とある和菓子屋の一室。そこには地獄のような
空気が張り詰めている空間があった。
マエストロの腕に抱きついているユメとそれを
睨んでいるキキョウ、ココアを飲むケイ、
駄菓子を頬張って笑顔になっているユカリ、
気まずそうにケーキを食べているシロコテラー、
ホシノを撫でるシャーレの先生とユメを見て
未だに信じられないものを見ているような表情を
浮かべているホシノ。……なんだこの状況は?
「……なあ。どう収集をつければいいと思う?」
「改めて自己紹介でもしたらいいと思います」
「それで解決するとは思えないが……まあいいか。
私の名前はマエストロ。ミレニアムとトリニティの
教師として勤めている」
「いやあんたは百鬼夜行専属だから」
「なんと!そうでしたのね!」
「(くそっ、話がややこしくなってしまう……だが
今更どうって事はないか……最悪の事態になって
しまった以上な……)」
『そして私が先生の恋人です』
「は?先生の恋人は私だから」
「"ちょっと、私はまだ二人と付き合った記憶なんて
ないんだけど……"」
『あなたの事じゃないです』
「あんたの事じゃない」
「"……ホシノ、私は嫌われているのかな……"」
「え?あ、ああ……どうだろうね」
「話が逸れてしまいましたわね。では僭越ながら
身共が先生に続いて自己紹介を。勘解由小路ユカリ
と申しますわ。百花繚乱のえり〜とですの!」
「私は桐生キキョウ。先生の恋人よ」
「"えっ私の?"」
「あんたじゃないって言ってるでしょ」
「"……ホシノォ……皆が虐めてくるよぉ……"」
「ちょっとあんまり人前で抱きつかないで……
えっと、この人がシャーレの先生で……私は
小鳥遊ホシノ。そこの木の人形みたいな人と……
隣にいる人に会いにきたんだけど……」
「順を追って話すから後にしてくれ」
「……分かった」
「そして私が小鳥遊ケイです。ホシノ母の娘です」
「ゴフッ!?」
「なんと!ばついちという情報は本当でしたのね!
一体どのような理由があってばついちに……」
「ちょ、ちょっと待って!?私は誰とも結婚なんて
してないし娘なんていないよ!?」
「"ホシノ……まさかカイザーに?どうして私に相談
してくれなかったの……?"」
「違うよ!?私が好きなのは先生だけだし……」
「へえ、あんたそんな頼りない人が好きなんだ?
ダメ人間に尽くしたいタイプって事?」
「確かに先生は普段は脚を舐めたり頭皮を嗅いだり
混浴したり生徒に首輪を着けて散歩したりしてる
けど……私にとっては大切で……」
「何処の先生も似たようなものか……」
「"ところでマエストロさんよぉ……君さぁ、
私の生徒をたぶらかせてるって本当?ユカリも
キキョウも私の生徒なんだけど"」
「初めからたぶらかせてるつもりはない。それに
生徒が困っていたら助けるのは当然だろう」
「"それはそうだけどおかしいじゃん!ちょっと
助けただけで専属の先生になって欲しいなんて
言われるわけがないでしょ!絶対に何かよくない
事をしたんでしょ!?"」
「してないから困っているのだが?」
『そうですよ。この際桐生さんにズバッと言って
あげてください。「私はユメを愛しているから
お前とは付き合えない」って』
「言った上でこうなっているのだが?」
「付き合えないって事はその先の関係になりたい
って事でしょ?随分と積極的だよね」
「な……!?先生、まさか浮気ですの!?」
「……誰か助けてくれ」
地獄の時間は終わらない。