例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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自分にだからこそ

「ではホシノ、ホシノを頼みましたよ」

 

「任せて。絶対に夜の見回りに行かせないから」

 

「……別にここまでしなくても行かないよ」

 

「いいえ貴女はいつも一人で抱え込んでしまい

その結果無理をしています。小鳥遊ホシノと

寄り添った私が言うのですから間違いないです」

 

「それは私じゃなくてそっちの……はぁ、

これ以上反論しても無駄だって分かったから

大人しく寝るよ。それでいいんでしょ?」

 

「賢明な判断ですね。それでは私は失礼致します。

余ったエビを水槽に放り込む作業があるので」

 

「8000匹なんて持ってくるからだよ」

 

「私の先生がごめんね」

 

「……ま、悪い事をしないならいいんだけどね。

今日一日中余計な事しかしていないけどあの黒服に

悪意がないのは伝わってきたからさ。まあ、

余計な事しかしてないんだけど」

 

「私が潜在意識の中で先生と『お話』してから

時々暴走するようになっちゃって……」

 

「そっかぁ……ん、潜在意識?」

 

「そうそう。今でこそ私大好き!な感じだけど

ちょっと前までずっと先生は堅物でさ。何とか

振り向かせる事が出来て結婚したんだけど……」

 

「うへぇ怖いよー倫理観壊れちゃってるって」

 

「そうなのかな……そうかも……」

 

「というかどうして黒服なんてゲテモノを好きに

なったの?天地がひっくり返ってもあり得ない

事だと思うんだけど。脳破壊案件だよ?」

 

「脳破壊って……大袈裟じゃない?」

 

「実験とかされたでしょ?カイザーPMCと

手を組んで騙してきたよね?なのに……」

 

「えっ先生は誘拐された私を助けに来てくれて

カイザーとは敵対してたよ?」

 

「え?」

 

「……一から話した方がいいかな」

 

ーーー

 

「……みたいな感じで助けられたんだよ」

 

「そっか……黒服が心の支えにね……確かにあの

時期に接触されたらそうなるのも仕方ないのかも」

 

「そっちの先生は本当に悪い大人なんだね……

警戒してる理由が何となく分かったかも……」

 

「……まああの黒服は貴女の話を聞いた上でも

ちょっと気持ち悪いかも」

 

「えぇー酷いよー私の旦那様なんだよ?」

 

「ごめんね。でも不思議だね。同じホシノなのに

歩んだ歴史が違うなんて。私も先生と……」

 

「この世界の先生ってシャーレの?もしかして……

そういう事なの?」

 

「……うん。先生は私が信用出来る唯一の大人で

アビドスの後輩達と同じくらい大事な人なの。

そっちの黒服と比べて過ごした時間は短いけど、

先生は私にとって大切な人なんだよ」

 

「そっか。貴女の恋が実る事を応援してるね」

 

「うへへ、ありがと」

 

「ねえ、今度はそっちの話を聞かせてよ」

 

「いいよーでも何処から話そうかな……あっ、

最近の話なんだけどね」

 

「へえ……シャーレに新年の挨拶とこたつを

持ち込んで先生と添い寝を?」

 

ーーー

 

「……これで入れ終わりましたね」

 

暗闇に包まれた校舎に設置された水槽内にエビを

放り込む作業を終わらせた怪しい大人。一息

ついて休息していると遠方から足音が聞こえる。

 

「誰ですか?」

 

「私だ」

 

声のする方向に居たのは正面を向いた絵画を顔を

隠すように持っている人物。それは面識はあるが

かなり過激な性格であり極力関わりたくない存在

 

「……フランシス」

 

「初めまして、か?黒服……いや、この作品では

『主人公』と呼ぶべきだろうか」

 

「相変わらず理解し難い発言をしていますね……

それよりも何故貴方が居るのですか?」

 

「『先生』という役を与えられたお前に僅かに

興味を持ったに過ぎない。だが接触して理解した。

堕落したお前に価値はなく凡人に成り下がって

いる事をな」

 

「………」

 

「同じゲマトリアとしての選別だ。受け取れ」

 

「これは……」

 

「『ヘイローを壊す爆弾』、ゴルコンダが開発した

搾取を行う為に効率の良い品物だ。もし凡人から

元の地位に戻りたくなったら使うといい」

 

フランシスはそれを言い終えると影のように消え、

彼がこの場に存在していた証拠といえるものは

手元にある爆弾だけであった。

 

「ヘイローを壊す爆弾……このようなもので脅し

生徒から搾取をする……悪い大人としてはそれが

一番理想的なのかもしれませんね。ですが……」

 

今の自分は教師だ。搾取をする必要もない。

凡人と呼ぶなら好きにするといい。この道は誰にも

否定される筋合いはないのだ。

 

「……しかしこの爆弾の構造を理解できれば……

時間がある時にでも研究するとしましょう」

 

……やはり彼は研究者でもあるようだ。

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