アリスの教育に悪い云々の説教を終えた後に
ショッピングモールで購入した防寒着を着用して
準備万端になったのはいいもののどのように
レッドウィンターに向かおうかと迷っている。
「私の武器にワープ機能がありますよ」
「それでも良いのですがレッドウィンターは常識が
通用しない学園ですので面倒な事になる可能性が
大いにある以上やめておきましょう」
「雪が積もった道を歩く方が面倒だと思います」
「別に無理して来なくてもいいのですよ?」
「家族を引き離すつもりなのですか?」
「(マエストロ。ケイは反抗期なのでしょうか?
何と言いますが自我が強くなってますよ。まさか
貴方の教育の成果なのですか?)」
「違います。ケイはただパパに構って貰いたくて
ツンツンしてるだけです!」
「ばっちょアリスそれは言わない約束で……」
「成程。確かに貴女達二人との時間はあまり
取れていなかったのも事実。多少の我儘は許容
しましょう」
「では私と一日恋人デートをしてください」
『それはダメだよ?』
「ホシノが覚醒した……? いえただデートという
単語に過剰反応しただけですね」
「……冗談ですよ。結婚した父を誘惑してもただ
虚しいだけです。ばにばにです」
「そっか。それなら良いんだ」
……何故ホシノはこんなにも独占欲が強くなって
しまったのだろうか? ありがたい話ではあるが
時々何故? 何故? 何故? と疑問になる。
「可愛いので問題はありませんがね」
結局はそこに行き着く。何処かの赤おばさんも
言っていたが可愛いは正義らしい。
「家族団欒も一息つきましたしそろそろ
行きましょうか。レッドウィンターに」
「ようやくですね!」
「一軒家の為に頑張りましょう」
「おー!」
「……ゴルコンダの救援も忘れずに」
………
「誰ですか?」
「ボスモンスターですか!?」
「(何でしょう、ボスという意味では間違っては
いないような気がしますね。悪い大人ですし)」
「二人共違うよ。先生の同志だよ」
「……あ! まさかあのバッドの人ですか!?」
「ああ、サンドバッグの人ですね」
「うぇ」
「……彼は一体どのような目に遭っているのか
分かりませんが……」
話を進めなければならないという使命感に駆られ
とりあえず行く事にした。
ーーー
「さ゛む゛い゛で゛す゛!!」
「冷却装置が必要ないので楽ですね」
「うへー寒いね……先生、抱きついて良い?」
「どうぞ」
「アリスも抱きつきたいです!」
「では私も」
「いえ三人は流石に困りま」
しかし問答無用で抱きつかれた。でも暖かいので
このまま進む事にした。そう、この辺りは特に
問題が発生する事がない安全な地域なのだ。
シロクマがいる程度で何も問題は……
「シロクマが居る? 何故でしょうか?」
「……ただのシロクマではないようです。体内に
多少の神秘反応があります」
「神秘反応? 妙ですね。過去のゲマトリア達の
記録にも動物に神秘反応があるなんて情報は
ありませんよ」
「あれじゃない? ほら、前に戦った破廉恥
亡霊集団みたいな」
「……成程。淑女が生み出したのと近しい存在
ですか。だとするならまさかゴルコンダが?
……これは何か面倒な事になりそうですね」
「よく分かりませんが戦いますか?」
「念の為に全滅させておきましょう」
「分かりました! アリス行きまーす!」
「では私も抜錨します」
「ではホシノ、貴女も戦いに……」
「私は先生を守るよ。背後から襲われたりしたら
大変だからね」
「おや。頼もしいですね」
……あのシロクマもどきをもしゴルコンダ自身が
生み出しているとするならば本格的に彼を追放
する必要が生まれてくる。最悪なケースはヘイロー
破壊爆弾を開発している事だが……
「終わりました!」
「早すぎませんか?」
「私とアリスは神秘属性ですよ。特殊装甲の敵
なんて的でしかありません」
「属性? ……ああ、成程。あまり深くは触れ
ませんが助かりましたよ。このまま警戒を怠らず
先を急ぐとしましょう」
「了解!」
「(不思議と懐かしい感覚に襲われます。ホシノや
アリス、ケイに戦闘の指示を出すのは久々です。
最近は指示を出すまでもなく戦闘が終わったり
そもそも戦う事すら減少していました。こうして
指示をしてそれに従ってくれると信頼関係を構築
出来たのだと自覚させてくれますね。……過去の
私に言ってやりたいですよ。このやり方は絶対に
間違っていなかった、とね)」
「そんな最終回みたいな流れはやめましょう。
まだこの物語は続くのですから」
「……ケイ、いいですか? 貴女は確かに特別な
存在ではありますがあまりメタファー発言を多用
するのは良いとは言えません。控えましょう。
それと心の声を読まないでください」
「失礼しました。なんかそんな能力が備わって
いたので悪用していました」
「人の心が読める能力はあまり推奨しませんよ。
精神が疲弊して終わりますからね」
「二人共ー話してないで先に行こうよー」
「分かりました。ではケイ、行きましょう」
「はい」
ーーー
「……おや。懐かしい気配が近づいてきますね」
「そういうこった!」
「ようやく私もこの呪縛から解放される時が
訪れたのですね」
「そういうこった!」
「しかしおかしいですね。反応が二つあるように
感じますが……」
「どういうこった?」
「デカルコマニー? 貴方のアイデンティティが
崩れてますよ」