「参ったな。まさかこんな結果になるとは……」
ユメとケイ、二人と別れたマエストロは一人で
自治区内を歩きクズノハに関する情報を集めようと
尋ねて回ったものの……
『すいません、今はお祭りの準備で忙しくて……』
『すまねえな兄ちゃん、後にしてくれないか?』
……のように誰も話を聞いてくれないのだ。
昨日ユカリから聞いた通り特別な祭りだとは
聞いていたが皆がここまで本気で取り組んでいる
とは想定外だった。いっそのこと祭りが終わり
ある程度収まった後に訪ね回った方が良いのでは
ないかとまで考え始める始末だ。まさか糸口すら
掴めないなんて誰が想像できただろうか?これなら
自室で研究を続けていた方がまだ進歩があったかも
しれないとまで思えてくる。
「鳥居のような建築物はいくつか確認出来たが……
私が探しているものではなかったな。……せめて
百鬼夜行に詳しい知り合いでも居れば良いのだが
生憎そのような……いや、あれに連絡するのは気が
ひけるな……しかし背に腹は変えられないか……
そもそもあいつに繋がるのか分からないが……」
端末の通話履歴から参照してとある人物に電話を
かけた。呼び出し音が鳴り始めて10秒程経過した後
『はい、こちら皆のお母さんです』と明らかに
怪しい応答があった。本来であれば間違い電話と
切り捨てたいが今回はそうもいかない。
「マダム、朝からすまないな」
『……あ?マエストロですか。てっきり生徒からの
連絡だと思って心が昂っていたと言うのに』
「相変わらずで助かる。生徒に関する相談が……」
『それならそうと早くいいなさい全く貴方という人
は物事を伝えるのが下手ですねまあいいですけど!
それでどのような内容なのです?』
「急に早口になったな……まあいい。実は今
百鬼夜行連合学院の自治区内に訪れていてな」
『何ですって?あの和装束の可愛い生徒達が居る
夢の楽園と言われている百鬼夜行の自治区に?』
「確かに和装束の生徒は多いがそこは重要ではなく
私が聞きたいのは……」
『分かっています。あれですよね?修行部の衣装を
ユメに着せたいと。そう仰りたいんですね?』
「すまない真面目な話なのでちゃんと聞いてくれ」
『……それは失礼しました。では改めて内容を
お聞きしてもよろしいですか?』
「ああ。私が百鬼夜行に来た理由はクズノハという
人物を探す為なのだ。接触する事てユメを元に戻す
手がかりが掴めるかもしれない」
『ユメを元に戻す……つまりテラー化を治す方法を
そのクズノハという人物が知っていると?何処で
そのような情報を知ったのです?』
「それはだな……端的に話すとするなら……
昔こちらの世界に訪れたホシノに会いに行き結婚の
報告をする予定の黒服達についていき、シャーレに
向かい三徹で疲弊した先生の記憶を読み取ってその
クズノハという人物がもし反転した生徒を元に戻し
たいと言うのなら尋ねてくれと言っていた記憶を
見つけた、という感じだな」
『3行でまとめてくれませんか?』
「もう一人のホシノの世界に行く。
疲れて眠ったシャーレの先生の記憶を読み取る
クズノハという生徒がユメを治す鍵を握っている」
『なるほど……大体把握しました。ですが一つ
気になった事があるのですが……』
「どうした?」
『シャーレの先生に恐怖に染まった生徒を治す方法
の記憶があるという事はですよ?そっちの世界にも
『恐怖に染まった生徒』が存在しているのでは?と
思いましてね』
「生徒の事に関しては頭の回転が早いな。マダムの
言う通りこちらの世界にも存在しているようだ。
奇しくもユメと同じアビドスの生徒がな……」
『……尚更そのクズノハに接触しなければいけない
ようですね。分かりました。こちらでも今から
調べ始めますね』
「助かる。では吉報を期待してい……」
「見つけましたわ〜!!」
「うおっ!?」
『マエストロ!?何かそちらの方で大きな物音が
聞こえましたが大丈夫ですか!?』
「あ、ああ。大丈夫だ。では連絡を待っている」
『分かりました』
「……あら?電話中でしたの?では身共は離れて
お待ちしております」
「気にしないでくれ。今ちょうど終わった」
「そうですのね!では先生、身共についてきて
くださるかしら!」
「構わないが……何処にだ?」
「陰陽部の部室ですわ!さあ行きますわよ!」
「あ、おい引っ張るな!スーツが伸びてしまう!」
「時間は有限ですのよ!さあ、さあ!」
「分かった!分かったから離してくれ!」
じゃじゃ馬のようなユカリに振り回される芸術家。
何故か陰陽部に一緒に行く流れになっているが
現状行き詰まっていた事ユカリの圧が強く
断りづらい雰囲気があったので大人しくついて
行く事にした。
まだ百花繚乱編の3.4話辺りまでしか進んでいない事実
やりたい展開が多すぎるのです