例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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前回のマエストロ視点でのあらすじ

百花繚乱の委員長代理のナグサはねぎまが好き


委員長代理の経緯

左手でねぎまを食べ続けるナグサ。

そしてマエストロに寄りかかるユメ。

それに幸福を感じているマエストロ。皆幸せな空間

が展開される中特に問題もなく食事は終わる。

……筈もなく。

 

「……まだ食べるのか?」

 

「あと20本くらいは」

 

「よくそんなに入るな……精々10本ほどしか

食べれんぞ……」

 

『ソ、ソウデスネ』

 

「いやいいんだ。むしろユメは今まで苦労してきた分

もっと食べてくれて構わない。たた私が自分で想像

していたよりも少食なたけだったたけさ」

 

「木の人形なのに少食とかあるの?」

 

「言われてみれば……だとすれば……

気の持ちようだったか……」

 

『大丈夫ですよ。先生が少食であっても私は貴方を

愛しています』

 

「ありがとう。私もユメを愛している」

 

『♡』

 

「……暑い」

 

「すまない。私とユメはいつもこんな風に過ごして

いるのでな」

 

「……悪い人であるよりかはマシだと思う」

 

「そう言って貰えると助かる」

 

「……一つ聞いてもいい?」

 

「良いぞ」

 

「どうして私の右手の事に触れないの?」

 

羽織の裏にある彼女の右腕は包帯が巻かれており

動かす事もままならない状態である事が容易に

想像出来る。当然それについて言及しても

いいのだろうが……

 

「先程言っただろう、話したくなったらでいいと。

気にはなるが無理に話す必要はないんだ。誰にでも

触れてほしくない話題というものはあるものだ」

 

『清澄さんとの関係とか……ですかね?』

 

「な、何故ユメがそれを知って……!?』

 

「前に予告状が届きましてね。危ないものだと

いけないので確認したらその中には

『近いうちに芸術について語り合いたい』と

書いてありまして…… 詳しく聞いても?

 

「助手とはそのような関係ではなくだな……その、

ユメと出会う前に唯一私の芸術センスに共感して

くれた私の生徒であって……」

 

元カノって事ですか?

 

「違う。私が愛しているのはユメだけだ」

 

『それなら良いんです♪』

 

「……重いね」

 

「ああ。だがそれも好きな要素の一つだ」

 

「器が大きいのね」

 

「教師だからな」

 

「そう」

 

それだけ言うとナグサは少し考えるような素振りを

している。そのまま数分程経過した頃に何かを決心

したかのようにこちらに向き合った。

 

「貴方……いえ、先生。私の事を……この右腕が

何故こうなったのかを聞いてほしい。ただ……

巻き込む事になってしまうのだけど……」

 

「構わない。それでナグサが笑えるようになるなら

私の崇高も満たせる」

 

「崇高?」

 

「ああ。私が人外になってまで得ようとした何事にも

変えられぬもの。私の場合は『芸術』だな。……まあ

この数年間で求める芸術は変わってしまったが。

それもこれも私に関わる生徒達の手によってな」

 

「……やっぱり変な人」

 

「人であるかは怪しいがな。……遮って悪かった、

話してくれ」

 

「うん。……ユカリ達と話したのであれば私が

百花繚乱の委員長代理であるのは知ってると思う。

……でも私はそんな代理になれる器じゃない。

あの子とは違って……」

 

「あの子?」

 

「……『七稜(ななかど)アヤメ』。百花繚乱の委員長で……

私の幼馴染。彼女は花鳥風月部の手によって

『百物語』の一部にされて黄昏に連れ去られた」

 

『黄昏?』

 

「……そういう事だったのか。それで右腕が……」

 

「………」

 

『その黄昏というものがどうして右腕に……』

 

「色彩のようなもの、と言えば分かるだろうか。

あれは神秘を汚染し歪ませる存在。……どうやら

私が想像していたよりも百花繚乱が抱えている悩み

は闇が深いようだ」

 

まさか黄昏に関わる事になろうとは……百物語

というか単語も気にはなる。しかし今自身が

やるべき事が見えてきた。

 

「よし分かった。私が黄昏に連れ去られたという

アヤメとやらを救出しに行こう」

 

「……その気持ちは嬉しいけれどあれは先生が

どうにか出来る存在じゃない。最悪死んでしまう。

そんな危険な場所に行かせる訳には……」

 

「話を聞いてしまった以上私は行動する。先生とは

そういう存在だからな。最悪死ぬ直前になったら

逃げる事も考える。……そういう訳だ。ユメよ、

私が黄昏に行ってる間はナグサの事を護え……」

 

『嫌です私もついていきます』

 

「駄目だ。ただえさえ神秘が反転して恐怖に

染まっている状態なのに黄昏と接触するなんて

何が起こるか分からない。大人しく待っててくれ」

 

『嫌です』

 

「……何故分かってくれないんだ」

 

『危険な場所……なんですよね? それなら私は

先生を守らなくては……もし貴方を失う事に

なってしまったら私は……だからついていきます。

もう大切な人を失いたくない……』

 

「ユメ……」

 

『………』

 

「大丈夫だ。私は必ず戻ってくる。絶対にだ。

ユメを愛している。だからこそ黄昏に連れていって

無理をさせる訳にはいかないんだ。約束しよう、

私はユメを残して死なない。ユメの命が尽き果て

天へと還るその日まで隣にいると誓う」

 

『……本当に私が死ぬまでずっと側に……

居てくれるのですか……?』

 

「ああ。むしろ天へと昇ってしまった後もまた

会いに行ってやるとも」

 

『……貴方は本当におかしい人です。ですが

そんな貴方だからこそ私は……』

 

「……私はどうしたんだ?」

 

『続きが聞きたければ帰ってきてください。

……嫌という程に聞かせますから』

 

「……そうか。楽しみにしている』

 

「………」

 

百花繚乱の委員長代理と言えど唐突に始まった

愛し合う男女の恋物語に口を挟む事は出来ずただ

終わるのをねぎまを食べながら見るしかなかった。

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