例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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一年前と二年前の借り

 

 

ーーー翌日

 

セリカ「明らかにおかしいわよね!弾薬を補給しようと店に寄ったら全部売り切れって。どこの誰が買い占めたのよ!」

 

アヤネ「アビドス自治区全体で食料以外の物資がいきなり枯渇するだなんて…困りましたね」

 

シロコ「ん、ノノミが買ってきたお菓子があるから問題ない」

 

ノノミ「一体どうしたんでしょうね…そろそろ備品を補充しておかないといけない時期でしたのに」

 

黒服「………」

 

セリカ「……あんたさっきからずっと黙ってるけどどうしたのよ?」

 

黒服「おかしい…おかしいのです」

 

セリカ「何がよ」

 

黒服「この時間になってもホシノから何の連絡もないのです。毎日欠かさず『おはよう』や『二度寝するね』などという連絡が来ていましたのに…」

 

シロコ「ん、黒服はホシノ先輩に嫌われたんだね」

 

黒服「ホシノに嫌われる?そのような事をした覚えはありませんし起きてはならない事です」

 

セリカ「ホシノ先輩の事だし三度寝したとかじゃないの?気にしすぎよ」

 

アヤネ「ホシノ先輩の事も気になりますが…今は物資の事も考えないと…」

 

黒服「ホシノ以上に優先するべきことはありませんよ。物資は隣の自治区に行けば買えるでしょうし後回しで構いません」

 

ノノミ「黒服先生。少し冷静になってください。まだホシノ先輩がトラブルに巻き込まれたと決まった訳ではありませんし…物資を優先した方が宜しいかと」

 

黒服「……失礼。少々取り乱していたようです。まずは必要な物資の補充からやっておきましょうか」

 

アヤネ「分かりました。予め必要そうなものをリストにまとめておいたので確認お願いします」

 

黒服「助かります。……いつの間にこんなに減っていたとは気づきませんでしたよ」

 

ノノミ「訓練の頻度も人数も増えましたからね。今度からはいつもの倍くらい補充しないといけませんね」

 

黒服「倉庫の拡張も…いえ、空き教室に詰めておけばいいですね。……大方リスト通りに購入すれば問題なさそうです。ホシノが登校する前に買っておきましょう」

 

シロコ「ん、じゃあロードバイクで…」

 

黒服「1人で持てる量ではありませんよ。皆で行きますよ。…念の為に残っている弾薬は分配しておきますね」

 

ノノミ「分かりました〜」

 

準備中に確認したもののホシノからの連絡はない。やはりおかしい。胸騒ぎもしてくる。

 

黒服「(私だけでもホシノの家に様子を……?)」

 

校門前に近づくにつれて違和感が芽生える。取り囲むように武装した連中がいる。偶然にしては出来すぎたタイミングだ。

 

黒服「随分とお揃いのようで…一体何の用です?」

 

兵士長「ターゲットを確認。作戦を開始する」

 

話す間もなく向けられる銃口。思考が追いつく前に弾丸が発射されこちらに向かってくる。

 

セリカ「ボーッとしてるんじゃないわよ!」

 

黒服「セリカ…!?」

 

数人から放たれる銃弾を庇うように受け止めるセリカ。何故この少女は自分を庇ったのだろう?

 

セリカ「くっ…鬱陶しいのよ!」

 

相手がリロードに入ったタイミングで突っ込んでいくセリカとシロコ。……とにかく今は指揮をしなければ。

 

黒服「アヤネは医療用ドローンの準備と戦況把握、ノノミは2人が陽動になっている間に相手を一掃してください」

 

アヤネ「ですが…もうほとんど物資が…」

 

黒服「全て使い切って構いません!」

 

アヤネ「わ、分かりました!」

 

もしここで誰か1人でも欠けてしまったらホシノの情緒が不安定になってしまう。長年の苦労を無駄にするわけにはいかない。

こうして態勢を整えて防衛を始めた…ものの上手く指揮が取れない。

 

黒服「セリカ、左右から狙われています。どうにかして対処を…」

 

セリカ「どうにかって何よ!同時になんて無理よ!」

 

黒服「申し訳ありませんが被弾覚悟でお願いします」

 

セリカ「仕方ないわね。やってやるわよ!」

 

当たり前にいたホシノという存在が居ない戦闘。前にセリカに助言されたようにホシノに依存しない訓練を行うべきだったと後悔してしまう。

 

黒服「仕方ありません…シロコ、ドローンの使用を許可します」

 

シロコ「ん、分かった。…あっセリカごめん」

 

セリカ「ちょっと!?こっちを狙ってんじゃないわよ!」

 

間一髪で避けるセリカと吹き飛ぶ兵士。統率は取れていなくても着実に相手の数は減らせているが…

 

ノノミ「あら…弾が切れてしまいました」

 

黒服「ですが…何とか間に合ったようです」

 

粘り続けた結果残るは兵士長ただ1人。ボロボロになりながらも猛攻を耐えれたようだ。

 

兵士長「まさかここまで抵抗されるとは…お前達を舐めていたようだ。ここは一度退却するとしよう」

 

