私は!!ユメの事を!!愛しているぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
その魂の叫びは百鬼夜行全土に広がり……
「"マエストロ……疲れてるのかな……"」
「だ、大胆な告白ですの!!」
「……はあ。また面倒事に巻き込まれたんですね。
仕方ない……眠いですが助力しに行きますか……」
「……ユメ?やっぱりそうなんだ……」
「嗚呼、哀れなりマエストロ。貴様も先生という
概念に染まってしまった以上この先に待ち受けて
いるのは絶望だけだと言うのに。黒服といい何故
ゲマトリアという有利な状態を捨ててまで生徒に
寄り添う道を選んでしまったのか……」
当然余計な人達にも届いてしまったが本命のユメ
とその隣にいたシロコテラーにも聞こえており……
『っ……』
『……恥ずかしいね』
『……よし。すぅぅぅぅぅぅ…………
私も!!先生の事を!!誰よりも!!愛していますよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
『……楽しそうだね』
『……えへへ。先生が私の事愛してるって///』
『良かったね(私もこの人に着いていけば昔のように
笑顔で笑えるようになるのかな……)』
それぞれが複雑な心境の中最初に動いたのは……
「あんた……どういうつもり?私だけ居ればいい
ってさっきからずっと言ってるよね?何平然と
浮気発言してんの?」
目のハイライトが消えたキキョウだった。正確には
殺意がこもった眼でこちらを睨んでいる。
「わたしもずっと言っているだろう……既に恋人が
いると。その恋人が泣いてしまう直前だったんだ。
多少強引にでも愛を伝えるべきだろう」
「それが浮気だって言ってんの。それとも何?
私の事は本妻とでも言うつもり?」
「すまないが私が愛する女性はキキョウじゃない。
それに教師と生徒が恋愛するのは違うだろう?」
「キヴォトスでは犯罪じゃないんだけど?合法、
分かってんの?」
「埒があかない……すまんキキョウ、私はユメと
合流しなければならないので失礼する!」
「ふぅん……私から逃げれると思ってんの?
解散令が出されたとはいえ百花繚乱の幹部だよ?
舐めてもらっちゃ困るね」
キキョウが何かをする前にどうにか策を……
おい、目の前から誰かが走ってくるぞ?ユメか?
……いや違う、あれは……
「せーんせー!!大胆な告白でしたわね!!
遠距離から愛を叫び合って伝え合う……まさに青春
の甘いひとときでしたわー!!」
「ユカリ!?……だが良い機会だ!あっちの方角に
キキョウが居たぞ!」
「まあ、キキョウ先輩が!?お手柄ですわ〜!!」
よし、これでユカリが時間を稼いでくれるだろう。
……なんだ、まだ誰かが走ってくるぞ。
「マエストロ先生。今度はどんな面倒事に首を
突っ込んだんですか?」
「ケイか!?よし、私をワープさせてくれ!!
一刻も早くここから離れたい!!」
「別れる前に言いましたが眠いので出来ません」
「何故来たんだ」
「困ってそうだなと思いまして」
「その心意気は有り難いが非常に困る……
そうだ、ホシノ!!完全に忘れていた!!
間違いなく今の叫びで気づかれている筈!!」
「それなら位置を検索して……ああ、前方300M
から全速力でこちらに向かってきています」
「前方からだと!?一本道で尚且つ後方には
キキョウが居るんだぞ!?どうするのだ!?」
「キキョウって誰ですか……もしかしてまた
いつもの女たらしをやってしまって誤解されて
いるんですか?それで叫んだと……」
「察しが良くて助かる!だがどうすればいい!?
このままだと一貫の終わりだぞ!」
「"マエストロ!"」
「今度は先生か!!一体どうした!?」
「"それはこっちのセリフだよ!どうして急に
愛してるだなんて叫んだのさ!私の脳を破壊する
つもりなの!?"」
「貴様はユメと出会ってないのだから脳破壊も
何もないだろう!ああ、そうだ!この先に先生
に会いにきた生徒が居るとの情報が入った!
