例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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三度目にもなると慣れてしまう

それぞれが合流していく中砂の神は一人目の前の

悪い大人を睨んでいた。自身の経験からこいつが

碌な奴ではないことを知っている。この大変な

時に現れる辺りがそれを物語っていた。

 

『……黒服』

 

「………」

 

今すぐにでも撃ち殺したくなるようなそいつは

不気味な瞳でこちらの様子を見ている。何を

考えているのか理解できない。

 

「ホシノは無事なのですか?」

 

『……生きてはいる』

 

「そうですか」

 

それを聞くと奴はこちらに歩み寄ってくる。

一見傷ついたホシノを心配しているように見えるが

私は内側に隠れた本性を知っている。実験にでも

使いたいのだろう。何か変な事をしようとしたら

今すぐにでも撃って……

 

「生きてるならいいのです」

 

『……?』

 

あの黒服がホシノに何もせずに通り過ぎた……?

こんな絶好の機会を逃すなんて……

 

「貴女も私に良い印象を抱いていない事は何となく

理解しています。その為私は今誤解を解く必要が

あると言う事も。……ですが不可解なのです。何故

私はいつも悪い大人という扱いしかされないのか?

他のゲマトリア達は何となく受け入れられている

ようにも感じます。何故私だけ? 何故? 何故?

これでもう三回目ですよ?」

 

『……変な黒服』

 

「何故そのような印象を?」

 

「いきなり長文でお気持ち表明されたらね……

あ、でも私は先生が誰よりも優しいって事を

知ってるからね」

 

「まあ、私もホシノにそう思って頂けている

のであれば充分です」

 

??? 後ろからホシノが出てきて黒服の腕に

抱きついている? 洗脳? 寝取り? 死刑?

こんな悪夢が現実になるなんて……

 

「……なんか凄く混乱してそうだね」

 

「何故でしょう」

 

『……寝取りは犯罪。今ここで黒服を殺す』

 

「まさか殺害予告をされるとは。ユメといい恐怖に

染まった生徒に私は何をしたのでしょうか……」

 

「私を孕ませたとか?」

 

「おや、それは有罪ですね」

 

……こんな可能性なんてあってはいけない。

黒服×ホシノなんてカップリングが生まれていい

わけがない。今ここでその可能性を潰して……

 

『……もしかして二人は結婚してる?』

 

「はい」

 

『ケイって娘が居たりする?』

 

「まあ……そうだね」

 

『嘘じゃなかったんだ……』

 

嘘であってほしかった。こんな地獄のような光景が

認められているとでも言うのだろうか?

 

「ある程度私達の事を知っているのであれば事情を

伝える手間が省けましたよ」

 

『色々気になる事はあるけど……今はいい。

それよりもどうしてここに来たの?』

 

「そのホシノが心配になったので。案の定そんな

傷を負ってしまっているようですが。……先輩

というのは一人で抱え込まないと気が済まない

のでしょうか」

 

『黒服がホシノ先輩の何を知って……!』

 

「最近ですと性感帯の場所を知る事が出来……」

 

「ストップストップ!! それは言わないで!」

 

「では本日の下着の色を……」

 

「それも駄目!」

 

『ふざけているの……?』

 

「大真面目ですが」

 

何なのこの黒服……黒服の皮を被ったロリコン

にしか思えない……転生したら黒服だったとか

よくある転生モノの主人公なのかな……

 

「いえ私は転生なんてしてません。正真正銘、

ホシノの夫ですよ」

 

『うるさい』

 

「………」

 

「……そういえばなんで成長したシロコちゃんが

ここにいるの? どういう状況?」

 

『それは……色々あって……』

 

「……まあ、話さずとも問題ありません。

私達はただの見届け人ですので」

 

「そうだね」

 

『……戦わないの?』

 

「危険が及ぶなら手を貸します。ですが今この

物語を完成させるのは私達ではありません」

 

『変な拘りだね』

 

「ええ。私もそう思います。なので私はホシノの

治療を……」

 

『ホシノ先輩に触らないでロリコン』

 

「………」

 

「先生、強く生きて」

 

「はい」

 

このやり取りの後シロコは目を閉じた。例え黒服に

嫌悪感を覚えていても彼がホシノに慰められる

情けない姿を見るのは哀れで仕方がなかった。

……ただ見るに堪えない光景だっただけだが。

 

『お楽しみのところ申し訳ありませんが黒服、

一つ聞きたい事があるのですが』

 

「何ですかマダム」

 

『貴方が連れてきたアヤメという生徒ですが……

とてもエッ……ではなくて。マエストロが救出した

時には手足が黒ずんでいましたが……どうやって

治したんですか?』

 

「神秘を汚染していた黄昏を除去しました。

ホシノと共同開発したこの薬で」

 

『成程。いちゃついているだけではなかったの

ですね。それ、こちらにも分けてくれませんか?」

 

「これは渡せません。マエストロに複製してから

渡しますので」

 

『それでは遅いのです。助かる手段があるのなら

この子達を早く治すべきだと思いませんか?』

 

「しかしこれはホシノが身体を張って作った

大切なもので……」

 

「……いいんじゃないかな。また後で私が

頑張れば作れるんだし。問題は今ある量が足りる

かどうかなんだけど……」

 

「……ホシノがそう言うなら良いでしょう。

確認ですが何人分の薬が必要なのですか?」

 

『数百は欲しいです』

 

「複製するのを待ってください」




もし毎日投稿が途切れたら多分二度と更新しないと思います。そんな気分で書いてます
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