余裕を感じる口調でそう言うと動ける兵を集めて去っていった。気がつけば夕方に差し掛かる程時間が経っている。疲労で倒れるセリカとシロコを回収しつつ校舎に戻った。

 

ーーー

 

セリカ「いったぁ…ノノミ先輩、もっと染みないように…」

 

ノノミ「ごめんなさいセリカちゃん。次はもっと優しく消毒しますね」

 

黒服「…被害の報告と状況の確認をしましょう。あの武装集団の格好から察するに『カイザーPMC』で間違いないでしょう」

 

ノノミ「それって民間軍事会社ですよね?それがどうしてこの学園に…」

 

黒服「これは推測でしかありませんが…ホシノと連絡が取れなくなった事とカイザーPMCが攻めてきた事は関係があると考えております」

 

アヤネ「ですが…仮にそうだったとして何故ホシノ先輩を攫う必要があるのでしょうか…?」

 

黒服「真偽は分かりかねますが…とにかく今はこの状況を打破しなければいけません。弾薬は底をつき医療品もほとんどない。シロコと…特にセリカが重傷…私の指揮不足です。申し訳ありません。それと…あの時庇っていただきありがとうございました」

 

セリカ「…あんたが傷付いたらホシノ先輩が悲しむから仕方なくよ」

 

黒服「貴女には借りが出来てしまいましたね。……あの時兵士長は一度退却と言っておりました。時間にも猶予がないのかもしれません」

 

ノノミ「一応訓練用の弾はありますが…ほとんど意味がないですね…」

 

黒服「こうなってしまった以上救援を要請するしかなさそうです。少々電話をして来ますので席を外します」

 

アヤネ「ではその間に2人の手当をしましょう。ほらシロコ先輩、逃げないでください」

 

シロコ「染みるの嫌」

 

アヤネ「優しくしますから!」

 

ーーー

 

廊下に出て数歩進み端末を取り出す。2.3コール後に甲高い声が端末越しに聞こえてきた。

『こんな時間に何の用です?つまらない用でしたら切りますよ』

 

黒服「申し訳ありません。……話すと長くなってしまいますが……」

 

ホシノと連絡が取れなくなったこと、それと同時に学園に侵攻されて弾薬や医療品が不足していること、その為救援を依頼したい事を電話越しの彼女に伝えた。

 

『状況は分かりました。とはいえこちらも多忙な故2人ほどしか派遣する事は出来ません。持てる限りの補給品を持たせて向かわせますので』

 

黒服「助かります」

 

『なるべく早く到着するようにはしますが…持ち堪えてくださいね』

 

黒服「善処しますよ。それではよろしくお願いします」

 

通話が切れた。少しは希望が出てきた。

 

ーーー

 

黒服「ただいま戻りました」

 

アヤネ「お帰りなさい。とりあえず応急処置は終わりましたよ」

 

黒服「ありがとうございます。あの連中がいつ襲ってくるか分かりません。今のうちに仮眠を取っておいてください」

 

セリカ「そうさせてもらうわ…今日はもう疲れた…」

 

シロコ「ん、寝てくるね」

 

ノノミ「救援要請の方はどうでした?」

 

黒服「人数は少ないですがなるべく早く到着すると仰っておりました。どのくらいの戦力になるかは分かりませんが…」

 

アヤネ「とにかく現状をどうにか出来るのであれば…」

 

黒服「その点は問題ないでしょう。弾薬と医療用もある程度は持ってきてくれるようですので」

 

ノノミ「それなら安心ですね。……私達も休みましょうか」

 

アヤネ「そうしましょう…黒服さん、見張りを任せてもいいでしょうか?」

 

黒服「良いでしょう」

 

アヤネ「ありがとうございます。それでは失礼しますね」

 

一礼してアヤネとノノミは仮眠室に向かった。その後朝まで見張っていたものの攻めてくる様子はなく生徒達は休息が取れたようだ。

 

黒服「おはようございます。体調は如何ですか?」

 

セリカ「充分寝れたからちょっと気だるいけどだいぶ元気になったわ」

 

シロコ「ん、同じく」

 

黒服「それは良かった。…このまま何事もなく救援がくればいいのですが」

 

ノノミ「……そうはいかないようですね」

 

アヤネ「武装集団の反応を確認しました!数は…昨日の2倍です!」

 

黒服「…現れましたか」

 

兵士長「アビドスの諸君。昨日の健闘を讃えてこちらも本気を出させてもらう事にした」

 

黒服「軍事企業の方にそう仰っていただけるとは光栄ですね」

 

兵士長「減らず口を…まあいい。総員構え!」

 

昨日のように銃が構えられる。その瞬間に敵陣の中心が爆発した。

 

兵士長「なっ…何が起きた!?」

 

???「ほら、言ったでしょ?片手でも命中させられるって!」

 

???「口だけじゃなかったね。…残りの分は私がやる」

 

後方から武装集団を蹴散らしてこちらに向かってくる2人。数秒の間に兵士長を除いた集団を壊滅させた。

 

兵士長「なんだお前ら!?何者だ!?」

 

???「何者って聞かれてもねぇ…」

 

???「あなたに名乗る必要はないけれど…あえて言うのであれば…私達は」

 

アル・ヒナ「小鳥遊ホシノの友達よ」

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