正直他の方々と違い一つの文字数が少ないので
中身が少ないですが続いてます。
今後も細々と続けさせていただきたいと思います
「………」
つい勢いだけで百鬼夜行に来てしまったものの……
本当に居るのかはまだ分からない。昨日後輩に見せて
もらった生配信の映像の中によく知る人物の後ろ姿が
映っていたのだ。助けられなかった未練が見せた幻覚
という可能性と充分にあるがそれでも百鬼夜行に
来てしまったのだから探してみよう。映像に映った
木の人形のような存在と亡くなった筈の先輩を。
もしかつての自分のように悪い大人に利用されて
いるのなら助けたい。昔の自分は助けられなかった
けれど今の自分なら……
「……それに今ならアビドスに気持ち悪い黒服と
もう一人の私が居るから何か問題が起きても大丈夫
だと思うし……とりあえず地道に探して……」
自治区内で聞き込みをしようとしたが突如携帯電話
が鳴った。着信先を確認してみると『黒服』と
書かれており数秒拒否しようか迷ってしまったが
渋々電話をとる事にした。
「……何?」
『おはようございます、ホシノ。朝早くから遠出を
しているようですが急用でもありましたか?』
「ちょっと人探しをしているだけ」
『そうでしたか。貴女程の実力があればある程度
自衛は出来ると思いますので気の済むまで留守に
していてもこちらは問題ありません』
「……やっぱり優しい黒服って気持ち悪いね。
でもありがとう。なるべく早く戻るって皆に
伝えておいて」
『分かりました。……ところでホシノ、貴女今朝
朝食を食べていませんよね?端末に周辺の食事処
一覧とホシノのカードに10万クレジットを追加
しておきましたので食べてくださいね』
「そこまでしてもらう義理はな……うわ本当に
クレジット追加されてる。過保護すぎない?
何が黒服をそんな風にさせているの?」
『私なりの応援ですよ。世界は違えど私はホシノ
という存在を約二年程見てきましたので。貴女の
性格もある程度把握しているつもりです。誰にも
相談出来ない悩みを抱えている事なんて昨日の
うちにお見通しでしたよ』
「観察眼が鋭いっていうか気持ち悪い……」
『……まあいいでしょう。気持ち悪いと言われる
事には慣れてしまいましたので。とにかく身体を
壊さない程度に過ごしてくださいね』
「そう簡単に壊れないよ。最大の神秘らしいし」
『……確かにそうですね。ですがそれ以前に
ホシノ、貴女は一人の人間です。貴女が無理を
すれば悲しむ人がいる事をお忘れなく』
「……本当に気持ち悪い黒服。だけど一理あるね。
分かった、無理はしないって約束する」
『ご理解いただけたようで何よりです。ですので
30分おきに連絡をしていただいて問題がないと
お伝えしてもら……』
「面倒だから切るね」
半ば強引に電話を切って少しだけ緊張がほぐれて
心に余裕が持てている事を感じた。あんな人でも
気にかけてくれるだけでありがたいのだと思い
立ち止まっていた足を動かし始めた。
「次はあちらに参りますわよー!!」
……突然遠くからそんな声が聞こえた。どうやら
百鬼夜行には元気のあるお嬢様口調の子が存在
しているらしい。……なんて何処にでも居るね。
そんな風に頭の中で考えていた時、視界に入って
きたのはそのお嬢様?のような少女に手を引かれ
焦っているようにも見えるスーツを着た木の人形
だった。……木の人形?
「……あれって映像に映っていた木の人形だよね。
まさかこんなに早く手掛かりが見つかるなんて」
既に走り去ってしまったお嬢様とその人形。
心の中で黒服に謝罪しつつも朝食を食べる事を放棄
して二人を追う事にした。
ーーー
「さあ継承戦を開催する為に駆け回りますわよ!」
「それはいいのだが何故私は引きずられなければ
ならないのだろうか。スーツが汚れてしまうぞ」
「この方が移動効率が良いからですわ!それに
男性は尻に敷かれるのがお好きなのだとこの前
書物で目にしたのです!」
「なんだその偏った知識は……それは本当に
意味を理解して発言しているのか?」
「こういうものはふぃ〜りんぐで動くべきだと
書物に書かれていましたの!!」
「純粋なのか馬鹿なのか分からないな……」
「……先生、今気づいた事があるのですが……
身共達、誰かに追われていますわ」
「どうした急に。まさか今朝私と合流する前に
悪事でも働いたのか?自首は早めにした方がいい」
「悪事など働いていませんわ!?むしろ正義側の
行いをしているだけですの!!」
「正義の行いというのも捉え方によっては悪と
変わらないのだ」
「今はそんな哲学的な話をではなく単純に身共の
使用人が追いかけてきているだけだと思います。
今朝も半ば強引に家を抜け出してきたので!」
「そうか、ユカリは名家のお嬢様だったな。
だが私の目的の為にも捕まらせる訳には
いかないのでな。これを使わせてもらおう」
「流石先生ですわ!打開策を持っているのですね!
