例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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芸術家の性

「……なあ、私はユメと二人で出掛ける予定だった

のだが……何故ついてくる」

 

「アリスはケイと百鬼夜行を堪能するのです!」

 

「そして私は貴方が羽目を外しすぎないか監視する

必要があるので」

 

『私は特に理由もなく』

 

「……シロコはともかくアリスとケイは二人で

自由に回ってきても良いのだぞ? ああそうだ、

黒服の所にでも行ってきたらどうだ?」

 

「そんな露骨に私達から距離を取ろうとしても

そうは行きませんからね」

 

「……もう勝手にしてくれ」

 

何故だか生徒から舐められている……主にケイ。

こいつは我儘にも程があるのではないか?

舐め腐っているにも限度があるだろう。

何がケイをそこまで駆り立てるのか……

まあいい、とにかく問題が起きる祭りの日まで

何事もなく過ごせるのならなんだっていいからな。

 

『今、立ちましたよ』

 

「心を読むな。あと何がだ」

 

私の周りに居る奴らはなんなんだ……

これも神秘の為せる技なのか? 今度黒服にでも

聞くとしようか。……いや、黒服に神秘の事を

聞いた場合ホシノの話になるだろうな……

「最大の神秘であるホシノは〜」という流れから

私は何時間拘束されるのだろう。

ってそんなくだらない事はどうでもいい。

 

「………」

 

「………」

 

おい。さっき何事もなく過ごせればいいと言った

ばかりなのだが? 何故私の目の前に百花繚乱の

羽織を着た生徒が居る? ノアのような美しい白髪

を靡かせた絵になる生徒が居るぞ。おかしいな……

いや待て、まさかさっきユメが言った立ちましたよ

というのは……フラグの事だったのか!?

……一応確認してみるか。

 

「お前は百花繚乱の生徒か?」

 

「……これはただのコスプレ」

 

「そうか。それならいい」

 

ああ良かった。ただのコスプレなら問題ない。

紛らわしくはあるものの百花繚乱はユカリが誇る

由緒正しき委員会らしいので憧れるような生徒が

出てきてもおかしくはない。言ってしまえば

ファンクラブというものが出来ていても何も

おかしくはない。よし、何事もなく過ごせるぞ。

 

『……先生』

 

「なんだ?」

 

「なんだ? じゃないですよ。いつもみたいに

首を突っ込んで惚れさせなくていいんですか?」

 

「お前は何を言っているんだ……」

 

「明らかにメインシナリオに関わる重要な人物

だとアリスは思います」

 

「そんな事は分かっている。あの生徒の眼を

見れば分かる、間違いなく今回百鬼夜行で起きる

騒動に関わっている生徒だ」

 

『それなら何故彼女を追わないのですか?』

 

「……色々あるんだ。それに百花繚乱の件は

シャーレの先生に任せておけばいい」

 

『……そうですか』

 

そう。彼女は間違いなく百鬼夜行で起こる筈の

問題に関わっている生徒。だとすれば関わって

しまうのは避けておきたい。それは何故か。

……前にフランシスに言われた事だ。本来通る

べきである歴史を書き換えようとすれば世界は

それを修正しようとする。……既に私は排除

されるようで燃やされて死ぬと決まっている

そうだが。どうせ死ぬなら関わってもいいと思う

人は居るだろう。……私一人ならな。周りにいる

四人の生徒。彼女達が巻き込まれてしまう可能性

が少しでもあるならこれ以上干渉するべきでは

ないと思う。……本当にそれでいいのか?

百花繚乱編がどのような結末を迎えるのか私は

知らない。救われるのか、救われないのか。

最終的に救われるのであれば私が手を差し伸べる

必要はないだろう。だからこのまま放置して

祭りの日を待てばいい。

 

「……違うな。世界がどうとか最終的に救われる

なんて関係ない。それが今てを伸ばさない理由に

なっていい訳がない」

 

『先生?』

 

「ああそうだ。私も『先生』だからな。四人共

すまない。私は今からさっきすれ違った生徒の

事を放置しておけないようだ。なので今から

別行動と行こう」

 

「またいつもの病気ですか……」

 

「病気? マエストロ先生は病気なんですか!?」

 

「そういう事だ。だからケイ、二人の事を任せる。

私はユメとあの生徒を追わせてもらおう」

 

「……はあ。相変わらず人を振り回しますね。

ですが任されました」

 

「助かる。では行こうか」

 

『はい。……ふふ』

 

「何かおかしい事でもあったか?」

 

『いえ。ただ惚れ直しただけです』

 

「……照れるな。よし、あの生徒を笑顔にしたら

思う存分ユメと愛しあうとしよう」

 

そうだ、単純な事に気づかなかった。

巻き込んだ上で守り通せばいい。だから私は

やりたいようにやらせてもらおう。

そう誓いを胸に白髪の生徒の元へ向かう。




おまけ

「では三人になったので手を繋ぎましょう。
シロコは1番身長が高いので真ん中です」

『いいよ。じゃあ手を……』

「……! 成長したシロコの手も暖かいです!」

『……ありがとう。二人の手も暖かいよ』

「では行きましょうシロコママ。……あっ」

『……ママ?』

「言い間違えました」

『……そう。でも……そう呼んでもいい』
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