例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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開幕

「……救急箱? 何故天使が救急箱を落とす?

何故だ? 貴様は芸術家を迎えに来た天界の使い

ではないのか? 貴様は一体何者だ?」

 

「私は……怪我をされた方の所に駆けつけるだけの

ただの人間ですよ」

 

「"……セリナ?"」

 

「……理解できないな。そこの芸術家は既に死んだ

ボロクズにも等しい存在だ。貴様がどのような神秘

を携えていようが死人を蘇生する事など不可能だ」

 

「……死んでいればの話だが、な」

 

「……貴様、何故生きている? 先程怨念の炎に

焼き尽くされた筈ではないのか!?」

 

「ああ。確かに私は死んだ。……ただし一時的に

死んでいたに過ぎない」

 

「ならば何故生きて……」

 

「私の生徒を甘く見るなよ? 死の偽装なぞ私の

優秀な生徒達の手に掛かれば容易いものだ」

 

「そのような理屈で説明出来るものでは……!!」

 

「……馬鹿め。理屈じゃ説明なんて出来るか。

……ああ、私の生徒ならこういう時になんて

言っただろうか。……そうだな。このように右手

の人差し指を天に掲げて……」

 

私たちの、青春の物語を!

 

「なんて言っただろうか……」

 

「貴様! ふざけるのも大概にしろ! そんな

馬鹿な事が認められる筈がないだろう!?」

 

「私達の物語に許可など必要ない! セリナ!」

 

「はい!」

 

「待て! 何をする気だ!」

 

「言っただろう、『私の生徒を甘く見るな』と」

 

「戯言を! その減らず口を今から黙らせて……」

 

「黙るのはあんたの方っすよ? ウチらの先生に

何してくれてるんっすか? ……そんなに地獄が

見たいなら見せてやるっす」

 

「ダメだよ。こいつに地獄を見せるのは私の役目

なんだから☆」

 

「待ってください、ここは頭の救護を……いえ、

頭部がないので出来ませんね」

 

「ふふ、いよいよシスターフッドである私の

出番のようですね。にんにくと十字架は用意して

来ましたよ。これで悪しき者を浄化させ……」

 

「あはは……それは何かずれているような……」

 

「まあ投げつけてみれば案外効果あるかもよ?

……で、あんたはいつまで縮こまってんの?」

 

「ひ、人が多くて……怖いんです……」

 

「はぁ……あんた一応自警団の代表で来てん

だからもうちょっと堂々としなよ」

 

「"トリニティの子達がいきなり現れ……うわっ"」

 

「おや? 雷ちゃんに会話機能なんてつけた覚え

はないんだけど……これが進化、なのかな?」

 

「"は、離して……"」

 

「開発者に逆らうのはよくないね。これは一度分解

して回路を組み直した方が良いのかな?」

 

「その時は中のプログラムを確認させてよ」

 

「チーちゃんよりも先に超天才の私が解析を……

あっつ!? ここ熱くないですか!?」

 

「そりゃあ燃えてるからね」

 

「ではご主人様を傷つけたであろうあちらの方

からお掃除するとしましょう。ちょうどゴミを

燃やす火がありますので」

 

「それは良いですねー! ……ついでに私が

やらかして生まれた損失の書類も燃やして……」

 

「燃やすのは良いけど……先生には良い所を

見せないと嫌われるよ?」

 

「そ、それもそうですね。なら燃やすのはやめて

おきます!」

 

「"ミレニアムの子達まで……まさか大人のカード

を使ったの!?"」

 

「……いいや。あれを使って奇跡を起こせるのは

先生だけだ。私はただ援護を頼んだに過ぎない」

 

ぞろぞろと現れる生徒達。二人だけだった

先程までとは打って変わって一気に戦況が傾いた。

そう、これこそが芸術家の作戦だった。死ぬという

運命を利用し戦力を呼び出す事。

 

「もし私と先生だけで何とかしようとするならば

戦う術がないというのはおかしな話だろう?」

 

「……成程。私は貴様を甘く見ていたようだ。

やはり先生という存在を完全には理解しきれて

いないようだ。……興が失せた。この先貴様が

歩む道などに価値はない。私はもうこの場から

立ち去り奴との接触を……」

 

「逃がさないっすよ? 地獄に落とすまでは」

 

「ええ。粗大ゴミのお掃除をしなくては」

 

「……そいつは不死の存在だぞ」

 

「じゃあサンドバッグにし放題じゃんね☆」

 

「新開発した兵器の試し撃ちも出来るね」

 

「なら連れ帰って人間サンドバッグの刑にする

のが良さそうっすね」

 

「お、おい! 私に近寄るな! 搾取される

人間の分際で!」

 

「……哀れだなフランシス。生徒を甘く見るから

そうなるんだ。搾取する対象でしかないなんて

古臭い考えしか出来ないからそうなる」

 

ーーー

 

「……?」

 

迫り来る痛みに対して思わず目を瞑ってしまったが

十秒ほど経過しても痛みが来ない。それどころか

何か暖かいものに包まれているような……

 

『遅くなってごめんね』

 

その声には聞き覚えがあった。太陽のように眩しい

笑顔が似合う私の唯一の先輩の声。

 

『……今度は間に合った』

 

そして静かで、それでいて優しく頼りになる

私の後輩の声。

 

『そこの黒いの。私の後輩に……』

 

『私の先輩に……』

 

『『何してんの?』』

 

……ああ。私はまた助けられちゃった。

まだ……弱いままだなぁ……

 

『ねえシロコちゃん、ホシノちゃんの事任せても

いいかな? 私はあの化け物をぶっ潰す』

 

『……ん、任せて』

 

『ありがとう』

 

……でも。私の為に怒ってくれて戦ってくれる人が

居るのは……嬉しいな……

 

『ホシノ先輩、今治療する』

 

「うへへ、お願い」

 

『ん』

 

『……うん、あっちは大丈夫そうだね。じゃあ

こっちも始めようか? 化け物』




援護に現れた子達
トリニティ
聖園ミカ
仲正イチカ
歌住サクラコ
蒼森ミネ
鷲見セリナ
杏山カズサ
宇沢レイサ
阿慈谷ヒフミ

ミレニアム
黒崎コユキ
明星ヒマリ
各務チヒロ
白石ウタハ
室笠アカネ
才羽ミドリ

全員の共通点 マエストロの事が好き

やりたい事リストのうちの一つが出来たので
私は満足です。それと7部はマエストロが
生存したので始まりません
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