会いに行ってやれ!」
「"えっ本当?それなら会いに行くしかないね"」
「……これで一先ずは安心だな」
ーーー
「声は確かこっちの方から……」
「"ホシノ?百鬼夜行に来てたんだね"」
「せ、先生!?どうしてここに……」
「"……そっか。わざわざ私に会いに来てくれたん
だね。ホシノは優しい子だね"」
「……う、うへへ///もう、おじさんを甘やかして
も何も良い事はないよ。シロコちゃん達を撫でた
方がいいと思うよ」
「"私はホシノが良いんだよ"」
「うへっ///」
ーーー
「見つけましたわぁ!!キキョウ先輩!!
ユカリ伝説の為に華々と散ってもらいますわよ!」
「ユカリ?……ふうん、あんたも私と先生の恋路を
邪魔するんだ。許さない」
「何か言ってますが聞こえませんわ!!」
ーーー
「明らかに何も解決していないような気がします」
「そうだな……ここからどうやって逃げるか……」
『先生!!』
「おお……ユメ。会いたかっ……」
むぎゅ。ぶちゅ。
「………」
『……えへへ///もう離れません♡』
「……なあケイ」
「何でしょうか」
「丁度そこに宿屋があるのだが」
「ぶっ飛ばしますよ」
『……貴女が言ってた先生ってこの人なの?
明らかに先生には見えないんだけど……』
「お前は……そうか。成程、確かに恐怖に染まって
いるな。安心してほしい。私はお前の味方だ。もう
孤独にさせないと約束しよう」
『……その言葉はまだ信用出来ない。それに私に
居場所なんて何処にも……』
「……あの、お話の途中申し訳ないのですが……
前方と後方を見てくれませんか?」
『ん……?』
「"ホシノが探してた人ってあれ?"」
「っ……う、うん。間違いなくあの人……」
「やっっぱりキキョウ先輩は強いですわね!!
紙一重で負けてしまいましたわ!!」
「私の恋路を邪魔するからそうなるの。
……先生?その抱きついてる女は誰?
あんた本当に浮気してたのね」
「………」
終わった。
おまけ その頃のアビドス
「食欲はありますか?」
「……少しはあります」
「それは良かった。急ごしらえですがおかゆを
作ってきましたので」
「……信じられない。黒服がノノミ先輩の看病を
してる……」
「ん、ノノミが懐柔されちゃう」
「ですが間違いなく善意ですし……」
「……皆先生の事を何だと思ってるのさ」
「ロリコン」
「ロリコン」
「へ、変態さん……?」
「………(うへぇ間違ってないよぉ……)」
「貴女達、声が大きいですよ。病人の前ですので
静かにしてください」
「あ、あんたねぇ……ノノミ先輩の事は私達も
看病したいに決まってるじゃない」
「ん、抜け駆けは許さない。ノノミを懐柔する事も
許さない。私は貴女を先生とは認めない」
「……でも私達の先輩を看病する姿、私は黒服先生
が私達の知る先生と似た心を持っているって
思うには充分すぎるくらいです」
「……ねえシロコ先輩、まずいわよ」
「ん……既に懐柔作戦は始まっていた……」
「……貴女達の言い分は分かったので早く静かに
してくれませんか?この後ノノミの身体を拭いて
汗で濡れた身体を……」
「ほら本性を出したわ!やっぱり身体目当てよ!」
「ん、ロリコン改め変態」
「……ああ、つい私の良く知るノノミと重ねてしまい
ました。では代わりに誰か彼女の汗を拭いて……」
「ちょっと待ってください。黒服先生の言い方だと
ノノミ先輩も黒服先生に……?」
「はい。三角関係というものでした」
「あんた頭おかしいんじゃない?ノノミ先輩が
あんたみたいな変態の事を好きになるなんて
絶対にあり得ないわよ」
「んーでもシャーレの先生も変態だよね」
「……あーじゃああり得るわ」
「ん、セリカが折れた……」
みたいなやり取りをしていたとかなんとか。