例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

229 / 500
芸術家の歩んできた道

「"ごめんマエストロ"」

 

「どうした急に」

 

「"私……君に嫉妬してる。こんなに沢山の

生徒に慕われている君が羨ましい!"」

 

「先生も似たようなものだろう……」

 

「"今はシロコとアロナだけだもん!"」

 

「もう一人居たのか……それなら後でそいつも

見つけ出さないとな」

 

「"あ、でもあの子が楽しめているのなら無理強いは

したくないかな"」

 

「そうか」

 

「あのー……幽霊さん? 今は先生に話しかける

のを控えて頂きたいのですが……いくら死を偽装

したとしても先生が重傷である事には変わりが

ないので……」

 

「"あ、ごめん"」

 

「……私の治療はもう充分だ。それよりもあそこで

倒れている生徒達の治療を頼む」

 

「ダメです。先生を優先します」

 

「しかしだな……」

 

「これは私達全員の総意です」

 

「……仕方ないか。分かった、順番は任せる」

 

「"愛されてて良いですねーマエストロ先生?"」

 

「変な嫉妬をするな」

 

「"治療しながらでいいんだけどどうしてこんな

事が出来たの? どうやって彼女達を?"」

 

「そうだな……ゲマトリアの技術、と一言で

済ませるのは簡単だが順を追って説明しよう」

 

始まりはマダムからの着信。本来繋がる筈のない

他世界との連絡が可能となっている。そして

ヒビキが唐突に現れた。何故こうも簡単に干渉が

出来るのかと私は疑問に思い考えた。その答えは

簡単であり単純だ。

『私達の世界とこの世界は繋がっている』

という事。当然私達が今訪れているのだから

繋がっているとは当たり前だと思うかもしれない。

だが思い出して欲しい、この世界のゲマトリア達が

何をしたのかを。『ベアトリーチェの追放』だ。

ややこしいので淑女、と言い方を変えた方がいい

だろうか。その際に出来た世界を繋ぐ穴はまだ

何処かに存在しておりそのまま暫く時が経過して

いる。……案外黒服が何度も訪れていたりするの

かもしれないがな。そういう理由もあってかなり

世界の境界が曖昧になっているのだろう。

なので座標を示す発信器を持った私の生徒が

この場に現れてくれれば一斉に連れてくる事が

出来るのではないかと踏んだわけだ。……まあ、

方法に関してはエンジニア部に任せたのだが見事

成し遂げてくれたようだ。何故トリニティの生徒

が来たのかは知らないがな。大方マダムが私の

頼みという名目でゲヘナに呼びたかったのだろう。

戦力は多いに越した事はないがな。

 

「"つまり一言で言うと?"」

 

「私の生徒は凄い」

 

「"なるほど理解"」

 

そう、一言で済ませるならそれに尽きる。私は

ただ助けを求めただけだからな。彼女達はただ

それに応えてくれただけに過ぎない。……想定

よりも慕われていた事が分かって嬉しいな。

 

「"でもご都合展開すぎないかな?"」

 

「細かい事を気にしていたら禿げるぞ」

 

「"失礼な生えてるわ"」

 

……先生が言っている事は間違ってはいない。

いきなり名前すら出た事がない生徒達が大量に

登場するのだから困惑する人も多いだろう。

 

「だがマダムも過去に似たような事をやっていた

記憶がある。つまり免罪符というやつさ」

 

「"なんか違くない?"」

 

「細かい事を気にしていたら禿げ」

 

「"それさっき聞いたよ"」

 

「よく分かりませんがとにかくあの紫色のやつが

敵って事ですよね! では私と決闘を……ああ!?

果たし状が燃えてしまいました!!」

 

「あんた何やってんの……」

 

「見てないで助けてくださいキャスパリーグ!」

 

「次その名前で呼んだら撃つから」

 

「ひ゛ぇ゛」

 

………

 

「……何故なのです。どうしてにんにくも十字架も

効果がないのですか……」

 

「多分ジャンルが違うからだよ。ああいうタイプの

やつは陰陽とかその辺りだと思うし」

 

「なんて事でしょう……用意してきた銀色の弾丸も

効果がないなんて事になってしまったら私は

役立たずの三流アイドルという肩書きしか……」

 

「シスターさんじゃないの?」

 

「はい、そうですよ。シスターでアイドル! 

それが私サクラコです!」

 

「そのハイレグでシスター名乗るのは無理だよ」

 

こいつら緊張感がなさすぎではないか?

……いや、彼女達にとっては怨念なんてその程度の

相手でしかないという事なのだろう。戦闘能力が

殆ど無い私とは違い余裕があるのか……頼もしい。

 

「先生にやった事を1000倍にして返すっす」

 

「いえ、ご主人様を傷つけたのですからその程度

では生ぬるいです。当然命尽きるまで、ですよ」

 

「実質永遠って事っすね〜じゃあ縄で縛って

牢屋に監禁しておくっす」

 

……哀れなりフランシス。お前は今日、永遠の命

がある事を後悔するだろう。かつては同志で

あった人間がボコボコにされている姿を見るのは

心苦しいが負けたヴィランがでしゃばってきた

のが悪い。サンドバッグになる運命を受け入れろ。

 

「先生、大変だ! 雷ちゃんに燃料を補充したら

喋らなくなってしまった! さっきまであんなに

喋っていたのに……」

 

「……熱で配線が焼けたのだろう」

 

「ああ……踊るペロロ様人形が燃えてます……

なんて美しいのでしょう……」

 

「悪魔召喚の儀式にしか見えんぞ」

 

「あのニワトリを救護しなくては!」

 

「調理されてるだけじゃない?」

 

「チーちゃんそんな鳥よりもこの清楚系美少女の

肌を守ってくださ……あっつ!? これが普段

エイミが味わっている感覚なのですか!?」

 

「……普段通りすぎて安心するな」

 

「そこの人、一緒に爆弾投げませんか? 一掃

するならこれが手っ取り早いと思いまして」

 

「いいよ☆ それっ☆」シュン!

 

「あー!? ペロロ様が爆発しました!?

あの紫色のやつ、許しません!」

 

「……てへっ☆」

 

本当に緊張感の欠片もないな……初めからこいつら

を連れてくればよかったのではないだろうか……

私と先生の試行錯誤する描写は必要だったのか?

もう全部生徒達だけでいいんじゃないか?

 

『ですが貴方の奮闘を見て惚れ直した生徒達が

こうして助けに来てくれたので無駄ではないと

思いますよ』

 

「自然に思考を読むな」

 

『ゲマトリアですから。……で、この後は一体

何をするのですか?』

 

「決まってるだろう。親玉を倒してこの物語を

ハッピーエンドに導く」

 

そう、それで全てが丸く収まる。この悪意に満ちた

物語を私の芸術で染めてやる。その為ならプライド

なんて捨ててやるさ。プライドを捨てた先にある

笑顔という芸術を知っているから。




昔TRPGを齧っていた頃に私の作るシナリオは独特な世界観でついていけないと知り合いに拒絶された事があります。なので全てを理解して欲しいとは思っておりません。フィーリングで感じてください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。