
ユカリが私達を頼ってきたのであればその時は
応えてやろうではないか」
『……そうですね。それまでは私達自身の目的に
集中しましょう』
その頃 シャーレにて
「"急いでニアの所に行かなきゃ!!"」
「何故私まであなたについて行かないといけないのですか。ただでさえ
アリスによく分からない事を100個言われて疲弊しているのに」
「"マエストロが百鬼夜行に居るんでしょ?なら
話を聞かないといけないからね"」
「はぁ……面倒ですね」
こんな感じで百鬼に向かっていましたとさ