早く使ってくださいまし!」
「これを生徒に使うのは極力避けて起きたかったが
致し方あるまい……」
ーーー
「木の人形と紫髪の子はこっちに……」
「はぁ〜!?なんですのこのクソゲーは!?
台パン不可避ですわ〜!!」
「うわぁ……」
「ああ?何ですの?見せ物じゃねえですわよ!!
しばきまわしてやりますわゴルァ!!」
「百鬼夜行の子達ってあの狐ちゃんといい何で
変なのしか居ないんだろう。……ねえ、一つ
聞いてもいい?さっきまで一緒にいた木の人形
みたいな人って何処に行ったの?」
「私に質問するなぁー!?」
「えぇ……」
ーーー
「……どうやら追っ手と距離を離せたよう
ですわね。先生、先程は何をしましたの?」
「ユカリを複製した」
「みめしす?って何ですの?」
「分かりやすくいうならあらゆるものを複製
出来る便利なものだ」
「あらゆるものを……なるほど!通りで身共の
ような人影が突然現れたのですわね!」
「中身は出来損ないだがな。偶然にも見た目は
完璧に複製出来たので時間は稼げるだろう」
「……先生というのは不思議な能力を持って
いるのですわね。……はっ!まさか妖の類い
ですの!?であればここで祓うべきでは……」
「間違ってはいないがやめてくれ」
「そうですわね!先生に継承戦の立ち会いを
お願いしなければなりませんので!それに先生
が悪い人ではない事は既に理解してますわ!」
「私は悪い大人だぞ」
「説得力が微塵もありませんわね」
「そうなのか……理由を聞いてもいいか?」
「理由ですの?だって先生は身共と出会ってから
何か悪い事をした訳ではありませんし見た目も……
とにかく先生は良い人ですので!!」
「見た目はどうした見た目は。おい目を逸らすな
こちらを見て話せ」
「……それよりも先を急ぎましょう!使用人に
追いつかれる前に!さあ!さあ!」
「……いや。残念ながら追いつかれてしまった
ようだ。ユカリの使用人は随分と足が速いのだな」
「いえ、知らないお方ですわよ」
「ならば私の背後に誰がいると言うのだ?」
「私です」
「ああケイだったか。ユメはどうした?」
「角煮まんを食べてから戻るとの事です。一応
対象と接触、捕獲に成功しました」
「そうか。言い方は気になるがよくやってくれた。
疲れているだろう、先に宿に戻って休むといい」
「そうさせてもらいます。……それと警戒して
ください。『この世界の小鳥遊ホシノ』が貴方と
接触しようとしています。父曰く
「見つかったら面倒なので頑張ってください」
との事です」
「丸投げじゃないか……まさかさっきの追っ手が
ホシノだったのか?だが見つかったところで特に
デメリットはないと思うが」
「仮にこの世界の母がユメと接触してしまった
場合、99%の確率で依存、あるいは精神的に
ダメージを負ってしまい大変な事になる可能性
が高いです。なので接触するのは何としても
避けなければいけません」
「黒服よ、面倒で済ませてはいけないようだが?
ホシノに見つからずに継承戦に立ち会って
クズノハと接触する……かなり至難だが」
「まあ……頑張ってください」
「嗚呼、何故薄情な人間しかいないのか……」
「えっと……身共は先生の味方ですわ!」
「ユカリ……なんて良い生徒なのだ……」
ユカリの継承戦を見届ける
クズノハに出会う
ホシノに見つからないように行動する←NEW!!
頑張れマエストロ!負けるなマエストロ!
おまけ 電話を切られた黒服
「あれ、先生もう電話切っちゃったの?」
「いえ、面倒だからと切られてしまいました。
30分おきに連絡して安全を知らせてほしいと
頼んだだけなのですが……」
「メンヘラとかヤンデレみたいな事言ってるね」
「そのようなつもりは……私はただホシノの安否
を定期的に確認しておきたいだけで……」
「本当にホシノ先輩の事が好きなんですね〜♣︎」
「ん、気持ち悪い」
「正直引くわ」
「ほ、ホシノ先輩の事を考えて頂けているのは
伝わってきますのて……」
「……ホシノ。私は何故このような扱いを皆に
されなければいけないのでしょうか?」
「えっと……私は先生の事大好きだよ」
「嬉しいですが答えになっていません」
「……やっぱりホシノ先輩が黒服の事を好きって
言ってるのは受け入れられないわね」
「惚れ薬でも飲ませたのでしょうか?」
「ん、姑息」
「ま、まだそうと決まった訳ではありませんよ」
「………」
拝啓。この世界の黒服へ。貴方が何をやらかした
のかは知りませんが貴方の行いのせいで私の扱い
が散々なものになっております。この報いは必ず
受けさせるので覚悟しておいてください。足腰が
立たなくなるくらいに過酷な拷問をしますので
よろしくお願いします。
「先生いきなり詠唱みたいなの始めてどうしたの」
「何故聞こえているのですか?」
「愛の力だよ」
「それなら納得です」