例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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純粋な悪の現在

数ヶ月前。色彩の眷属に襲撃されたゲマトリアは

事実上の解散をした。無理もない、集めてきた

対色彩用のものが全て無駄になった挙句

組織としても壊滅的な被害を受けたのだから。

……やはりあの女を組織に迎え入れた事は

間違っていたのかもしれない。奴の行いが組織を

破滅に導いたと言っても過言ではない。

まあ、あの女は追放したので今何処で何を

しているのかは誰も知らない。案外改心して

真っ当に生きているのかもしれないが……あの

プライドの高さでは無理だろう。それ故搾取

していた生徒に、嫌悪していた先生に負けた。

尤も、生徒に負けたという意味では全員同じ

ではあるのだが。

『負けたヴィランに価値はない』

同志が口にしたこの言葉に自分達が当て嵌まる

時が来てしまったのだ。このまま大人しく

静かに過ごすという選択を取る他ないのだ。

それが敗北というものであり概念である。

ーーしかし研究者というものは好奇心を捨てる

事など出来ないものだ。

 

ところで何故唐突にこの話のし始めたのかと

疑問に思っている方もいると思う。その理由に

ついては今から説明させてもらいたい。

先日アビドス自治区で確認されたとてつもなく

強大なエネルギー反応。そんなものが観測されれば

当然研究者を名乗る彼が興味を抱く理由には充分

すぎるというものだ。しかし最初の観測時、彼は

淑女を追放する作業を行なっていたので確認に

行く事は出来なかった。だが今は違う。彼は観測

された地点に行き、同志がヘイローを黒く染めた、

まるであの日襲撃していた砂の神にも似た生徒を

連れて虚無から出現するところを目撃したのだ。

何故無から現れたのか?何故そのような生徒を

連れているのか?何故?何故?何故?

彼の好奇心は尽きない。尽きないが故にその正体に

辿り着き、世界を隔てる穴を通り、もう一つの

砂漠に到達してしまい、そして不幸にもその彼と

最悪の出会いを果たしてしまったものがある。

……割れたタブレット端末。普段の彼ならばその

ような価値のないものに見向きもしないだろう。

だが今回は違った。あの日黒服が盾を拾いホシノと

出会ったように彼もまたその端末を拾う。そして

彼の目論見通りその端末の裏にはシャーレのロゴが

描かれていた。……そう、この割れたタブレットの

正体はユメの『先生』が持っていたもの、つまり

『壊れたシッテムの箱』である。

あの日空が紅く染まる騒動が発生してから今まで

誰にも触れられずにその場に砂を被って放置されて

いたのだ。それが巡り巡って本来の悪い大人である

彼の手に渡ってしまった。そして彼はその端末を

修理し、解析しようとする。そう、砂漠内にある

自らの研究室に篭って。

いつしかその好奇心は意図せずとも大きな災害

となって世界に膨大な被害を与える事になるのだが

それはまだ先の未来に起きる話。

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