例えばこんなゲマトリア   作:スカイブルーホワイトヘアー

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小鳥遊さんは気難しい

ーーホシノの自宅にて

 

「そういう訳なので私とレッドウィンターに

行ってください」

 

「やだ」

 

「……聞き間違いでしょうか? 今ホシノは私に

嫌だと言ったように聞こえましたが」

 

「嫌だ」

 

「何故?」

 

「寒いところに行きたくない」

 

「………」

 

彼は非常に困った。まさかホシノに断られる

とは思っていなかったのだから。こうならない為に

昔からずっと彼女と向き合っていたのだから。

 

「あの、ホシノ?」

 

「………」

 

「一体どうしたと言うのです? 貴女らしくもない

発言ですが……」

 

「最近色々あったじゃん。先生と別のアビドス

に行ったりさ。だからこうして家で先生とゆっくり

過ごしたいなって。ほら、休息は必要だからさ」

 

「ああ。理解しました。つまりホシノは私に

構って欲しいので別の理由をでっちあげているの

でしょうか? それとも嫉妬でしょうか? 確かに

最近あちらのホシノに構ってばかりでしたのでね」

 

「……分かってるなら言わないでよ。面倒な人間

だって先生に思われたくないのに……」

 

「どうやら私はホシノの事を誤解していたようです。

まさかここまで執着心を見せてくれるとは。

安心してください、私が愛しているのはホシノだけ

です。あの日のように貴女に誓います」

 

「……本当?」

 

「はい。ホシノの指についている指輪が証拠ですよ」

 

「……うへへ、ありがとう。何だか安心したよ」

 

「ですが最近あまりホシノに構っていなかったのは

事実ですからね。申し訳ありません」

 

……と場を収めるために謝罪をしてみたものの

ホシノとは毎日愛し合っている。ここのところ

ずっと共に行動をしている為ただ嫉妬をしている

だけなのだろう。過去に病んで異常な執着心を

見せた事もある。ならばレッドウィンターに行く

前にホシノのメンタルケアを優先しよう。

救援を求む彼には悪いが妻の方が大切なのだ。

 

「そういう訳なので明日久しぶりにデートでも

しませんか?」

 

「デート……?」

 

「無理にとは言いませんがお互いの愛をより深め

高める事も大切だと思いま……」

 

「するする! 明日じゃなくて今からしよう!」

 

「気が早いですね。ですが外は寒いですよ?」

 

「外の寒さなんて愛の前には無意味だよ」

 

「……まあ、やる気が出たようで何よりです」

 

「あ、でもデートって名目でレッドウィンターに

行くのは嫌だからね」

 

「分かりました」

 

流石にデートという単語だけでそこまでのやる気は

出さないようだが致し方ない。機嫌が治って元気に

なってくれただけでも良しとしよう。

 

「じゃあ行こっか」

 

当然のように彼女から差し出された手を握って

冷たい風が吹く街に繰り出す事となった。

 

ーーー

 

「こうして何にも縛られる事もなくただ二人で

街を歩き回るのは楽しいね」

 

「そうですね。なんだかんだで新婚旅行もまだ

行けてませんので」

 

「新婚旅行かぁ……もし行くならリゾートとかが

良いなぁ。お魚さんが泳いでる姿がガラス越し

じゃなくて直で見れるし。……それと岩陰で先生と

汗を流したり……ね?」

 

「ホシノはお盛りですね。年頃の女性だとしても

中々に大胆な発言ですよ」

 

「そうかな。……先生、もしかして想像した?」

 

「多少は」

 

「そっかぁ。大きくなってるし歩き辛そうだね」

 

「ええ。岩陰というシチュエーションは想定よりも

興奮するという事実を理解しました」

 

「先生も結構えっちだよね」

 

「否定は出来ません」

 

「うへへ……そういえばさっきは理由を聞かずに

断っちゃったけど何でレッドウィンターに用事が

あるの?」

 

「そうですね。理由としましてはレッドウィンター

にはもう一人……いえ、二人でしょうか? 同志が

滞在しておりましてね。先程その方から救援を求め

られたのです」

 

「同志って……ベアさんとマエさん以外にまだ二人

居たんだね。どんな人なの?」

 

「名前はゴルコンダとデカルコマニー。

比較的に私と話が合う人です。ですが彼らは

教師ではないのでどのような状況下に

置かれているのか不明なのです」

 

「そうなんだ……でも先生と気が合うなら悪い人

ではないんじゃないかな」

 

「それはどうでしょうね」

 

ゴルコンダには複数の人格がある。前回あちらの

アビドスで接触してきたのはその別人格の彼、

フランシスであった。そして彼が言うにはあの

ヘイローを破壊する爆弾を作成したのはゴルコンダ

である。もしこちらの方でそのような悪意に満ちた

凶器を作成していたとすればホシノを守る為にも

彼らを追放する事も視野に入る。この愛らしい存在

がこれ以上絶望してしまわないように。

 

「……やっぱり先生って優しいよね。同志の人の為

とはいえあんな寒いところに行こうとしてるし」

 

「元々レッドウィンターには用事がありましたので

いずれは伺うつもりだったのです」

 

「そうなの? どんな用事?」

 

「あそこには工務部という優秀な人材が集まる

部活動がありましてね。そちらに私とホシノ、それと

アリス達の一軒家を建ててもらう依頼をしに行こうと

思っていたのですよ」

 

「えっ」

 

「ホシノの家に同棲しているのは良いのですが……

将来の事も見据えて新しい家を建築しておくのも

手だと思いましてね」

 

「行こう」

 

「?」

 

「レッドウィンターに行こう」

 

「急にどうしたのです? 先程まであんなに……」

 

「そういう事なら早く言ってよ!! 夢のマイホーム

だよ!? えっちし放題だよ!?」

 

「行為自体は毎日愛し合っていますよね」

 

「……いいから行こう!」

 

「……ホシノがそう言うなら』

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