とても嫌な夢を見た。後輩が、友達が、先生が私を残して消えてしまう夢。1人、また1人と居なくなっていくにつれて私の心が壊れていき、また孤独になった。賑やかだった教室も静寂に包まれている。砂にまみれた机には後輩達の学生証と行方不明と書かれた捜索依頼書が置かれていた。夢の中にいる私は完全に諦めており一本の縄を天井に括り付けて椅子を足場に用意して「もう…疲れちゃったよ」と呟いたのを覚えている。そのまま首に縄を…
ホシノ「っ?!」
目が覚めた時に全身に冷や汗をかいていた。
鳥肌が立ち呼吸も荒い。今の周りに大切なものがある自分に孤独は恐怖でしかなかった。
ホシノ「………」
時刻は午前4時。とても二度寝できる気分じゃなく気がついたら制服に着替えて夜の学校に来ていた。
ホシノ「……どうして来ちゃったんだろうね」
誰もいるはずがない校舎に入ると夢の中で感じたように静かだった。月明かりが照らす廊下に自分の足音が響いている。
ホシノ「……1人は寂しいな」
不意に出た本音。朝まで誰も来ないであろう学校を散歩しながらそう呟いた。
ホシノ「(あれ…?あの教室電気がついてる…)」
昨日消し忘れたかな…無駄に電気代がかさんじゃう…そんな事を思いながら近づくと物音がした。話し声も聴こえてくる。
ホシノ「(この学校に泥棒?…理由はどうであれ制裁しないと)」
静かにショットガンを構えて近づき2人いる泥棒のうち1人の背中に突きつけながら
ホシノ「こんな夜中に泥棒なんて頑張ってるねぇ。でも窃盗は人間としてダメだよねー」
なんて冗談を交えながらも威圧する。
泥棒?「まさか貴女がこんなに早く登校するとは驚きましたよ」
ホシノ「…その声は」
黒服「私ですよ。まさかまたホシノに銃口を向けられるとは思いませんでした」
アヤネ「やっぱり皆には連絡してからの方が良かったんじゃ…」
ホシノ「えぇー?もう1人はアヤネちゃんだったの〜?」
アヤネ「その…実はですね…」
アヤネちゃんが言うには倉庫内のガラクタ達も修理をすればある程度の金額にはなる、との事なので先生と一緒に倉庫のガラクタ漁りをしていたらしい。夜中にやっていた理由としては良いガラクタを見つけては修理してを繰り返していたらこの時間になっていたそう。しかし私にとってはそんな理由はどうでもよくて、先程みた光景が夢であると確信出来た事で安心してしまった。自分に残っているものがまだあると。
アヤネ「……との事ですので泥棒とかでは……ホシノ先輩?」
ホシノ「………」
黒服「……寝ていますね。何故学校に来たのかは起きてから聞くとして仮眠室に運んできます。アヤネもそのガラクタの修理が終わったら仮眠をとってくださいね」
アヤネ「分かりました」
ーーー
ホシノ「(あったかいなぁ…)」
黒服「……起きているんでしょう?ヘイローが見えてますよ」
ホシノ「うへぇ…バレちゃったかぁ」
黒服「それで何があったんです?」
ホシノ「何にもないよ〜?ただ早く登校しちゃっただけで…」
黒服「大方孤独に耐えられなかった、というところでしょう。長い付き合いですから分かりますよ」
ホシノ「………」
黒服「残念ながら私と…ノノミ達は貴女を1人にはさせませんからね。遠くにいる貴女の友人も同じようにするでしょう」
ホシノ「……そっか。うん、そうだね」
意識をしていなかったけれど随分と大切なものが増えている。夢の中では全て失ってしまっていたけれど…今の私なら大切なものを守れる。そう思った時に自分の内側にあった恐怖は自然と無くなって清々しい気分になっていた。
ホシノ「人生何が起こるか分からないねぇ…」
黒服「悟った事を言ってないで早く寝なさい。8時には起こしますからね」
ホシノ「えー…せめて9時まで寝たいよ…」
黒服「これ以上貴女を甘やかすとセリカに怒られますからね」
ホシノ「厳しいなぁ…」
先生が仮眠室から出て行った後、ゆっくりと瞼を閉じるとさっきまでの孤独感が嘘のように満たされた状態で眠りについた。
起きたら皆と何をしよう。そんな想像をしながら。
そろそろ物語を動かそうと思います。