ホシノに見つからずにユカリに継承戦を勝利させ
クズノハに会う
「無理難題にも程があるだろう!!」
「急に叫んでどうしたんですの!?」
「何でもない」
「そのてんしょんの落差は怖いですわ。
とにかくそのホシノさんという方に出会う事なく
継承戦を見届けてもらえばいいのですわ!」
「言うのは簡単だがな……」
「過去よりも未来、つまりふゅ〜ちゃ〜に向かって
歩むべきだと思いませんか!先生たるもの足を
止めてしまうのはダメですわよ!」
「未来か……そうだな。行くとしよう」
「ええ!偶然にもそこの角を右に曲がると花屋……
いえ、百花繚乱の幹部であるレンゲ先輩の家がある
住宅地がありますの」
「どうやら風向きは良いようだな。ホシノに接近
される前にそのレンゲとやらに接触するとしよう」
ーーー
「……あの、先生。この紙を……」
「ああ……は?」
ユカリから手渡された手紙には……
『アタシに用があるヤツへ。
青春を取り戻す旅に行ってくる!
しばらく帰ってくる予定は無い!』
と書いてあった。
「……一難去ってまた一難といったところか」
「困りましたわぁー!!」
「中々上手くいかないものだな……それとユカリ、
今更だがもう少し声を抑えてくれないか?
その声量だとホシノに気づかれる可能性が高い」
「それは失礼しましたわ。……ですがホシノさん
という方はどれほどの実力者なのでしょうか?
先生の話ですと強いお方なのは間違いないとは
思うのですがいまいち把握出来なくて……」
「そうだな……私の知るホシノは……いや待て、
何故かあいつのにやけ面が連想されてしまう。
出てくるな黒服貴様は今呼んでいない」
「黒服とは誰の事ですの?」
「ホシノの夫だ。それはともかく強さは……」
「……んん?ちょっとお待ちください。先生、
ホシノさんは成人しているお方ですの?既に結婚
していると言っているように聞こえましたが」
「ああ。私の知るホシノは結婚している。だが今
こちらに来ているホシノは……」
「でしたらご挨拶に行かないといけませんわ!」
「おい待て何を言っているんだ」
「結婚しているのでしょう?ならば祝福の言葉を
届けに行かねばなりませんわ!永遠を誓い合い
絆を結んで生涯添い遂げるなんてとても素晴らしい
事ですもの!」
「頼む話を聞いてくれ。今来ているホシノは結婚
していないホシノなのだ。だから祝福の言葉を
届ける必要はない」
「?ホシノさんは結婚しているのでしょう?」
「ああ、している」
「でも今来ているホシノさんは結婚していない?」
「そうだ」
「……まさか」
「そう、他の世界から来たホシノがけっこ」
「バツイチですの〜!?」
「……しまったそうなるのか。感覚が麻痺して
気づいていなかったが普通は他の世界から来た
なんて言われたところで理解できる筈もない。
私は余計な事を言ってしまったようだ……」
「では慰めの言葉を伝えに……」
「待て、待ってくれ。私達は他に優先するべき
事があるだろう?慰めの言葉はその後にしよう。
大丈夫だ、ホシノも待ってくれる」
「そうですの?では先に……あっレンゲ先輩を
探さなければ!!」
「(よし、なんとか軌道修正出来たぞ。しかし何故
挨拶に行こうとしたのだ……面識のない生徒に
祝われたり慰められても困惑するだけだろう……
世間知らず……なのだろうか?)」
「先生、早くレンゲ先輩を探しましょう!そして
委員長に身共はなりますわ!」
「……ところで一つ聞いていいだろうか?」
「なんですの?」
「ユカリはそのレンゲや継承戦を挑む相手よりも
実力があるのだろうか?」
「それは……やってみないと分かりませんわ!」
「………」
唐突にマエストロの脳内によぎった一つの考え。
仮に継承戦を始める準備が整ってもユカリがその
相手に負ける可能性があるのでは……むしろその
可能性の方が高いまである。つまりここまで彼女
を手伝ったところでクズノハに会えるという目標
が達成出来ないのではないか?
「(先行きが不安だ……だがもし委員長代理が話の
分かる生徒ならば仮にユカリが勝てずとも会える
かもしれない。むしろ会えなかったら私の苦労が
全て泡沫のように消えてしまう……ユメの為にも
それだけは避けなくてはならない。……ならば
ユカリ以外の百花繚乱の委員に対しても接触を
して親しくなっておくべきではないか?尚更早い
うちにレンゲとやらに接触しておきたいな)」
今後の事について長考していると不思議と違和感
を覚えた。やけに静かなのだ。……ああ、
ユカリが居ない。少し目を離している間に彼女は
何処かへ行ってしまったようだ。
「……どうしたものか……」
取り残された芸術家は色々考えた結果……
ユメを待つことにした